0.1gの誤算 緑川裕宇に聞く、TwitterやTikTokで“バズる動画”のコツ V系シーンに見えた希望も

0.1gの誤算 緑川裕宇、“バズる動画”のコツ

新しいファンには元々YouTuberのファンだった人も

――メンバーの皆さんは、緑川さんのTikTokについてどう思っているのでしょうか。

緑川裕宇:メンバーからは特に感想は言われないですけど、「今日の撮影会に、TikTok見て来ましたって言う子がいたよ」っていう会話は増えました。動画を上げているのは俺ですけど、メンバーも全員映っているので、「この人かっこいい!」って思って、そのメンバーを調べてライブや撮影会に来てくれてるみたいですね。だからTikTokは自分以外のメンバーにもプラスになっていると思います。そもそもバンドを有名にするために始めたので、そういう反応は嬉しいです。

――TikTokが新しいファンをしっかり獲得する場になっているんですね。TikTokを始めてからファン層に変化はありましたか?

緑川裕宇:変わりましたね。2016年頃の活動初期は若いファンばかりだったんですけど、活動していくにつれてファンの子たちも俺らと一緒に年齢を重ねていって、2019年頃はファンの多くが20代後半くらいだったんです。だから、活動初期に22歳以下限定、23歳以上限定でそれぞれワンマンをやった時は23歳以上限定のチケットが全然売れなくて、同じことを2019年にやったら、逆に22歳以下が全然売れなくて23歳以上がめっちゃ売れたりして。でも最近TikTokを始めてからはまた若い子がガッと流れてきて、今は色々な年齢がいて一番ちょうどいい感じになってますね。

――“若いファンが少ない問題”は色々なバンドが抱えているので、それを改善できたのは素晴らしいですね。新しいファンはどういう方が多いのでしょうか。

緑川裕宇:特に俺のファンになるのは、元々YouTuberのファンだった人が多いです。その中でも多いのが、レペゼン地球のファンだった人。はっちゃける感じが似てるのかな。他ジャンルのライブって、お客さんはメンバーがはっちゃけてるのを見て楽しむ感じですよね。だから見ている側って、あまり自分が身体を動かすことがないと思うんですよ。でもヴィジュアル系、特に0.1gの誤算は、メンバーがはしゃいでるのを見てお客さんも一緒にはしゃぐ感じなんで、そこを新鮮に感じてハマってくれたんじゃないかなと思ってます。

――実際、他のジャンルから来た方もライブを楽しんでいますか?

緑川裕宇:最初は怖かったけど、覚えちゃえば楽しいって感じみたいですね。でもみんな予習してくるんですよ。ワンマンで20曲くらいやっても、「初めて来たけど曲全部わかりました」って言われたこともあります。多分ヘドバンの動画とかを見て、この輪の中に入れるかなって不安に思って事前に勉強して来るんでしょうね。だから新規の子を意識して、ライブやセットリストを特別変えたりはしてないです。たとえば「2008年高田馬場AREA」っていう当時の高田馬場AREAでライブをやっていたヴィジュアル系バンドの雰囲気をコンセプトにした曲があるんですけど、TikTokからファンになった子たちには全然意味がわからないと思うんです。若い子が多いから、そもそも当時はまだ小学生にもなってないだろうし。でもその子たちも、輪に入ってライブを体験して「『2008年高田馬場AREA』しか勝たん!」とか「古のノリが~」とか言ってくれるんですよ(笑)。だからあえてファンを区別する必要はないと思っています。あの輪の中に入っちゃえば、みんなそういうマインドになるのかなって。

コロナ禍で新たな発見? “ファンの名前を呼ぶ”ライブ

――コロナ禍に入って1年半以上経ちましたが、ライブでのお客さんへの向き合い方に何か変化はありましたか?

緑川裕宇:今までの0.1gの誤算のライブは、ステージからフロアに降りていって一人のファンに向かって煽ったりしてたんですけど、今はできないじゃないですか。だからそれに代わるものはないかなってずっと探してて、最近見つけたんですよ。それがライブ中にファンの子の名前を呼ぶことです。元々は今年の6月に新宿WALLYでやった『名指しで煽るワンマン』っていうライブの企画で、1回きりの予定だったんですけど、今はもう普通のライブでも名前を呼んでますね。俺、結構ファンの顔と名前を覚えてるんで、昔からライブ中に名前を呼びそうになってたんですよ。たとえばギターソロのときに、マイクを口から離して誰にも聞こえないようにして、ファンの名前を叫んだりしてました。だからそれの延長線上みたいな感じです。

――かなり大胆な煽りだと思いますが、呼ばれたファンの方はどんな反応ですか?

緑川裕宇:恥ずかしがっている子もいれば、「最高のファンサありがとうございます」って言ってくれる子もいますよ。名前を呼ばれた瞬間は、めっちゃギクッ! ってしてますね。授業中、先生にいきなり指された生徒みたいな(笑)。それをステージから見てるのも面白いですね。あと、対バンでやるとめちゃめちゃウケます。「誤算って名前呼ばれるんだ! やばい!」って。フロアに降りるバンドマンは他でも見たことありますけど、名前を呼んでるバンドは俺も見たことなかったんで新しいですよね。でも名前を呼ぶ方も勇気がいるので、あれは俺らにしかできないかなって思ってます。

――最近の活動でいうと、9月19日に緑川さんのバースデーワンマンライブ『やったれ爆進緑川!!~コロナ禍以降最大規模の挑戦~』がTSUTAYA O-EASTで行われましたね。ライブの感触はどうでしたか?

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緑川裕宇:今までは大箱でのライブが多くてちょっと緊張していたんですが、今回は最初から“これぞ0.1gの誤算”という感じのはっちゃけたライブができたと思います。新しい衣装も反響が良かったですね。今年の2月に池袋EDGEでやった黒服限定ワンマンのときに、ゴシックなテイストの衣装を着たらすごく評判が良かったんですよ。チケットもチェキも売れたし、Twitterに写真を上げたらいいねの数も多かったので、意外とこういうのも求められてるんだなって気づいたんです。それで今回は黒服をさらに進化させて、よりゴージャスで耽美なテイストの衣装にしました。あの衣装は、昔からヴィジュアル系が好きな人が懐かしいって思ってくれるだろうなって予想していて、実際評判も良かったんですけど、動画で好きになってくれた子たちからは「『ローゼンメイデン』みたい」とか「初音ミクみたい」って意外とウケてるんですよ。捉え方は全然違うけど、どちらのファンからも喜んでもらえたみたいですね。バンギャから見たら昔のUNDER CODE PRODUCTIONみたいなアー写も、他のジャンルから来た子には初音ミクに見えるって面白いですよね。

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――動画やバンド活動において、今後の目標はありますか?

緑川裕宇:動画に関しては毎回バズらせるのはすごく難しいですが、なんとか継続するように色々考えて頑張っていきたいです。今はTikTokのフォロワーが3万4000人くらいですが、年内に5万人達成するのが目標です。あと3カ月くらいで1万6000人、努力次第でいけるんじゃないかと思います。ライブについては、それぞれ家族や職場の事情もあって、今は一部の限られた人しか来られない状況だと思うんですよ。だからまずはこういう状況でも来てくれている人を大切にして、コロナ禍が明けるのをなんとか待とうかなと。

――ちなみに2020年5月のインタビューで緑川さんは「コロナでライブもできなくなって、いよいよヴィジュアル系が滅びるかも」と話していましたが、今はどう感じていますか?

緑川裕宇:2019年にCDショップの閉店などが相次いで、2020年はコロナがあって、そろそろやばいかもなって思ってましたが、最近は動画でバズったりすると「ヴィジュアル系ってこんなに面白いんだ」って言ってくれる人が増えてきています。実際、このコロナ禍でも対バンのチケットが完売することもあるので、最近はヴィジュアル系もまだまだいけるんじゃないかなと思い始めました。0.1gの誤算は、元々ドマイナーのセッションイベントから生まれたバンドなので、昔は底辺から駆け上がっているような感じでしたが、今はヴィジュアル系を俺が引っ張っていってやる、俺が盛り上げていってやるって思ってます。

■ライブ情報
『TOKYO SAKE FESTIVAL 2021 Merry christmas(TSF2021 厳選日本酒飲み比べ101蔵 メリークリスマス)』
会場:秋葉原UDX AKIBA SQUARE他UDX各会場
住所:東京都千代田区外神田四丁目14-1
日程:2021年12月16日~19日
※0.1gの誤算は12月19日に出演
詳細はこちら:https://tokyo-sakefes.jp

0.1gの誤算公式サイト:https://gosan.g1-corp.com/

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