0.1gの誤算が明かす、オンラインでのファンとの交流や公演延期を受けたリアルな心境

0.1gの誤算、公演延期を受けたリアルな心境

 新型コロナウイルスの感染拡大によりライブやイベント活動が制限される中、V系バンド・0.1gの誤算がZoomを利用したファンミーティングを行ない、注目を集めている。ライブを中心に活動し、ファンとの距離感を大切にしてきた彼らならではのアイデアだ。事務所やレーベルに所属せず、自主で活動する彼ら5人に、現在のリアルな心境や、今リスナーに伝えたいメッセージについて聞いた。(編集部)

ライブ延期を発表してホッとした部分があった

――2月以降、多くのライブを延期、もしくは中止されていますが、中でも3月に予定されていた4周年記念ワンマンである豊洲PIT公演の延期は、バンドにとって非常に大きな決断だったと思います。延期を発表した当時の心境を聞かせてください。

緑川裕宇(Vo)

緑川裕宇(Vo):正直ホッとした部分もありましたね。実はファンから、「なんでやるんですか?」みたいなメッセージがたくさん届いてたんですよ。ファンの中でも、何があっても行くっていう人と、家族に止められて行けないっていう人に分かれてたみたいで。でも僕らは何とかしてライブをやりたいという気持ちもあって、悩んでいました。だから延期が決まったときは、その戦いがやっと終わったんだな、という感情でしたね。

水田魔梨(Gt):僕も強行するのはやっぱり怖かったので、ホッとした部分はあります。でも0.1gの誤算としては最大キャパシティの会場だったし、4周年記念のライブということもあって色々気合い入れて準備してたので、やっぱり悔しさは残ってますね。

――今はほとんどのアーティストがライブを中止や延期していますが、0.1gの誤算は自主で活動しているバンドということもあり、より厳しい状況なのではないでしょうか。

神崎流空(Dr):もちろん状況は最悪の最悪なんですけど、僕たちってサラリーマンじゃないですし、レーベルや事務所にも所属していないので、いつバンドが無くなってもおかしくないじゃないですか。だから常日頃から、最悪の事態を想定して動いてたので、金銭面に関してはできる限りのことをして補えたと思います。あと、お金がどうこうよりも、気持ちの持ちようもありますね。Twitterとか見ると「エンタメ業界がやばい」とか「このままだと音楽業界が潰れてしまう」ってみんな言ってるじゃないですか。でも僕らはコロナがなかったとしても、いつでも死と隣り合わせなんで(笑)。

――常に危機感をもって活動してきたということですね。4月は生電話企画、5月はオンラインでのファンミーティングが行なわれましたが、この企画はどういう流れで決まったんですか?

眞崎大輔(Ba):生電話企画に関しては、豊洲PITで売るはずだった物販を売ろう、売るなら何か特典をつけたいね、生電話がいいんじゃない? みたいな流れで、話し合って決めました。

――「みんなのおかげでたくさん物販が売れ、なんとか4月を生き延びる事ができました」という緑川さんのツイートはとてもリアルに感じました。

緑川裕宇:ひと月ずつ生き延びている感じですね。4月は生電話を特典にした物販の売り上げで生き延びられて、5月はファンミーティングの売り上げで生き延びられて。でもまた6月は考えなきゃいけないし、その先もライブができないなら、その都度考えていかなきゃいけない。本当は5月からライブができると思ってたんで、「とりあえず物販売ろうぜ」っていう軽い感じだったんですよ。でも結局5月になっても全然ライブが再開できていないので、この先も考えないといけないですね。

眞崎大輔:当初はメンバーで「5月3日の誤算の日に復活できたらドラマチックでいいね」なんて話してたんですけど、それもおじゃんになってしまいましたね。

水田魔梨(Gt)

水田魔梨:ワンマンツアーも各メンバーで企画を練ってたんですけど、どこから再開できるか、そもそもこのツアー自体がやれるかわからない状況なんですよね。ここのライブはいつに延期するのか、それとも延期しないのかと、毎日悩んでいます。だから今はオンラインでできる活動を考えつつ、再開できたときのことも想定しておこうという感じです。でも、来月だけ乗り切ればいいのか、それとも3カ月先まで乗り切らなきゃいけないのかもわからないので難しいですよね。本当に体験したことのない状況です。

緑川裕宇:箱(会場)は大体1年前に押さえるから、来年やるためにはもう押さえなきゃいけないしね。だから5周年の箱はもう決めなきゃいけないけど、その時もライブが出来なくてまた延期ってなったら、それこそめっちゃやばい。状況が毎日変わるから決められないって感じだよね。

神崎流空:自粛が解けるのって、この業界が一番先だろうしね。

水田魔梨:テレビとかはまた話が違うと思いますけど、僕らみたいに人をたくさん集めてやる商売は、どうしてもいわゆる“三密”になる活動なので。6月も、4月5月と同じような企画を考えていかなきゃいけないでしょうね。

――今はちょうどZoomを使ったオンラインでのファンミーティングを行っていますよね。オンラインでファンと交流するのは、今の状況ならではの企画だなと思いますが、具体的にはどんなことをしているんですか?

緑川裕宇:まだ手探りなんですけど、僕はファンと喋りながら何をしてほしいか聞くというスタイルでやっています。大体は「ピアノを弾いてほしい」とか「歌ってほしい」って言われるので、そのリクエストを叶える形ですね。

――反応はいかがですか?

神崎流空(Dr)

緑川裕宇:やっぱり喜んでくれますね。この間もいきなり「シドの『嘘』弾いてください」って言われたんですけど、歌詞だけ見てパッと歌ったら、すごく喜んでくれました。

神崎流空:僕はひたすらファンの子とお喋りしています(笑)。「最近何してるの?」とか「普段どんなバイトしてるの?」とか、他愛のない雑談ですね。

緑川裕宇:ドラムってこういう時大変だよね。他のメンバーは楽器使って色々できるけどさ、ドラムは何もできないじゃん(笑)。

神崎流空:できない、なーんにもできないよ(笑)。

――今はそういう何気ない会話だけでも嬉しいんじゃないかなと思います。

神崎流空:だといいですけどね。

眞崎大輔:ファンミーティングって、画面越しだと結構難しいんですよね。リアルな撮影会とかだと、ちょっと無言の時間が続いても、一緒の空間にいるのでまだ大丈夫なんですけど、オンラインで無言になると部屋に一人なのでお客さんも辛いと思うんです。だから今までにない神経の使い方をしていますね。

水田魔梨:僕らは割とファンとの対面の機会が多いので、ファンの顔も覚えていることが多いんですけど、この間は初めて見る子が来てくれました。話を聞いたら、一回もライブには来たことないけど、今回ファンミーティングに参加してくれたっていう子で。初めて会うのが画面越しになってしまったのは残念ですが、ギターを教えてあげたりして楽しく過ごせました。

河村友雪:僕は久々にファンの顔を見ると、やっぱりホッとしますね。だから結構ほのぼのした気持ちでやっています。たまに、「私太ったから顔は見せたくないので、カメラオフにします」とか、「私は何も喋らないので、河村さんがギターを弾いているところをただ見ていたいです」とか言われたりもしますけど(笑)。

――5月の頭に、緑川さんが「ファンに電話かけたらお父さんが出た」というツイートをされていましたね。

緑川裕宇:あぁ、実はそれ何件かあったんですよ。チェキとかはすぐ売り切れることも多いので、物販買うときってみんな焦ってるみたいで、携帯の電話番号を書き忘れたりするんです。家電の番号が書いてあったから、一応かけてみたらお父さんらしき人が出て、「0.1gの誤算ですけど……」って言ったら「なんだ?」って不審がられました(笑)。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる