THE BOOM「風になりたい」が愛される続ける理由 宮沢和史『CDTV』出演を機に考える、アレンジと歌詞の妙

THE BOOM『THE BOOM HISTORY ALBUM 1989-2014~25 PEACETIME BOOM~』(通常盤)

  8月10日に放送される『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)で、「みんなが選んだ夏ソング」の1曲として、宮沢和史が「風になりたい」をパフォーマンスする。同曲は、宮沢が率いたバンド=THE BOOMを代表する1995年のヒットナンバーで、多くのアーティストにカバーされたほか、近年では菅田将暉が出演したトヨタのCMソングとして起用され、さらに音楽の教科書にも載る名曲。発表から25年、同曲が愛され続ける理由とは。

「島唄」と並ぶTHE BOOMの代表曲

 THE BOOMは、1988年にシングル『君はTVっ子』およびアルバム『A PEACETIME BOOM』でメジャーデビュー。JUN SKY WALKER(S)、UNICORNらと共に、1980年代後期からのバンドブームを牽引し、「星のラブレター」(1989年)、「島唄」(1993年)、「風になりたい」などのヒット曲を世に送り出した。当初はスカ/パンクやフォークなどを取り入れたサウンドのバンドだったが、琉球音階を用いた「島唄」のヒット以降は、中南米のラテン音楽やアジアの民族音楽など、土着的なリズムを積極的に取り入れて独自の音楽性を確立し、J-POPシーンに新風を巻き起こした。

 「風になりたい」は、THE BOOMの16枚目のシングル表題曲で、もともとは1994年11月にリリースされたTHE BOOM史上最大のヒット作である6枚目のアルバム『極東サンバ』に収録された1曲だった。『極東サンバ』は、単にサンバだけでなくアフロキューバンやブラジリアン、ラテンジャズなどの中南米のリズムや、アジアの民族音楽が随所に織り込まれていて、今聴いても実にオシャレで心地良い作品だ。ブラジル音楽のギタリスト=トニーニョ・オルタと矢野顕子がピアノで参加した、ボサノヴァの「Poeta」も収録されていて非常に聴き応えがある。このアルバムからは、インドネシアの民族音楽を取り入れた「berangkat-ブランカ-」、ダンスホールレゲエと日本のお祭りを融合させた「帰ろうかな」が先行シングルとしてリリースされ、両曲とも当時のオリコンチャートトップ10に入るヒットを記録した。

 「風になりたい」もファンの支持を得て、翌年3月にシングルカットされた。当時はいくつかのTVCMソングに起用され、数カ月にわたってロングヒットを記録。2003年には、同曲をリアレンジした「風になりたい (Samba.Novo)」が発売されている。アーティストからも愛され、May J.や城南海、DEENなどが自身の作品でカバーを披露しているほか、2018年に放送されたトヨタ自動車のTVCMで、菅田将暉と中条あやみがドライブをしながら同曲を楽しそうに口ずさむシーンが記憶に新しいだろう。さらに昨年は、人気リズムゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』にて、90年代のヒット曲のひとつとしてゲーム中でカバーされているなど、夏を代表する1曲として時代を越えて親しまれている。

THE BOOM『極東サンバ』

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