高田馬場AREA、名古屋APOLLO BASE……建物の老朽化による相次ぐライブハウス閉店

建物老朽化によるライブハウス閉店相次ぐ

 コロナ禍に突入した2020年から現在にかけて、全国各地でライブハウスの閉店が相次いでいる。地方では多くの人気バンドを輩出してきた札幌COLONYや、様々なアイドルが出演していた仙台LIVE HOUSE 88などが閉店に追い込まれ、都心ではルイードグループの東京3店舗(池袋RUIDO K3、新宿RUIDO K4、渋谷RUIDO K2)が全て閉店することとなった。その他にも「コロナの影響」と公表こそしていないものの、実際はコロナショックを受けて経営困難になったことから閉店に踏み切ったライブハウスも多いことだろう。しかし、今ライブハウスに立ちはだかる壁はコロナだけではない。もう一つの大きな問題が、建物の老朽化である。

 2020年12月、高田馬場AREAが閉店を発表した。【SUPER LIVE THEATER AREA 閉店のお知らせ】というタイトルで公式サイトにアップされたメッセージに綴られていた閉店理由は、“オーナービルの老朽化、取り壊し“だった。さらに2021年3月には、名古屋APOLLO BASEが閉店を発表。それぞれ発表から閉店までの期間は1年、理由は同じく建物の老朽化であった。

 まずは二つのライブハウスの歴史を振り返りたい。高田馬場AREAは1997年にオープンしたライブハウスだが、実は「高田馬場パール座」という名の名画座を改装して作られたスペースである。パール座は1951年にオープンした映画館のため、少なくとも70年以上が経過しているかなり老舗の建物と言える。その歴史の片鱗は、入口にある出演バンドの掲示スペースや(映画館時代は上映中作品の掲示スペースだったらしい)、今時珍しい和式トイレから感じられる。V系バンドの聖地と呼ばれる高田馬場AREAだが、V系ファンからは“とにかく見やすい箱”として人気がある。ステージ自体が高く、三段に分かれたフロアも段差が高いので、どこの位置からも比較的見通しが良い。この見やすいつくりも映画館の名残なのかもしれない。高田馬場AREAを運営する有限会社バツバツバツレコードは、音楽レーベル・SPEEDDISKも主催しており、R指定(2019年活動凍結)やダウト、Moran(2015年解散)などシーンの流れを作り上げてきたバンドが多数所属している。彼らを含む多くのバンドが日々熱いライブを繰り広げており、the GazettEなどメジャーバンドの原点でもあるため、V系シーンの中では唯一無二の特別なライブハウスなのだ。そんな場所の閉店発表は、多くのV系ファンとバンドマンに衝撃を与えた。

 一方、新栄にある名古屋APOLLO BASEは、「アポロシアター」という名で1980年代にオープンし、お酒や食事と共にR&Bを楽しむ場所だった。2000年に現在の形に生まれ変わり、2015年に現在の店名に改名された。バーカウンターなど、アポロシアター時代の内装がほぼそのまま使われているため、レトロで雰囲気のある空間が楽しめる。キャパ250人の小さめのライブハウスなのでその分ステージとフロアの距離が近く、これぞライブという熱量の高い臨場感が味わえるのが魅力だ。系列店のDIAMOND HALLと共に名古屋のライブシーンを盛り上げ、インディーズからメジャーまで様々なアーティストとファンを繋いできたライブハウスなだけに、この場所に青春の思い出が詰まっているという声も多い。

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