ネクライトーキー、ズーカラデル、SPARK!!SOUND!!SHOW!!、Novelbright…フェスでさらなる飛躍を予感させるバンドたち

 今年の『COUNTDOWN JAPAN』の公式ホームページにて、「最終先行となる6次先行では、15万人を超える方にご希望に添えないという通知を出すことになってしまいました」というお詫びのコメントが掲載された。これはつまるところ、それほどまでに“ロックフェス”が支持されていることを意味するのだと思う。実際、アーティストの人気をはかるうえで、今でもフェスは大きな指標の一つとなっているし、若手バンドが存在感を示すための場所としても機能している。

 そこで、この記事では2019年にフェスを中心に大きく躍進し、2020年にさらなる飛躍を予感させるバンドをいくつか取り上げてみたい。

ネクライトーキー『ZOO!! 』(通常盤)

 まず、最初に名前を挙げたいのがネクライトーキーである。出世作「オシャレ大作戦」が発表されたのは2018年。その頃から徐々に存在感を示しはじめ、2019年から本格的にフェスを中心に人気を博すようになった。実際、観客の乗せ方や魅せ方が2018年から2019年にかけて洗練されたし、それに伴ってライブでの熱狂はより大きなものになったように感じる。代表曲の1つ「オシャレ大作戦」は、サビで四つ打ちと裏打ちハイハットを組み合わせた、いわゆる“フェス受けしやすいリズム“を盛り込んだ歌となっている。が、このバンドはいわゆる“踊らせるロックバンド”とは趣が異なる。例えば、「許せ!服部」では間奏のパートで息のあったバンドアンサンブルを披露し、予定調和を崩すような攻撃的なリズムを披露する。そして、このようなトリッキーなバンドサウンドを披露しているときの方が、ネクライトーキーのライブの熱狂度が高いのだ。曲ごとのつなぎ方も見事なもの。演奏そのものでオーディエンスを熱狂させる屈指のライブバンドであり、2020年のフェスでもさらなる飛躍が予感される。

ネクライトーキー LIVE「許せ!服部」

 次に名前を挙げたいのがズーカラデル。昨年と今年で出演するフェスの本数が大きく増加したバンドの一組だ。ズーカラデルは定型的なノリ方を強制させるのではなく、各々が好きなように楽しむことを肯定するバンドである。実際、バンドが鳴らすリズムはゆったりとしており、ノリ方に対する自由度が高い。そのため、歌詞にコミットメントするように拳を突き上げる観客もいれば、腕を組みながらじっとバンドメンバーに熱い眼差しを送る観客もいる。特にフェスの場合、頭より上に手を上げる動きを促すバンドが多い中で、ズーカラデルはそこにこだわらない。オーセンティックなロックを自信を持って響かせている。バンド全体もどことなくマイペースな雰囲気であり、その生き急いでいない様子がロックフェスのステージでの空気に通じているような気がする。彼らが来年さらなる躍進をするのではないかと期待できるのは、観客が自由に楽しめるポップスが彼らにしかない武器となっており、自分たちの立ち位置を確実に作っていっているからである。

ズーカラデル 「アニー」Music Video

 SPARK!!SOUND!!SHOW!!も、今年フェスを中心に大きく存在感を示すようになったバンドの一組ではないだろうか。ステージ外にある建物やフェンスによじ登るような、アグレッシブなパフォーマンスが彼らの大きな魅力のひとつ。昨今のロックバンドは、SNSの影響もあってか目立つ場所で尖ったパフォーマンスを控えることが多くなった。“良い子でいること”に努め、余計な言葉は口にしないバンドも増えてきた。そんな中、SPARK!!SOUND!!SHOW!!は“自分たちができることを全力でやる”、という気概を感じさせる。そしてそれは“よじ登る”という絵的なパフォーマンスだけでなく、バンドサウンドにも通じている。ライブでよく披露される「南無」では、タイトル通り、お経のような言葉を取り入れ、ラップのようなフロウで言葉をまくしたてる。かと思えば、ダンスチューンのようなバキバキのシンセサイザーの音を取り入れているし、ノイズに近い音を響かせながらゴリゴリに突き抜けていく。他のバンドにはないミクスチャーを垣間見せるわけだ。“良い子なバンド”ならわざわざ選択しないような攻めを作品に盛り込むのである。そういう選択をお構いなしにできるからこそ、SPARK!!SOUND!!SHOW!!は、ロック、フェスシーンにおいて大きな存在感を示しているのかもしれない。

SPARK!!SOUND!!SHOW!! GODSPEED MV

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