ジャスティン・ビーバー、21世紀最大のポップアイコンが4年ぶりのアルバム『Changes』で見せた“変化”とは?

ジャスティン・ビーバー、最新作の変化

21世紀最大のポップアイコンに訪れた“空白”

 ジャスティン・ビーバー。現代のポップカルチャーに触れる人々の中で、彼の名を知らない者はおそらくいないだろう。誰もが認める21世紀最大のポップアイコンである。

 この原稿が公開された本日2月14日、ジャスティン・ビーバーの新作『Changes』がリリースされた。DJキャレド「I'm the One」(2017年)やビリー・アイリッシュ「Bad Guy(with Justin Bieber)」(2019年)など、近年は客演として名前を見ることが多かったが、今作は前作から5年というキャリア史上最長のブランクを経てのアルバムとなる。

Justin Bieber - Intentions ft. Quavo (Official Video)

 前作『Purpose』(2015年)ではダンスミュージックシーンの代表的存在であるSkrillexとタッグを組み、トロピカルハウスやダンスホールを取り入れたダンスポップ主体のサウンドの中で、当時の失恋などで苦しむ姿を鮮やかに描き、グラミー賞ノミネートを筆頭に大きな成果を残した。それまでの“お騒がせセレブ”というイメージを打ち消し、改めてシーンの主役として復活することに成功したのである。

 しかし、同作のツアーを1年以上続けていた2017年7月、突如ツアーの中止が発表される。当時は「不測の事態」とのみ伝えられたが、『Changes』の制作を追ったYouTubeドキュメンタリーシリーズ『Justin Bieber : Seasons』でその裏側で何が起きていたのか、本人やチーム、そして現在のパートナーであるヘイリー・ビーバーによって語られる。

 端的に言えば、当時の彼は限界に追い込まれており、ほとんど活動が出来ない状況に追い込まれていたのだ。

メンタルヘルスやドラッグ依存の後遺症、そしてライム病との戦いの日々

 『Justin Bieber : Seasons』の第5話「The Dark Season」では、彼が10代前半からリーン(コデイン)やMDMAなどのドラッグに手を染め、完全に中毒状態に陥っていたという過去が自らの言葉で語られる。また、決して良かったとは言えない家庭環境についても取り上げ、彼が幼くしてスターダムへ登りつめていく激流の中で、心の拠り所となる場所が存在しなかったことが判明する。

最悪のシーズン - ジャスティン・ビーバー: シーズンズ

 ドラッグ中毒に対する危機感を抱いた彼は2014年にドラッグを断つが、不安を抱え精神的に参っている状態が続いた。根本的な問題は解決出来ていなかったのである。ジャスティンは自身がADHDであり、生きているだけで多大なストレスを感じていること、ドラッグ依存の後遺症の治療を続けていること、そして2019年の検査で、自身がライム病(細菌による感染症であり、精神神経系に影響を与え、うつ病や不安症といった症状を引き起こす)であることを知ったと語る。

 この検査によって不調の原因が分かったことから、彼は適切な治療を受けることが出来るようになり、ヘイリーや周囲のメンバーのサポートによって助けられながら、復帰への取り組みを続けていった。そして、同年の『コーチェラ・フェスティバル』のアリアナ・グランデのステージにて、ジャスティン・ビーバーは復活を果たした。今でも彼は健康状態を保つために、治療を続けている。

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