テミン、自分だけの表現を突き詰めたソロ作 SHINeeやSuperM、それぞれの活動ごとに見せる魅力も考察
9月7日にテミンの3枚目のソロフルアルバム『Never Gonna Dance Again:Act 1』がリリースされた。9月25日には所属するユニットグループ・SuperMの1stアルバム『Super One』も発売予定。9月1日には同作からの先行シングルで、『Beyond LIVE』で初披露された「Tiger Inside」をリリースした。母体である所属グループ・SHINeeを始めとして様々な活躍を見せているテミンの、活動ごとに見せる魅力について考えてみたい。
テミンが所属するSHINeeはデビュー時全員が10代だったこともあり、当時多くのアイドルグループが20歳前後でデビューしていた中で爽やかな年下の少年像というイメージは特異的だった。その中で中学生でデビューしたテミンの役割は、可愛らしいマンネ(末っ子)でダンスのエースというポジションだった。成長と共に担うボーカルパートは増えていったが、ダンスパフォーマンスにおける中心という立ち位置はダンスでSMエンターテインメントの練習生になった時から変わっていないと思われる。「コンテンポラリーバンド」を標榜しているとおり、SHINeeは曲ごとに常識にとらわれない新しいコンセプトやイメージを表現してきた。可愛らしさや爽やかさ、ダークなイメージ、コミカルだったりホラー的なもの、属性で表現することが難しいようなどのようなスタイルにもフィットしながらも自分のキャラクターを出していくということが、SHINeeとしてのグループ活動で求められてきたように思う。
SuperMは各グループからメンバーが集められたユニットタイプのグループではあるが、やはりグループという特性上全体で表現するコンセプトが先にあり、そこで求められたキャラクターを表現していくというスタイルに大きな変わりはなさそうだ。あえてSMP(SMミュージックパフォーマンス)とは少し方向性をずらしたパフォーマンスを目指してきたSHINeeよりも、より「SMエンターテインメント」という会社の伝統芸能ともいうべき「正統派」の表現を求められる点は、異なる点とも言える。一方でキャラクター的な役割では、SHINeeでは末っ子だったテミンも後輩グループとのユニットであるSuperMの中では年上の方で、キャリアも最も先輩であることからリーダーの役割を求められかけたが、最終的に最年長のベクヒョン(EXO)が務める流れになったあたりは、SHINeeでつちかった「マンネ力」の賜物なのかもしれない。
一方、ソロ活動でテミンが見せる姿はまた異なるものだ。2014年のデビューミニアルバム『ACE』のリード曲「Danger」は強烈なカリスマ性のあるステージで、檻から解き放たれた獣のようなインパクトがあった。
SMエンタの演出家であるシム・ジェウォンも語っていた、テミン独自の「風変わりな色気のようなもの」は、ソロデビュー当時からある程度確立されていた。当時のインタビュー(GQ Korea)では「周辺のスタッフが普段の僕の本当の姿、内面を見て探して引き出してくれたんだと思います。ステージをしながら積みかさなったノウハウや、エネルギーのようなもの発散したいという気持ちです。それに、僕は芸能人だからあまり表に出すことが上手くないじゃないですか。怒ることもできないし。『Danger』のステージは強烈なのでストレス解消になるんです」と語ったように、最初は周囲が後押しをした部分もありながらも、テミン自身が望んでいた姿や内面に抱いていた欲望を積極的に表そうとしているという点が大きく異なる点ではないだろうか。テミンがやりたいと思うことをやれば、それがそのままコンセプトになると言える。
同じく『ACE』収録の「Pretty Boy」には盟友でSuperMでも一緒に活動しているEXOのカイがフィーチャーされているが、SHINeeのジョンヒョンがテミン自身の「自分が綺麗な男だということを否定したくない。見た目が綺麗なだけではなく、他の姿も持ち合わせている綺麗な男であるということを表現したい」という言葉から、自分が見てきた姿も合わせて歌詞を書いた曲だ。その後韓国内ではブルーノ・マーズが制作に参加した『Press It』収録の「Press Your Number」からは作詞にも参加している。
日本での初ソロミニアルバム表題曲「さよならひとり」はダンサー・菅原小春に振り付けを依頼し、現代舞踊的な要素を取り入れたパフォーマンスを見せた。菅原とは韓国でもダンスプログラムで共演し、その後の「Flame Of Love」、韓国アルバム表題曲の「MOVE」「WANT」でもコラボレーションをしている。特に「MOVE」では、ダンサーはどうしても大きく踊ってしまう傾向があるために、あえて抑制した動きや表現を盛り込むという新たな挑戦をしている。