劇場版『コナン』主題歌、ZARD「夏を待つセイル(帆)のように」から20年 B'z、倉木麻衣……初期主題歌振り返り
4月18日に劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』が公開。主題歌はKing Gnuの「TWILIGHT!!!」となることが発表された。金曜ロードショーでは『隻眼の残像』の公開にあわせて4月4日に『名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)』(1998年)、4月11日に『名探偵コナン 水平線上の陰謀(ストラテジー)』(2005年)、4月18日には『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』(2024年)が放送される。
金曜ロードショーでも放送される『水平線上の陰謀』の公開から今年で20年、またその主題歌となったZARD「夏を待つセイル(帆)のように」のリリースから20年の節目を迎える。本楽曲は豪華客船が舞台である『水平線上の陰謀』にふさわしい雄大なイントロから、ミニマムなサウンドで坂井泉水の凛々しい歌声をじっくりと聞かせるAメロ、Bメロを経て、サビでは海や夏を彷彿とさせる爽やかなサウンドとコーラスが展開。本作の舞台設定に寄り添うサウンドが印象的な1曲だ。
サビの歌詞では〈君のことを…ずーっと…/ずっとずっと思っているよ〉というフレーズが登場するが、これは『水平線上の陰謀』劇中において少年探偵団の面々と毛利蘭、鈴木園子がかくれんぼをしている時にコナンのことを見つめ続ける蘭、そしてクライマックスで行方不明となった蘭を見つけ出すコナンの姿を想起させる。サウンド、そして歌詞の両面から『水平線上の陰謀』にぴったりの1曲だと言えるだろう。
『14番目の標的』の主題歌も同じくZARDが担当している。主題歌となったのはシングル『運命のルーレット廻して』のカップリングとしてリリースされた「少女の頃に戻ったみたいに」。表題曲「運命のルーレット廻して」はアニメ『名探偵コナン』(日本テレビ系)のオープニングテーマとして起用されており、ZARDと『コナン』シリーズの密な関係がここからも窺い知ることができる。「少女の頃に戻ったみたいに」は静謐な鍵盤から始まり、サビで飛び込んでくる分厚いバンドサウンドが印象的だ。
〈幼い 少女の頃に戻ったみたいに/やさしく 髪を撫でてくれる〉〈あなただけは 私を やさしい人にしてくれる〉というフレーズには、作中で明らかになった毛利小五郎とその妻である妃英理の過去、ひいてはその娘である蘭の家族への思いを重ね合わせてしまう。「夏を待つセイル(帆)のように」「少女の頃に戻ったみたいに」、2008年公開の「名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア)』と、ZARDは劇場版『名探偵コナン』シリーズの主題歌を3度担当しており、初期の劇場版『名探偵コナン』シリーズを支えた存在と言えるだろう。
劇場版『名探偵コナン』、ひいてはアニメ『名探偵コナン』シリーズの主題歌と言えば、忘れられないのはB'zの存在だろう。劇場版シリーズでは『名探偵コナン 世紀末の魔術師』(1999年)、『名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊』(2002年)、『名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)』(2006年)など、これまでB'zは5回にわたり劇場版『名探偵コナン』の主題歌を担当してきた。
『世紀末の魔術師』の主題歌となったのは「ONE」。こちらも『名探偵コナン』アニメシリーズのオープニングテーマとして屈指の人気を誇る楽曲を表題にしたシングル『ギリギリchop』の収録曲だ。ZARD同様にB'zも当時から『名探偵コナン』シリーズと縁の深いアーティストであることがわかるだろう。B'zらしいロックチューンである「ギリギリchop」に対し、「ONE」はストリングスによる演奏が印象的なミディアムバラードナンバー。ストリングスや鍵盤の中で存在感を放つ松本孝弘によるギターが切なさを加速させる1曲だ。
『世紀末の魔術師』はシリーズでも人気の高いキャラクター·怪盗キッドが劇場版作品に初登場した作品だが、「ONE」は『世紀末の魔術師』におけるコナンとキッドの関係性を彷彿とさせる歌詞の世界観が印象的だ。探偵と怪盗という真逆の存在でありながらも、必要な協力を惜しまない好敵手である2人。〈ぜったい会いましょう いつかどこかで/忘れるわけないだろう〉と稲葉浩志が力強く歌うフレーズは、コナンとキッドの次の対決を予感させてやまないのだ。