Kan Sanoが語る、スティービー・ワンダーから学んだピアノ奏法 『Kan Sano Talks About Pop Music』第2回(前編)

Kan Sano、スティービー・ワンダーを解説(前編)

スティービーから学んだ “鍵盤を引っ掛ける”ピアノ奏法

 奏法の名前がもしかしたらちゃんとあるかもしれないんですけど……たとえば「ミ」を押さえるときに隣の音を引っかけて弾くんですよ。ギターとかだとチョーキングで登ってきたりできるんですけど、ピアノって音程が変わらないじゃないですか。だからこう全音下とか半音下とか二つ挟んだりとかするんです。こういう技を覚えたのが、スティービーの楽曲を聴いてからでした。これをコードを弾く時に使ったりすると、艶っぽくなりますし、歌心が出てくるんですよね。逆にこの奏法を使わないと、ちょっと行儀のいいサラッとした感じになるんですよね。僕の曲で言えば「Long Walk」とか「Melody At Night」でもちょっとずつ入れてますし、よく使っています。一番大きな影響ですね。でもあんまりJ-POPで使っている人はいないので、もっと使えばいいのになって思ってます。

スティービー・ワンダーの音楽性の魅力

 スティービー・ワンダーは、やっぱり歌の上手さとエンターテイナーとしての才能が長けてますよね。The Beatlesのようなポップスの名曲をカバーしても自分の色にできる強さがありますし、10代の頃からずっと人前で演奏していることもあって、みんなが歌いやすいメロディを作るのも上手い。複雑なハーモニーやリズムを使っていても、トータルでキャッチーに聴かせる技が巧みなんです。それにマルチプレイヤーでいろんな楽器もできて、今で言う宅録アーティストの走りでした。一人で全部演奏できるということも、当時画期的だったんじゃないかと思います。

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■リリース情報
「Natsume」
4月28日(水)
レーベル:origami PRODUCTIONS
形態:配信+ストリーミング
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