KOTORI、2度の延期を経て実現した“KOTORIホール”ワンマン 音楽への覚悟をナチュラルに体現

KOTORI、2度の延期を経て実現した“KOTORIホール”ワンマン 音楽への覚悟をナチュラルに体現

 立川からJR青梅線で4駅。飲食店が並ぶ駅前を抜け、その脇の細長い道を進んでいく。この日の東京は雨。でこぼこ道が作る水たまりを避けながら、「そういえば」と思い当たった。昨年の日比谷野外大音楽堂公演然り、このバンドの大事なライブの日には雨が降りがちだ。

 KOTORIが4月17日、初のホールワンマン『Standing Ovation』をKOTORIホール(昭島市民会館)にて開催した。2度の延期を経て実現した待望のライブだ。会場名とバンド名が同じなのは全くの偶然。MC曰く、「見つけた瞬間、おっ! となった」らしく、その縁もあってか「何回延期してもやるつもりだった」そうだ。

 1曲目は「We Are The Future」。昨年7月にリリースされ、つい先日、今年5月12日リリースのアルバム『We Are The Future』の表題曲であることが明らかになった曲だ。この会場で演奏する日を思い描いて作ったんじゃないか? と思えるほどスケールのある曲だし、ライブの冒頭で〈We are the music.〉〈We are the future.〉と歌う意義は大きい。照明の光量が全開になると、メンバーの姿が浮かび上がる。下手から順に、佐藤知己(Ba/Trp)、横山優也(Vo/Gt)、上坂仁志(Gt/Cho)、細川千弘(Dr/Cho)が横一列に並ぶフォーメーション。バンドサウンドは勢いに満ちていて、特に大きく振りかぶって叩く細川のビートは躍動的だ。その隣には搔きむしるようにギターを弾く上坂。佐藤はステージの内側を向き、メンバーの呼吸を目でも確かめながら演奏している。

 ライブに飢えていたファンの心に火をつけるように、前半はアッパーチューン中心。例えば「ジャズマスター」のサビ、〈光れ〉のロングトーン。あるいは「unity」の冒頭、ツインギターで鳴らすリフ。みずみずしいバンドサウンドに胸を焦がした観客が、力強く拳を掲げてそれに応えていく、横山が言っていた「叫びたいときはIn your heart」というのは、4日前に対バンしたSuspended 4thの鷲山和希(Gt/Vo)の発言とのこと。そのうえで、横山は「素晴らしい世界」で観客に「スゲー聞こえてます!」と伝えた。

 会場の後方で見ていてもバンドの熱はしっかり伝わって来るし、演奏のスケールが会場の規模に見合っているほか、メンバー4人にも気負っている様子がない。先述の通り、この日はKOTORIにとって初のホールワンマンだ。しかしそうとは思えない堂々したサウンド、佇まいに、“ライブの本数を重ねているうちにいつの間にか化けていた”としか説明しようのない、このバンドの天然のすごみを感じた。「映画館みたいにして観たい人はここで座っても」(横山)と後半ではメンバーの後ろに幕が下ろされ、そこに映像を投影。トランペットの音色が温かい「雨のあと」は、湿度や匂いまで立ち上がらせる演奏だ。

 さらに後半では、アルバム『We Are The Future』に収録される新曲を5曲披露。うち2曲を連続で演奏したあと、「あー、今2曲続けて新曲やりました」(横山)とサラッと言ってのける感じもこのバンドらしい。白眉は12曲目の「Anywhere」。曲自体の構成も歌われている言葉もシンプルで、だからこそ演奏者に表現力が求められるこの曲は、いうなれば“音で語る曲”。バンドの音は行間に滲む想いを表現するものとして存在していて、音に内包されたイメージを受け取るように、観客はじっと聴き入った。また、横山がアコースティックギターを弾く新曲「ソングバード」の素朴さによって、その次に演奏された「彗星」がよりドラマティックに聴こえるようになっていたことにも触れておきたい。リリース前の新曲が早くもライブにいい影響をもたらしているのだ、6月から始まる47都道府県ツアーはきっともっと面白くなると思う。

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