愛はズボーン、開放的な演奏で響かせた“10周年の現在地” SPARK!!SOUND!!SHOW!!迎えた絶好調の一夜をレポート

愛はズボーン、10周年の現在地

 MCを挟んでからの中盤は、軽妙なポストパンク「ドコココ」、リズミカルにどっしり聴かせる「トーリライクウェル」と、ロックバンドの地力で聴かせるパートが続く。その中心に立つのはGIMA☆KENTAだ。先日のインタビューでも「カッコつけなくなって、どんどん素直な人間になっている」(※1)と話してくれたが、その言葉通り、ダイナミックながらも自然体にステージを掌握するGIMAの姿を見て、胸が高鳴った。GIMAはもともと一発の言動でオーディエンスの心を掴むことに長けていて、愛はズボーンの推進力を象徴するような存在だが、自身の内側にある“棘”と向き合う曲も歌うようになったからこそ、フロントマンとして何を伝えるべきなのか、より自覚的になってきているように思える。切実で力強い、新しいGIMA☆KENTAの魅力が詰まったパートとなった。

 さらに、「READY GO」「adult swim」「BEAUTIFUL LIE」と、愛はズボーンの幅広さが表れたセットリストが続く。ここで際立つのは、金城のユーモアやアイデアだ。時計の針や信号の点滅のように、物事や思考は同じところをぐるぐる巡っているが、それでも人は少しずつ前に進んでいくはず。そんな想いの込もった言葉が、オーディエンスと共有されていく光景はとても美しく、同じ空間で音楽を聴く意味を今一度思い出すことができた。

GIMA☆KENTA
金城昌秀
白井達也
富永遼右
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GIMA☆KENTA
金城昌秀
白井達也
富永遼右
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 いよいよ終盤。富永の「よっしゃー! ハムナプトラ2!」という掛け声からの大仰なドラムインに爆笑したが、新たな代表曲「ぼくらのために part1」にはバンドの今がギュッと凝縮された凄みがあった。続く「FLASH BEATS & JUMP」もそうだが、愛はズボーンは人生のプラスとマイナスを同時に鳴らせるバンドであり、迷いがあるから決意も生まれるということを真正面から体現している。ゆえにテクノとブルースという、一見相反する音楽性も彼らの中で1つに調和し、生活と共鳴しながら楽曲の形になっていけるのだ。

 出口はないが生きていかなければいけない、昨今の我々の心境ともシンクロするアルバム『TECHNO BLUES』。今回のライブで目撃した数々のパフォーマンスは、大声のシンガロングが戻ってきた時に、きっと思い出したくなる開放的な一夜だった。8月には『愛はズボーン 〜I was born 10 years ago.〜』の追加公演として、新代田FEVERでのワンマンライブも決定。まだまだ止まらない、愛はズボーンの歩みに注目していきたい。

※1:https://realsound.jp/2021/06/post-788400.html

愛はズボーン オフィシャルサイト

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