04 Limited Sazabys GENに聞く、“生のライブ”に懸ける思い 『YON FES』中止から『YON EXPO』開催に至るまでの舞台裏
僕らがやりだしたことが、みんなのものになっている
ーーそれに『YON FES』は地域密着型のフェスというイメージもあります。名古屋でやることに意味がある。モリコロパークが愛知県営の場所なので、行政との連携という部分も難しい点だったのかなと。
GEN:そうですね。その頃は今以上に明確なガイドラインもなかったので、愛知県の動向はずっと注視していました。愛知県側のスタッフとも話をしようと思ったんですけど、いくら対策を練っても詰めきれないんですよ。どれだけ会場で距離をとったとしても電車などの移動は密になってしまいますし、そもそも他県からお客さんを移動させること自体のハードルもありますし。開催に向けていろいろ考えていましたが、最終的には愛知県の要請も受けた上で、中止を決めたんです。
ーーちなみに、中止を決めた際に、出演予定だったアーティストにはどのように伝えたんですか?
GEN:出演者の方々には、基本的に僕から直接連絡をしたんですけど、みんなすごく心配してくれました。中止にする前から気にかけてくれてはいたんですけど、みんな同じ気持ちなのがそこでも伝わってきたというか、僕らの悔しさも理解してくれて嬉しかったです。難波(章浩)さんも「GENちゃん大丈夫? コロナ鬱になっていないか?」って(笑)。
ーーSNSを見ても、中止に対してファンの方々の温かいコメントがあふれてましたね。
GEN:本当にありがたいです。参加予定だったお客さんは、飛行機やホテルの予約もしていただろうから、どうしてくれるんだ、みたいな気持ちも正直あったと思うんです。でも、ずっと僕たちの動向をチェックしてくれていて、開催に向けて動いていた僕たちの気持ちも汲んでくれていたのかなって。『YON FES』自体がまだ若いフェスということもあるので、一緒に作っているということをみんなも感じてくれているのかもしれないと改めて思いました。
ーーそうですね。2016年の初開催から5年で作り上げたファンとの関係性が垣間見えました。前年に4回目を迎えて、その際に『YON FES』は完成したというコメントも拝見しました。改めて、『YON FES』として培ったものはなんだと思いますか?
GEN:やっぱり名古屋の方々に認知されているというか、地域に根付いてきていると思えたからですね。例えば、リニモの車掌さんが帰り道のアナウンスで「楽しんできた思い出は忘れないように」みたいな粋なことを言っていたという話を聞いて。それって僕らがお願いしていたことではないし、参加している地域の方々が自発的に言ってくれた言葉なんだと思うと、ちゃんと地元と一緒にフェスを作っていると感じられたんです。
それにバンドをやっている人たちが『YON FES』のことを知っていて、後輩から「『YON FES』に出たい」と言われたり、先輩に「いつ呼んでくれるの?」みたいに言ってもらえたり、バンドシーンのみんなの年間スケジュールに『YON FES』が入っている感じも嬉しくて。僕らがやりだしたことが、みんなのものになっている。それが、完成したという気持ちになれた理由ですね。
『YON EXPO』を愛知県でやることにすごく意味がある
ーーなるほど。『YON FES』に限らず、2020年はほぼすべてのフェスが中止となりました。「フェスのない夏」はこれまで経験したことのない状況だと思いますが、だからこそ改めてフェスに対して思うことはありますか?GEN:フェスは、僕らの最大の持ち味であるライブをして、そこでお客さんやバンドとの新しい出会いを生み出す場でもあるんです。もしフェスやライブハウスで満足にライブができなくなったとしたら、僕らのような現場主義のバンドはどう生き残っていけばいいんだという不安は覚えました。それにライブができない寂しさはもちろんありますけど、毎年、下手したら毎月会って、一緒にツアーを回っているような感覚になっていた色んなバンドたちに会わない夏がくるとは思っていなかった。今年は活休で出演しないにしても、先輩のフェスとかに遊びに行こうとは思っていたんですよ。そういう尊敬する先輩、しのぎを削ってきた同期のバンド仲間にも会えないのが、今はとにかく寂しいですね。
ーープレイヤーとしてはもちろんですが、イチ音楽好きとしてもフェスがないのは辛いですよね。
GEN:純粋に生音を大きい音で聴けないのは辛いです。配信で音楽を聴く機会は多いですけど、やっぱり僕は人力で生で鳴らしている音が大好物なので、それに飢えています(笑)。ライブをするのも、観るのも本当に好きなんだと再確認したというか。3月後半に『スペシャアワード』(SPACE SHOWER MUSIC AWARDS 2020)がオンラインで行われたんですけど、僕は現場にいるのでGEZANやKing Gnuとかのライブを生で観ていて、めちゃくちゃテンションが上がったんですよ。
ーーこういう状況だからこそ、生音にしかない魅力をより感じられた。
GEN:体が止まらない感じというか、家でいくら最高の環境でライブ映像を観ても、僕の場合は体が自然と動いたりしないんですよ。でも、現場にいるときは自分の意思に反して体が反応するし、ベードラのグルーヴがすごすぎてグワングワンいっちゃうみたいな。音と一緒に空気の揺れを体験できる場所って、そこにしかなかったんだなって。
ーーそんな状況の中、8月にはバンドとして初の本格ドキュメンタリー『04 Limited Sazabys Documentary “Terminal”』がGYAO!にてスタートしました。もともと活動休止は決めていたということですが、このドキュメンタリーはその活動休止に至る過程を見せる場という意味合いがあるんですか。
GEN:そうですね。先ほどもお話したように、本来であれば4月に活動を休止して、夏フェスにも出ない予定だったんですよ。その間にお客さんをただただ待たせることになるので、その間に出せるコンテンツがあったらいいよねという話から、『MYSTERY TOUR 2020』から『YON FES 2020』で活動休止するまでのドキュメンタリーを作ろうと思いました。
ーータイトルの「Terminal」は、2015年リリースのメジャー1stアルバム『CAVU』収録曲ですね。曲自体には、“人生のターニングポイント”のような意味合いも含まれていると思いますが、なぜこの曲をタイトルに?
GEN:「Terminal」は、ターニングポイントであり、終点という意味合いもあるので、そこも少し意味深な感じがありますよね(笑)。でも、僕の中でターミナルはバス停のイメージで、終点というよりも、これからどこにいくんだろうみたいな感覚に近いんです。
ーーここで終わりではなく、そこから新たに始まるような。
GEN:「Terminal」はメジャーデビューのタイミングに出したんですけど、この曲を作った時と同じくらいのモチベーションを持っていれば、これから先も大丈夫だろうなっていう気持ちがあって。この曲を作っていた当時は、バンドとして上昇しているタイミングだったけど、同時に周りから認められなかったり、立ちたいステージに立てないとか、すごい悔しい気持ちもあって、全方位からなめられたくないと思っていたんです。年々そういう反骨精神が薄れているとは感じていたんですけど、この状況になって、いろんな楽しみが奪われたり、シーン全体が苦しくなっているからこそ、あの時の感情を取り戻している感覚がある。ここでもう一度再出発ではないですけど、このタイミングで「Terminal」はピッタリかなと思ったんです。
ーードキュメンタリーが告知された際はTwitterでトレンド入りするなど、大きな反響がありましたね。「活動休止」というフレーズにファンの方々が騒然としていました。
GEN:こういう暗い話題をどこまで出すのかは悩みましたけど、バンドのリアルな部分をありのまま見せたいという気持ちもあって。受け取る側としては、今からしばらく活動休止するのかなとか、混乱を招いてしまって少し心苦しい気持ちもあります。
ーー結果的には『YON EXPO』の開催が告知されたことで、ファンも安堵して。
GEN:活休しようと思ったけど、しませんよ。安心してくださいっていう(笑)。
ーーそんな『YON EXPO』ですが今年は愛知での開催を予定しています。まだ詰めている最中だと思いますが、どういうものを想定しているんですか?
GEN:開催できたとしても僕らが今までやってきたようなスタイルは難しいと思っていて。自分たちの理想と実現できることのバランスはうまくとりたいとは思っています。全指定席でも楽しめるようなアイデアを今考えていますね。もともと『YON EXPO』は生々しいライブハウスシーンというよりも、大きな会場でエンタメ性を高めた空間を作りたいと思ってスタートしました。それこそファミリー層であったり、「ライブにいきたいけどライブハウスは怖い」みたいに思っている人も気兼ねなくこれる場所にしたい。僕らとしては、きちんと感染対策を行った上でお客さんを入れて開催したいと思っています。
ーーたしかに、昨年の初開催ではゲームやカラオケ、ギャラリーなど、家族でも楽しめるお祭りみたいな雰囲気もありましたね。
GEN:『YON EXPO』は『YON FES』よりも柔軟に考えられる感じもあって。『YON FES』にはハマらないかもという企画も、『YON EXPO』だったらトライができるんですよ。それに『YON FES』は無くなった今、『YON EXPO』を愛知県でやることにすごく意味があると思っていて。『YON FES』は僕たちの活動の成果を地元に持ち帰る場所という意識があるんですけど、そこを今年は『YON EXPO』で見せていけたらと思っています。
■ライブ情報
04 Limited Sazabys『YON EXPO’20』(単独公演)
日程:2020年11月28日(土)、29日(日)
<時間>
11月28日(土)OPEN 17:30 / START 19:00
11月29日(日)OPEN 14:30 / START 16:00 (各日共に集合時間指定有り)
会場:愛知県国際展示場「Aichi Sky Expo」
出演:04 Limited Sazabys
<チケット料金>
ファーストクラス:¥11,000(オリジナル特典付き、前方中央の座席へ優先案内)
ビジネスクラス:¥9,000(オリジナル特典付き)
エコノミークラス:¥6,900(通常チケット)
※上記全て全席指定、各日共通、税込
※ファーストクラスの販売はYON TOWN先行のみ
※一般発売はエコノミークラスのみ
主催:SUNDAY FOLK PROMOTION
企画:No Big Deal Records / 日本コロムビア
制作:DGエージェント
お問い合わせ:SUNDAY FOLK PROMOTION 052-320-9100(12:00-16:00)
<チケット最速先行(応募抽選)>
YON TOWN先行(抽選・お一人さま2枚まで・第三希望まで申し込み可)
受付期間:2020年9月17日(木)18:00~9月27日(日)23:59
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