解散表明したDaft Punk、バイラルチャート席巻 28年のキャリア横断した多大なる影響と功績
筆者もDaft Punkの音楽に影響され続けたひとりなのだが、もしもこれからDaft Punkを聴き始めるリスナーに最初の1枚を紹介とすれば、オリジナルアルバムではなくライブアルバムを迷わず紹介するだろう。たしかにどのオリジナルアルバムも完成度が高く、とりわけ『Random Access Memories』は、録音技術も含めてスタジオアルバムの最高峰。しかし、わかりやすくDaft Punkの魅力が凝縮されているのはライブアルバムであると思う。『Human After All』を引っさげたワールドツアーのライブアルバム『Alive 2007』は、「One More Time」や「Digital Love」「Harder, Better, Faster, Stronger」といった大ヒット曲が切れ目なくミックスされ、まるでダンスフロアにいるような高揚感を与えてくれる至福の1枚。『Alive 2007』を聴くとDaft Punkのライブをもう見ることができないことへの無念さがこみ上げてくる。
〈Like the legend of the phoenix / All ends with beginnings(不死鳥のように、何かの終わりは何かの始まり)〉というフレーズから始まる「Get Lucky」のように、Daft Punkの解散は単なる終わりではなく、同時に何かの始まりや芽生えであるのかもしれない。シーンを牽引し続けたDaft Punkの遺伝子は、世界中のアーティストやリスナーの心に根付いているはずだ。そして、まだ見ぬ新たな音楽の中にもDaft Punkの遺伝子が確かに刻まれているような気がしてならない。
■Z11
1990年生まれ、東京/清澄白河在住の音楽ライター。
一般企業に勤務しながら執筆活動中。音楽だけにとどまらず映画、書籍、アートなどカルチャー全般についてTwitterで発信。ブリの照り焼きを作らせたら右に出る者はいない。
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