0.1gの誤算が明かす、バンドとしての決意と軸「外の人たちに知ってもらわないとデカくならない」

0.1gの誤算、バンドとしての決意

 アイドルや歌い手などとの対バンを行ない、ジャンルの枠を超えて活動するロックバンド・0.1gの誤算。9月10日には「有害メンヘラドール」「溺愛ヤンデレボーイ」に続くシリーズ第3弾『絶望メンブレガール』のリリースも控えている。先日、3度目となるZepp DiverCityワンマンを成功させ、来年3月には4周年を記念したワンマン公演を豊洲PITで開催することが発表された。『有吉ジャポン』(TBS系)やドラマ『これは経費で落ちません!』(NHK)への出演など、メディア露出も続く彼らの魅力の“軸”になっているものとは。メンバー全員へのインタビューから紐解く。(編集部)

「死ぬ以外は何でもやる」(眞崎大輔)

ーーZepp DiverCityで行なった『-改・鬼畜企画- Tour Final 「俺達の前に道はない、俺達の後ろに道はできる」 〜緑川裕宇Birthday〜』は、バンドにとって同会場で3度目のワンマンだったわけですけども、振り返ってみるといかがでしょうか。

(写真=池村隆司)

緑川裕宇(Vo):これまでは会場に飲まれていたというか、固くなっていた部分もあったけど、今回は最初からいつもの自分たちのスタイルで臨めたかなと思います。もしかしたら最初に(本編として)4曲やったのがよかったのかも。

水田魔梨(Gt):裕宇さんとは逆で、俺はめっちゃテンパってました(苦笑)。リハーサルがめちゃめちゃ押したから、開場も遅れちゃったんですよ。しかも、リハの最後にやった曲が、もうライブで100回以上は弾いてる曲なのに、めっちゃ間違えたから余計に不安になっちゃって。だから、本番始まるまでずっとヒヤヒヤしてたけど、2曲目ぐらいからやっと落ち着けました。

緑川裕宇:誤算の曲は、下手ギターのソロっぽいところから始まる曲が多いんですよ。

水田魔梨:そう、だから俺が間違えると……っていう。

緑川裕宇:大丈夫だよ、みんなで笑うから。

水田魔梨:いや、みんなが笑ってるとき、俺はマジで泣きそうになってるから(笑)。

眞崎大輔(Ba):俺、間違えたときは、裕宇さんのほうを絶対に見ないようにしてる(笑)。

ーーライブとしては、緑川さんがやりたいことをやりたい放題やる、というコンセプトでしたよね。緑川さんのお話にありましたけど、本編は4曲で、残りはアンコールという構成だったり、神崎さんとのツインドラムからのドラムバトルをしたり。

神崎流空(Dr):俺、ドラムソロって大嫌いなんですよ。よくあるじゃないですか。ライブの途中でみんなはけて、ドラムだけ残って……っていう。あれがどうしても苦手だから、死んでもやりたくなかったのに(笑)。曲中に出てくるソロは全然いいんですけど。

緑川裕宇:でも楽しくなかった?

神崎流空:楽しかったけど、2人でやったからだよ。叩いてる途中で、もしこれを1人でやったら地獄だなと思ったし。だから横を見て、よかった! 裕宇さんがいる!って。初めてライブ中に存在を感謝した(笑)。

(写真=池村隆司)

ーー今回リアルサウンドには初登場になるので、どんなバンドなのかいろいろお聞きしていきたいんですが、みなさんはちょっと変わったライブをよくされていますよね。先日行なった『【Zepp DC】47都道府県民割引ツアー【攻略祈願】』であれば、近隣県から来場した人にキャッシュバックをしたり、自分たちのアンチツイートをした人はチケット代がタダになる『アンチ限定無料ワンマン』を行なったり。

緑川裕宇

眞崎大輔:そういう企画に関しては裕宇さんがいきなり考え出したよね?

神崎流空:最初にやった企画ってなんだっけ?

緑川裕宇:『暴れたいバンギャ限定ワンマン』。やっぱりワンマンってどうしても似てきちゃうんですよ。だからコンセプトを持たせて、お客さん的にも自分たち的にも飽きが来ないようにしたほうが楽しいかなと思って。それに、お客さんが来なくても、こんなライブやってるんだ? ってちょっとでも拡散されればいいかなと思ってやってます。

ーーイオンモールでフリーライブもされていますけど、あれも緑川さん発案?

緑川裕宇:あれはたまたまです(笑)。

神崎流空:知り合いの人から「空いたんだけど使わない?」って言われて。話を聞いたら、「機材を持っていけばやれる」っていうことだったんで、「PAさんが空いてたらいいですよ」って。で、PAさんに電話してみたら、その日がたまたま大丈夫だったっていう。そのライブの反響がよかったんですよ。

河村友雪(Gt):初めてやったときはよくわからなかったですけどね(笑)。野外だから、俺らのライブの後ろでちびっ子のサッカー教室とかやってるし、その逆側に車(キッチンカー)で売ってるクレープ屋さんとかがあるし、2階から普通に買い物に来た家族連れの人たちが観てるし、カオスだなと思って。でも、その家族連れの人たちが、ライブにちょいちょい来てくれるようになって、ワンマンでやっている「ちびっ子ゾーン」とかに繋がっていったから、あそこでやった意味は結構あったのかなって。意外とちびっ子はこういう感じのバンドが好きみたいですね(笑)。

ーーライブでいうと、アイドルや歌い手、畑違いのバンドなど、ジャンルを問わず様々なイベントに出演することも多いですよね。

神崎流空:そのきっかけもたまたまなんですよ。アイドルのイベントがあったんですけど、そこに出演する予定だった人たちが出られなくなっちゃったから、「とりあえず名古屋まで行って、代わりに出てくれない?」って、知り合いのライブハウスの店長から言われて(笑)。

眞崎大輔:派遣のバイトみたいな感じで(笑)。

神崎流空:そのライブがまたよかったんですよね。結局、同じようなバンドで集まってライブしても、同じところからお客さんを取り合うだけじゃないですか。内乱みたいな感じになっちゃうし、外の人たちに知ってもらわないと、どう考えてもバンドがデカくならないと思って。それからはそういうイベントを増やしたけど、きっかけは本当にたまたまですね。

(写真=池村隆司)

ーーたまたまという意味では、『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)に出演したのも、間違いなくそうだったと思うんですけど。

神崎流空:そうです。たまたま衣装着て、原宿でチケットを手売りしてたらロケの人たちがいて、テレビに出れたっていう。

ーーあと、テレビで言うと、『有吉ジャポン』(TBS系)で取り上げられたりもしましたよね。

水田魔梨

緑川裕宇:あれも賛否両論あったけど、よかったかなとは思っていて。

水田魔梨:今度ドラマ(NHKドラマ10『これは経費で落ちません!』)に出るんですけど、それも全部繋がってるんですよ。『月曜から夜ふかし』があって、そこから『有吉ジャポン』の話が来て、ドラマの話が来てっていう。昔、誰かが「仕事の報酬は仕事」って言ってたけど、本当にその通りだなって。深く考えて活動してるほうが計画的に見えるかもしれないけど、それって守りに入っているような感じもあるじゃないですか。だったら、俺らはなんでもいいからやれることをやりたい。それで失敗したらしょうがないぐらいの気持ちでいるから、うまくやれているのかなと思います。

ーー綿密に計画を立ててやっているとは思うんですけど、直感で動くときもあると。

神崎流空:そうですね。後から飛び込んできた話には、基本的に全部乗るっていう。

眞崎大輔:でも、うまい具合に空いてるところに話が来るよね? 神崎がいつもスケジュールを組んでいるんですけど、言ってもそんなに暇なわけではないんですよ。

水田魔梨:ラッキーだよね。

神崎流空:たまたま空いてたっていう。たまたまが多いんですよ、このバンドは。

ーーでも、それだけ“たまたま”が続くのは、いわゆる「持っている」んだと思いますし、たまたまかもしれないけど、それを結実させてきたからいまがあると思うんです。そういう自分たちの強みみたいなものってどんなところだと思いますか?

眞崎大輔

河村友雪:……まあ、言われたらなんでもやるからじゃないですかね(笑)。

緑川裕宇:俺ら海外ロケとか全然やりますよ。なんでこんなところに日本人がいるの? みたいな番組とかも。

眞崎大輔:うん。死ぬ以外は何でもやる。

緑川裕宇:あと、どんな話も即決します。ほとんどのバンドって「ちょっと待ってください」って言うじゃないですか。

神崎流空:「ちょっと持ち帰ります」とかね。自分たちもバンドを誘うときがあるんですけど、あれをやられるとイラっとくるんですよ(笑)。いますぐ電話しろよ! っていう。そこは相手も同じだと思うから、俺らはすぐ決めます。言っても「10分待ってもらっていいですか?」ぐらい。「(LINEの)既読が全員ついたら大丈夫なんで」って。嫌だったら「嫌だ」って来るから。

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