愛はズボーン、開放的な演奏で響かせた“10周年の現在地” SPARK!!SOUND!!SHOW!!迎えた絶好調の一夜をレポート

愛はズボーン、10周年の現在地

 結成10周年を迎え、愛はズボーンは絶好調だ。なぜ絶好調かというのは先日リリースされた2ndアルバム『TECHNO BLUES』を聴けば明白なのだが、何のために音楽をやっているのかがシンプルに研ぎ澄まされ、より軽やかなソングライティングと自由なミクスチャーを実現しているからである。さらに、それがこれまでの“愛はズボーンらしさ”と地続きになっているからこそ、正真正銘の絶好調と言えるわけだ。

 6月27日に『愛はズボーン 〜I was born 10 years ago.〜 東京編』が渋谷WWWで行われた。キャパシティ制限を設けた二部制で、第一部にはHump Backが、第二部にはSPARK!!SOUND!!SHOW!!が対バンゲストとして登場。愛はズボーンらしく大阪出身のバンドたちを迎えたライブとなった。コロナ禍での延期が度重なり、結果的に『TECHNO BLUES』のリリースツアーとして復活した今回のライブであるが、本稿では第二部の模様をレポートしていきたい。

 SPARK!!SOUND!!SHOW!!は、「愛はズボーンの悪いお友達、SPARK!!SOUND!!SHOW!!です」と名乗ってライブをスタート。のっけからトランス状態に陥りそうな爆音で空気を切り裂いた。だが、彼らが音を鳴らす理由は破壊衝動ゆえではなく、“軋轢からの解放”のためだろうし、闘争と共鳴の場所こそがライブハウスなのである。目だけは一切笑っていないこの日のパフォーマンスからも、そんな強い意志を感じられた。「かいじゅうのうた」を筆頭に遊び心をふんだんに取り入れているのもスサシらしく、ぎこちないダンスの一挙手一投足にも意味を見出すから、ダンスミュージックへのアプローチも拒まない。「南無」「アワーミュージック」など、ジャンルを跨ぎながらも、ロックバンドとしての矜持が伝わってくる点はスサシと愛はズボーンに共通しているものだろう。

 スサシのバトンを受け、後半は愛はズボーンがオンステージ。長身のフロントマン・GIMA☆KENTA(Vo/Gt)が全身に纏うピンクの衣装に客席もどよめいたところで、「ゆ〜らめりか」からライブが始まった。2017年の1stアルバム『どれじんてえぜ』からの選曲であるが、きめ細やかかつ開放的なアンサンブルが胸に響き、金城昌秀(Gt/Vo)の歌声にも高揚感がみなぎっている。バンドの現在地が1曲目から露わになったところで、『TECHNO BLUES』の“テクノ”の側面を象徴する「I was born 10 years ago.」へ。シーケンスによるベースミュージック的なアプローチを音源で聴いた時には驚いたが、白井達也(Ba)&富永遼右(Dr)のうねるリズム隊と、金城&GIMAによるギターリフのかけ合いを見ていると、ロックバンドの楽曲として違和感なく成り立っているのがすごい。

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