FANTASTICS 八木勇征と中島颯太、歌声のポイントやツインボーカル構成の魅力 「Flying Fish」から考察

「Flying Fish」から考える、八木・中島のツインボーカル構成の魅力

 そんな2人は公式のTiktokアカウント等で公開されている弾き語りでも分かるように、それぞれ単独でも十分に魅力を発揮できるポテンシャルを持っている。だがここで何よりも特筆したいのは、その2人がFANTASTICSとして歌うことでさらなる相乗効果が生まれている点だ。そこで、彼らの楽曲の中でも特に対比がわかりやすい例として、昨年4月にリリースされた「Flying Fish」とともに、その魅力を分析していこうと思う。

FANTASTICS from EXILE TRIBE / 「Flying Fish」 Music Video

 先述の通り歌い出しや1番サビの冒頭は八木が担当することが多く「Flying Fish」においてもそれは同様なのだが、何よりもまず注目したいのは1番サビ(01:08~)の2人の歌声による素晴らしい爽快感だ。冒頭のフレーズを八木が表現力豊かに歌い上げた後に来る中島の歌声は、2人の音域や発声の違いによって、八木よりも少し高い場所から響いてくるように感じられる。そのため、まさに広い大空へ羽ばたくような高揚感と爽快感が生まれている。それがこの八木→中島という構成の魅力なのだ。

 では逆のパターンはどうだろう。この曲は、2番で八木・中島のパートがそっくりそのまま入れ替わる。2番サビ(2:16~)は、中島の細かく抑揚の効いた歌声と〈この世界は広い〉という歌詞も相まって、見晴らしが良く広い場所に立っているかのような心地良さから始まる。そしてその後に来る八木の歌声はというと、1番とは反対にこちらへ“降りてくる”ような印象を受ける。透き通るような中島の声の後に来ることで実体感が強調され、歌声から伝わる表情や声質の暖かみがより色濃くなり、心揺さぶられる感覚があるのだ。

 八木の方がやや広い印象はあるものの、恐らくこの2人の音域にそれほど大きな差はない。声質についても、ここまで紹介した通りそれぞれ明確な特徴があるものの、対照的と言えるほど遠いものでもない。ただ、FANTASTICSの楽曲においてはその絶妙な差異こそが、それぞれの魅力を大きく引き出す効果を生んでいる。筆者にはそう感じられた。

 FANTASTICSは、9月23日にニューシングル『Winding Road~未来へ~』をリリースすることが決定している。CBC(中部日本放送)の創立70周年イメージソングでもある表題曲は先日の『LIVE×ONLINE』でも披露されたが、これもまたボーカル2人の歌声が非常に心地良く響き渡るバラードとなっている。前向きで普遍的なメッセージ性を持った楽曲でもあるので、今まで以上に多くの人へ彼らの歌声が届くことを期待したい。

■日高 愛
1989年生まれの会社員。『HIGH&LOW』をきっかけに大ファンとなったTHE RAMPAGEを中心に、LDH所属アーティストについて研究中。
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