緑黄色社会、個性豊かな4人が『SINGALONG』に込めた一つの思い 「“みんなで一緒に”というより心で繋がる感覚」

緑黄色社会、個性豊かな4人が『SINGALONG』に込めた一つの思い 「“みんなで一緒に”というより心で繋がる感覚」

 緑黄色社会から約2年ぶりとなるオリジナルフルアルバムが届けられる。『SINGALONG』とタイトルされた本作には、「想い人」(映画『初恋ロスタイム』主題歌)、「sabotage」(火曜ドラマ『G線上のあなたと私』(TBS系)主題歌)、「Shout Baby」(アニメ『僕のヒーローアカデミア』第4期文化祭編エンディングテーマ)といったタイアップソングに加え、メンバー4人の個性が反映された新曲もたっぷり収録。ジャンルを超えた音楽性、メンバー全員が作曲できる幅広さ、そして長屋晴子(Vo/Gt)の表情豊かな歌など、“リョクシャカ”の魅力がさまざまな角度から楽しめる作品に仕上がっている。

 リアルサウンドでは、メンバーの長屋、小林壱誓(Gt/Cho)、穴見真吾(Ba/Cho)、peppe(Key/Cho)にインタビュー。アルバム『SINGALONG』の制作をフックにしながら、バンドの基本的なスタンス、現在のモードなどについて語ってもらった。(森朋之)【※記事最後にオリジナル動画とプレゼント情報あり】

「自分たちの楽曲がライトな音楽ファンにも届いている感覚はある」

ーードラマ『G線上のあなたと私』の主題歌「sabotage」、アニメ『僕のヒーローアカデミア』のEDテーマ「Shout Baby」など、話題のタイアップソングが続いています。これまでとは違う層のリスナーに届いてる実感はありますか?

長屋晴子(以下、長屋):そうですね。ライブで「初めて来ました」という方が増えたり、友達が「聴いたよ」と連絡をくれたり。

小林壱誓

小林壱誓(以下、小林):友達から「自分から探さなくても、目に付くところにいてくれるようになった」と言われましたね。あとは地元(名古屋)のCDショップで展開してくれたり、いろんなところで応援してもらえて。

peppe:インスタにも、以前よりも幅広い年齢の方がコメントをくれるようになりました。“初めまして”の方も多いし、お子さんと一緒に聴いてくれているという方も。

穴見真吾(以下、穴見):高校のとき、2回くらいしか話したことがない人から「アニメ観てたら、(緑黄色社会が主題歌を担当していて)ビックリした」って連絡が来たんですよ。「sabotage」のときは、以前のバイト先の人たちが「よかったね」ってメッセージをくれたり。自分たちの楽曲が、比較的ライトな音楽ファンにも届いている感覚はありますね。

長屋:嬉しいですね。ずっと「バンドという形態だけど、お茶の間に浸透したい」と思っていたので。少しずつ、そういう存在に近づけているのかなと。

ーー「sabotage」「Shout Baby」に関して言えば、ボーカルのパワーが明らかに向上していて。そのあたりは意識していました?

緑黄色社会 『sabotage』Music Video(TBS系火曜ドラマ『G線上のあなたと私』主題歌)
緑黄色社会 『Shout Baby』Music Video(TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』4期「文化祭編」EDテーマ / MY HERO ACADEMIA ENDING)

長屋:「sabotage」はサウンド面でも、パワフルさがテーマで、歌も目の前で歌っているような距離感、力強さをイメージしていました。レコーディングでも、顔を真っ赤にして歌ってたんじゃないかな(笑)。「Shout Baby」はエモーショナルに歌うことを意識していて。力強さの方向が少し違うというか。

ーーなるほど。では、アルバム『SINGALONG』について。映画、アニメ、ドラマなどのタイアップソングはもちろん、新曲も驚くほどバラエティ豊かで。楽曲の制作やレコーディングにおいて、変化した部分はありましたか?

長屋:やりたかったことが実現したり、新たにトライすることがかなりありました。たとえばホーンを入れたり、初めて一緒に制作するアレンジャー、ドラマーだったり。私たちは4人全員が曲を作るんですけど、それぞれの曲の雰囲気も変わってきてますね。そのときに聴いていた音楽の影響なのか、心境の変化、やりたいことが変わったきたとか、理由はわからないですけど。(曲調などが)変わったというより、広がったという感じなのかな。曲を聴けば顕著にわかりますからね、「この人、いまはこういうモードなんだな」って。

穴見:そうだね(笑)。正直、4人全員が曲を作るとまとめるのが大変なんですよ、メンバーもスタッフも。ただ、そのことによって偶然性みたいなものが生まれて。

長屋:わかる。

穴見真吾

穴見:たとえばスタジオミュージシャンが「ビートルズっぽい感じでやろう」ということになれば、すぐにその通りになると思うんです。でも、自分たちの場合はそうじゃなくて、制作の中で変化することも多くて。曲のイメージを共有するときも、音楽的な用語ではなくて、“かわいい”とか、“壮大に”“アグレッシブな感じで”みたいに抽象的なことばかりなんですよ。その方が面白いものが出来るというか。

長屋:“かわいい”にしても、4人それぞれ捉え方が違うし、それが混ざり合って、緑黄色社会の“かわいい”になるんですよね。できるだけ可能性を広げておきたいし、そもそも「こういういジャンルでやろう」とか「こういう音楽が好きで集まった」というバンドではないので。

ーーアルバムの制作でも、新しい表現ができたという手ごたえがありましたか?

小林:すごくありました。「まったく新しいバンドに生まれ変わったんじゃないか」というか。曲によっては「ぜんぜん違うバンドみたいだな」と思われるかもしれないけど、長屋の歌があるからこそ、どんなことをやってもしっかりまとまっているという認識ですね。たとえば「愛のかたち」は、緑黄色社会の異端児というか(笑)。もともとは長屋のピアノと歌のデモがあって、「いいな」と思ってたんですけど……。

長屋:私も気に入ってたんですけど、「地味かな」と思っていて。以前から小林が「やろうよ」って推してくれていました。

小林:真吾が主にアレンジして、その頃に聴いていたSuperorganismみたいな色も入ってきて。

穴見:Superorganismは、今の音楽のおもしろさがいっぱい詰まってますからね。あと、チャットモンチー的な要素も入れたくて。「令和の『バスロマンス』を作る」が自分のなかの裏テーマだったんですよ。あの曲って、メンバー全員が歌い上げていて。それを自分たちでやってみたらどうだろう? と。

ーー「愛のかたち」も冒頭から全員で歌ってますからね。童謡みたいな雰囲気もあるけど、歌詞には強いメッセージが込められていて。

長屋:そうなんですよね。わかりやすい曲のなかに、ちょっとヒネくれてるというか、自分の言いたいことを入れる違和感が好きで。「愛のかたち」は、まさにそういう曲ですね。

peppe:コーラスを3人(peppe、小林、穴見)で1本のマイクで録ったり、楽しかったですね。レコーディングのやり方も1曲1曲違っていて。これまで以上に濃密だし、曲ごとにいろんな場面を鮮明に思い出しますね。

長屋:思い出が詰まってますね。もはや真吾がベースを持っていないことがあったり(笑)。

穴見:何曲かはシンセベースなんですよ。

peppe:個人的には、トオミヨウさん、横山裕章さんとの制作も印象に残ってますね。お二人ともキーボーディストで、いろいろな機材を持ってきてくれて。「Mela!」では、前から使ってみたいと思っていたProphet-6(アナログポリシンセ)を用意してもらって、音作りからいろいろ試したんです。自分の意見にアイデアを加えてくれて、ブラッシュアップしてもらって。その段階からすごく楽しかったですね。

ーー「Mela!」はアルバムのなかでも特にインパクトが強い曲ですよね。作詞が長屋さんと小林さん、作曲がpeppeさん、穴見さん、編曲が横山裕章さんとというコライト状態で。

peppe

長屋:もとのアイデアはpeppeだよね?

peppe:そう。フレーズを思いついて、曲にしようと思ったんだけど、一人ではなかなか広げられなくて。真吾だったら上手く膨らませてくれるかなと思って、ヘルプを頼んで。

穴見:スタジオに入っているとき、たまたまpeppeと俺だけになって、「ちょっとジャムってみようか。何か作ってるものない?」という感じで、セッションをはじめて。最初はジャズっぽいオシャレな雰囲気で、peppeがAメロとして作っていたメロディがすごく強かったから、「これをサビに持ってこうよう」と。

長屋:私は曲が出来てから聴いたんですが、せっかくpeppeと真吾が二人で作った曲だから、久しぶりにメンバー全員で作りたいと思って、壱誓に「一緒に作詞しよう」と持ち掛けたんです。アルバムに入っている「あのころ見た光」も壱誓と私が歌詞を共作したんですが、あのときは各々がフルで書いて、いいところをミックスして。今回はそうじゃなくて、まず壱誓がプロットを書いて、それを私が歌詞に起こして、ああだこうだと話しながら仕上げたんです。初めての作り方だったし、これだけいろいろと作ってきたけど、まだ新しいやり方があるんだなと思いました。

小林:そうだね。今度は全員で一小節ずつ作ってみようか?

長屋:完成までに何年かかるかな(笑)。

緑黄色社会 『Mela!』Music Video / Ryokuoushoku Shakai – Mela!

ーー小林さんが作詞・作曲したエレクトロテイストの「inori」も新機軸だと思いました。

小林:そうかもしれないですね。イントロ、Aメロは抑えてるんだけど、サビで急にキャッチーになる曲を作ってみたくて。アレンジはトオミヨウさんで、僕が作ったデモを生かしつつ、エレクトロの要素を加えてもらった感じです。

穴見:壱誓は最近、サブスクのチャートの上位に入っているようなポップスをよく聴いてるみたいで。その感じが出ている気がしました。

小林:たしかに特定のアーティストではなくて、そのあたりの曲を聴いていて、細胞に入っちゃってますね(笑)。歌詞に関しては、実体験をオブラートに包んで書いていて。夜中に車を運転していたとき、犬が虐待されている現場を見たんです。ショッキングだったし、何も出来ない自分に対する戒め、その犬への祈りを歌詞にしたいと思って。

長屋:もともとは私が歌詞を書く予定だったんですが、壱誓から「俺、書きたいことがある」と言われて。そういう気持ちは大事だし、(歌詞の)内容も聞いたうえで、書いてもらうことにしました。歌のレコーディングは難しかったですね。でも緑黄色社会にとっては新しいテイストの曲だし、可能性が広がる良い機会になったなって。

ーー可能性を狭めないというスタンスは一貫してますね。

長屋:「このやり方はないな」で終わらせることはしないですね。私自身は、どちらかというと挑戦するのが好きじゃないんですよ。新しいこと、初めてのことが苦手で、怖いなと思うこともあるので。3人(小林、穴見、peppe)は新しいことに前向きな性格なので……。

小林:ときにはめっちゃ説得します(笑)。曲決めもそうだし、レコーディングの歌録りで「大丈夫だよ」と声をかけたり。長屋が抱いている歌のイメージと、聴いている側が感じていることが違っているときがあるんですよね。そういうときは「めちゃめちゃいいじゃん!」って。

長屋:後押ししてもらえることもあれば、「いや、ぜんぜん大丈夫じゃないんだけど」と思うこともあります(笑)。

小林:長屋のなかで大丈夫じゃない明確な理由があれば、もちろん尊重しますよ。

長屋:私自身は不安になりがちで、一歩踏み出さないタイプではあるので、メンバーのなかにいろんなタイプの人がいるのはいいなと思いますね。しかも、全員が少しずつ変化していて。同じことを続けていればキャラ付けできますけど、冒険することで新しい発見があるし、多様性が生まれるのかなと。

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