ミステリアスな魅力に満ちたシンガー、ACCAMERとは何者か? アニソンシーン注目の歌声を「stay night」MVから紐解く

ACCAMER「Into the blue’s」

 『カゲロウプロジェクト』で知られるマルチクリエイターのじんがストーリー原案・音楽などを手がけたことで話題を呼んだ、2020年4月から放送されたTVアニメ『LISTENERS リスナーズ』。じんと『交響詩篇エウレカセブン』などを手掛けた佐藤 大(シリーズ構成)らによって紡がれた本作は、ボーイ・ミーツ・ガール的ストーリーにロボットも登場するなか、全編にわたってロックのモチーフが散りばめられた、音楽的にもエキサイティングな一作となった。そして、そんな『LISTENERS リスナーズ』でもうひとつ注目を集めたのが、じんのペンによるOPテーマ「Into the blue’s」であり、そこで歌唱を務めたボーカリスト・ACCAMERの存在であった。ギターをアンプに直結して思うままにかき鳴らしたような衝動的なギターリフで幕を開ける「Into the blue’s」は、実にじんらしいヒリヒリとした風合いのロックナンバーに仕上がっている。またそこで聴かれるACCAMERの声は、そうしたロックの熱にしっかりと乗りながらもクールに、そしてパワフルに響いていた。じんと菅波栄純(THE BACK HORN)によるギター、日向秀和(ストレイテナー、Nothing’s Carved In Stone)によるベース、ゆーまお(ヒトリエ)によるドラムスという手練ばかりの楽器隊が暴れ回るなか、落ち着き払った様子で爆音の中でしっかりと主張する歌声は実に魅力的だ。また、現在ACCAMERの公式YouTubeチャンネルで公開されているMVは、大空や大海原など実写とアニメーションを駆使した映像のなかを、イラストレーター・ゆのが描く少女が落ちていく……というスピーディな映像が展開されており、すでに50万以上の再生数を記録している。

ACCAMER「Into the blue’s」Music Video

 2020年代という新たなフェーズに突入したアニソンシーンにまた注目株が登場した、そう思わせる実力を1曲で示してみせたACCAMER。しかし公式サイトを見てもその素性がわかるプロフィールなどはほとんど存在しないという、いわば謎のベールに包まれた新人アーティストである。しかしその一方で、彼女のYouTubeチャンネルにはこの4月から数々の動画が投稿されており、そこに“ACCAMERとは何者か”というヒントが散りばめられていた。まず4月9日にはじんの名曲「ロスタイムメモリー」のカバーを披露、「Into the blue’s」で感じさせたシャープなバンドサウンドとの親和性をここでも聴かせている。以降も彼女はコンスタントにボカロ楽曲のカバーを投稿していくのだが、その振り幅というのも実に興味深いものがある。

じん / ロスタイムメモリー Covered by ACCAMER

 みきとP「ロキ」やかいりきベア「ベノム」、ナユタン星人「太陽系デスコ」といったフリーキーなロックナンバーでは、彼女のクールな声が一風変わったリリックで聴かれるという、チャーミングなミスマッチ具合がまたグッとくる。ぬゆりによるダンサブルな「フラジール」ではキャッチーなビートに乗せて、持ち前の力強い低音を堪能することができる。またカンザキイオリ「命に嫌われている」になると、胸を刺すリリックをエモーショナルに歌うという素晴らしいパフォーマンスを聴かせている。いずれの動画も紗幕に楽曲オリジナルのMVを投影し、そこにフードをかぶったACCAMERとおぼしきシルエットがマイクを前にして歌っている、というものである。しかしそのおぼろげなシルエット以上に歌声は雄弁だ。これらの楽曲を聴けば、彼女が幅広いサウンドアプローチにもしっかり対応できる歌唱力を持っていることがわかるだろうし、またそうした個性の強いアンセムのカバーという制限のなかでもしっかり主張する、芯の強い声の持ち主であることがわかるはずだ。

ぬゆり / フラジール Covered by ACCAMER
カンザキイオリ / 命に嫌われている。 Covered by ACCAMER

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