Hi Cheers!、飾らない4人で鳴らした“音楽へのピュアな想い” 会場中が笑顔で溢れた初のワンマンライブ

Hi Cheers!、4人で鳴らしたピュアな想い

 Hi Cheers!が初のワンマンライブ『Hi Cheers! お披露目Live「大変気持ちがいいでShow!!」』を6月25日に開催した。

 Hi Cheers!は上野正明(Vo/Gt)、高村風太(Vo/Key)、Chie(Vo/Gt)、月川玲(Vo/Ba)の4人組バンド。全員がボーカルをとれることや4人のコーラスワークを持ち味としている。2020年7月に初の音源「ABCがワカラナイ」を配信リリースしてデビュー。その後もリリースを重ねるも、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でワンマンはなかなかできておらず、この日はファンにとってもメンバーにとっても待望のライブだった。

 メンバーがスタンバイをするまでの間バックで流れていたのは「マツケンサンバⅡ」で、ハイテンションな選曲から早速バンドのポリシーを感じた。そのあと高村がホイッスルを吹き、ラテン調のデビュー曲「ABCがワカラナイ」から演奏を始めることで、中南米のビート特有の陽気な熱さを立ち上がらせる。観客が手拍子するなか、時にはアイコンタクトを取り合って楽しげに演奏するメンバー。「恋はケ・セラ・セラ」のあとの最初のMC、上野が興奮気味に「久しぶりにいっぱいの人を見る!」と言っていたのが印象的だった。

 経験豊富なサポートドラマー・橋谷田真に背中を預け、初々しいサウンドを鳴らすメンバーの姿が眩しい。この日は、デビューから今日に至るまでに発表された全6曲に加え、前身バンド時代の曲や未発表曲の新曲も披露。計10曲で以ってバンドが今持っているものを存分に表現した。高村は甘酸っぱくて表情豊かな歌声で、鍵盤を弾いていないときは身振り手振りしながら歌うことも多い。対して上野は、渋めの低音ボイス。綿菓子のように柔らかい月川の歌声と芯の通ったChieの歌声とのコントラストも印象的だ。全員が歌える=ボーカルのキーを考慮しながら曲を作る必要性があるからなのか、転調がユニークな曲が多く、全体的に音数は多い。とはいえ、サウンドはどこか懐かしく、ボーカロイド文化を経た2020年代のバンドという印象は薄い。むしろ80年代のネオアコ、ディスコ、R&B辺りからの影響を感じる。つまり、近代~現代に国内外で鳴らされている音楽よりも、メンバー自身が生まれる前の時代からあった音楽を吸収し、彼ら流にアップデートするスタイルということ。そういう意味では、タイトル通りジャズ的な手捌きが垣間見えた「今夜はBebop time」など、前身バンド時代の曲の中にも興味深いものがあった。

 ……と書くと、小難しい印象を与えてしまうかもしれないが、ライブの真ん中にあったのは“自分たちの音楽を聴いて笑顔になってほしい”というピュアな想いや、それを実現させるためのエンターテインメント性、4人の飾らないキャラクターだ。中盤では、“Hi Cheers!のチキチキ10分クッキング”という、音楽誌『B-PASS』で連載中の10分で曲作りを行うコーナーを生披露した。「板橋のメソポタミア文明」というぶっ飛んだ曲名(観客から募集した単語からランダムで2つ引き、それがそのまま曲名になるシステム)を前に、「ウソだろー!」「ヤバいヤバい」と言いつつも、コード進行が決まれば、誰からともなく音を重ね、セッション的に曲が形作られていく。

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