ジャスティン・ビーバーの大変身アルバムにハマった人が次に聴くべき4枚

 11月は久々に海外のヒットチャートが派手な動きを見せた1カ月だった。ジャスティン・ビーバーとワン・ダイレクションという現代の男性ポップスターの両巨頭が、それぞれ11月13日に『パーパス』と『メイド・イン・ザ・A.M.』という新作アルバムを世界同時リリース。チャート上の熾烈な争いが話題をさらい、結果として、全米No.1はジャスティン・ビーバー、全英No.1はワン・ダイレクションと勝敗を分け合うことになった。

 それぞれの新譜は今年の初週売上の記録を塗り替える特大のヒットになったわけだが、その翌週の11月20日にリリースされたアデル『25』が、それをさらに塗り替える巨大なセールスを実現。アメリカでの初週売り上げは約338万枚、イギリスでは約80万枚となり、当然両国のNo.1を記録。それどころか、イン・シンク『ノー・ストリングス』とオアシス『ビィ・ヒア・ナウ』が持っていたそれぞれの国の記録を打ち破り、10数年ぶりに史上最多の初週セールス記録を更新するという快挙を成し遂げている。

 アニータ・エルバースの著書『ブロックバスター戦略―ハーバードで教えているメガヒットの法則』には、インターネットが普及しきった現在のエンターテインメント業界にはロングテールの法則は成り立たず、むしろ世界中を席巻するブロックバスター的な圧倒的メガヒットが勝者総取りする時代に突入している、とある。今回のチャートアクションは、はからずも彼の主張を裏付けるような結果になったわけだ。

 というわけで、シーンに大きな動きがあった11月だが、この中で取り上げたいのはジャスティン・ビーバー。というのも、『パーパス』というこのニューアルバムが、彼のイメージを鮮やかに塗り替える快作なのである。

ジャスティン・ビーバー『パーパス』

 ジャスティン・ビーバーのことを10代のティーンアイドルと思っている人は多いだろう。度重なるゴシップの印象の強い人もいるだろうし、お騒がせのセレブスターという枠組みで彼を捉えている人も多いはず。僕もそうだった。しかし、この『パーパス』というアルバムが素晴らしい。彼自身の人生を俯瞰で歌ったり、過去の失敗を振り返ったり、内省的でセンチメンタルな楽曲が大きな魅力となっているのだ。特に印象的なのが「I'll Show You」。

Justin Bieber - I'll Show You

「僕の人生は映画なんだ みんなその映画を観てる」「みんなが完璧を求めている 傷ついていることも知らないくせに」と歌うこの曲は、まさに彼にしか歌えない体験を綴ったもの。大人になり、ティーンアイドルからアーティストへと変身を遂げつつある今のジャスティン・ビーバーを象徴するような一曲だ。

この曲のプロデュースを手掛けたのがEDM界のスーパースター、スクリレックス。同じく収録曲「What Do You Mean?」も彼がプロデュースを手掛けている。

Justin Bieber - What Do You Mean?

 ジャスティン・ビーバーの変身の背後にはスクリレックスの存在があったわけだ。

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