m-flo、25周年記念公演で見せた唯一無二のスタイル 豪華な“loves”アーティストとともに誓う再会

カラフルなダンスミュージックでJ-POPシーンの一翼を担うユニット・m-floが2月19日、東京ガーデンシアターで『m-flo 25th ANNIVERSARY LIVE "SUPERLIMINAL"』と題した単独コンサートを行った。この公演はタイトルの通り、デビュー25周年イヤーを締めくくるイベントとして実施。直前にリリースした10作目のオリジナルアルバム『SUPERLIMINAL』と連動して今までの足跡をたどり、新たなフェーズへ進もうとするメンバーたちの姿も示したスペシャルな展開に、観客は最初から最後まで歓声と拍手を惜しまなかった。
火星行きグローバルアストロライナーのインフォメーションが流れる中、出発(開演)の時間になるとメンバーたちがゆっくりと登場。そのシルエットが現れるやいなや、場内の温度が一気に上昇するほどの激しい声援が飛び交う。およそ6年ぶりのワンマンライブだけに、長い間待っていたファンの期待は相当なものだったのだろう。

そして電子音と生ピアノによるイントロダクションに続いて始まったのが「MARS DRIVE」だ。今回は一夜限りのメモリアルな公演ということもあり、バックには4ピースのバンドをセット。生み出されるサウンドはグルーヴィで熱く、客席を瞬時にしてダンスフロアに変えてしまう。軽快なリズムに乗りながら〈不可能な壁乗り越えろ〉とポジティブに歌うこのナンバーで幕を開けたステージは、祝祭ムードあふれる「gET oN!」、自由に生きることの素晴らしさを叫ぶ「No Question」と、アッパーなナンバーの連続で約7,000人が埋め尽くした客席を盛り上げていく。
冒頭3曲を終えると、“ついにこの日が訪れた”と確認するように互いに見つめ合うVERBAL、LISA、☆Taku。そんな無言の会話を交わした3人は、この日最初のコラボレーション曲を始めた。eillと向井太一を迎えて演奏した「tell me tell me」は、ミディアムテンポの比較的落ち着いたダンスポップで、特に日本語/英語/韓国語による洗練された歌詞に、四半世紀以上も国境を越えた活動を続けてきたこのユニットらしさを感じさせる。

引き続きeillと一緒に「EKO EKO」を熱唱。2025年にリリースされたナンバーで、オリジナルは韓国の実力派アーティスト・ZICOが参加したことで話題となった。今回のコンサートでは原曲の持ち味をしっかりとキープしつつも、より迫力のあるアレンジで勝負。ライブ映えするサウンドとともに観客とコール&レスポンスする姿は、まるでロックバンドのようだ。

ここでBPMの速いナンバーはひと休み。軽やかなシンセポップ「ELUSIVE」を歌い上げたLISAは、完璧なバッキングで支える☆Takuに感謝の気持ちを伝えた。「今回の公演を成功させようと夜も寝ないで一生懸命がんばってくれたのが☆Takuちゃんなの。普段はあんまり好きじゃないけど(笑)、今回は“愛してる”って思った。だから今は愛し合っているっていうことで、30年も35年も続けていこうね」。そう冗談交じりに語る彼女の目は温かく、少しうるんでいるようにも見える。
短いトークの後は、初期のバラードソング「Come Back To Me」を熱唱。途中で昔を思い出したのか、涙を流す場面もあったのが印象的だった。m-floと言えばテンションの高いリズミカルなサウンドがまず思い浮かぶが、このような叙情的なナンバーも他のアーティストにはない魅力を放つ。
次のフィーチャリング曲では3名が続々と登場。「こんにちは! 楽しんでますか!」と、まずはBONNIE PINKがステージに上がり、「Love Song」を披露すると、客席が色めき立った。彼女とm-floがこの曲でコラボレーションしたのは20年近く前。以前と変わらない清涼感のある歌声が久しぶりに生で聴けるとは誰も想像していなかったようだ。さらにJP THE WAVYのハートウォーミングなフロウが心地よい「Toxic Sweet」、Mayaのたおやかな声が主役の「1CE AGAIN」、「HyperNova」と、歌心あふれるダンスミュージックが続いていく。



「知っている曲は一緒に歌ってくださいね」。LISAがそう言って始めたアーバンメロウな「been so long」、初期の名曲「How You Like Me Now?」、爽やかなボーカルとライトなラップが絡み合う新曲「You Got This」と、オリジナルメンバーだけで繰り広げられる音世界も格別である。毎回異なるゲストボーカルを迎えて曲を制作する“m-flo loves Who?”でスタイルの幅を広げたユニットではあるものの、こうした「良い歌を届ける」という基本に忠なサウンドメイクも大切にしている点を忘れてはいけない。
和やかな雰囲気になったのもつかの間、今度はしのだりょうすけが参加した豪快なデジタルロック「GateWay」で場内をヒートアップさせる。ちなみに『SUPERLIMINAL』に収められたバージョンでは、しのだのスクリーミングボイスの迫力もさることながら、Diggy-MO'の独特な声質を生かしたボーカルも話題を集めている。次回はふたりの共演を望みたいところだ。

続く和のテイストを取り入れた「CHARANGA」で観客はさらに激しく盛り上がり、その余韻を残したまま、またコラボレーションステージがスタート。加藤ミリヤが「今夜、m-floの一部になれて本当に幸せです」とコメントして参加した「ONE DAY」、Adee A.が伸びやかな声を響かせる横ノリのギターロック「Reckless」、YOSHIKAが圧倒的な歌唱力を見せたスローバラード「let go」と、キラーチューンがこれでもかと続いていくと、客席の興奮は最高潮に達した。



いよいよ終盤。締めくくりに用意されたのは、Crystal Kayが歌う「REEEWIND!」と「Love Don't Cry」。なかでも前者は“m-flo loves Who?”シリーズの第1弾であり、リリース当時かなりヒットしただけに、場内のいたるところで一緒に歌うファンが見かけられた。

ここでラストかと思いきや、「最高すぎるチューンに最高すぎるクルーを呼びたい」と、RIP SLYMEを招き入れた。いきなりのスペシャルゲストの登場に会場は興奮の渦に。活動休止前のラストステージを3月に控えている彼らは、m-floにとって同じ時代を生き抜いてきた戦友であり仲間でもある。2組のリアルな場での初共演に興奮するのは当然だろう。やがて全員が横一列に並び、「ARIGATTO」がスタート。笑顔の絶えない濃厚なパフォーマンスはこれ以上ないほどの幸福感に満ちあふれていた。

本編はここまでだったが、ほどなくして「まだやっていない曲がある」とm-floが登場。melody.と山本領平とともに歌った「miss you」では、今回の公演に参加したアーティストたちもステージに並び、一緒に25周年を祝った。それぞれジャンルや世代が異なる実力派・個性派のカラーを尊重しつつ、自身のスタイルにもなじませる、それを容易に実現できる類いまれなる存在がm-floなのだと、舞台に立ったオールキャストを見て再認識した人は多かったに違いない。



開始から2時間以上が経ち、幸せなひとときはついに終わりとなった。VERBALの「Last TuneみんながDrop Itしてほしい」からオーディエンス全員でのDrop Itで始まった「come again」。オールキャストの登場後、3人のパフォーマンスで幕を閉じるのは、VERBAL、LISA、☆Takuの絆の強さをしっかりと見せたかったのかもしれない。代名詞的な1曲でファンたちとひとつになると、再会を誓ったメンバーたちは満足そうな表情でゆっくりと去っていった。
アニバーサリーライブを終えた☆TakuとVERBAL、LISAは「リミナル期間(充電期間)」に入るという。この間はクリエイティブな活動や公演などは行わず、次のプロジェクトを生み出すための準備にあてられるそうだ。25年にわたって独自の“loves”カルチャーを築いてきたm-flo。自身のコラボレーションの歴史を総括し、アップデートも行った3人に、どのような展開が待っているのか——。リセット/リフレッシュした唯一無二のユニットが次に目指す“未知の世界”に期待したい。


























