BTSのロングヒット、ヒゲダン&King Gnuの飛躍ーー2019年チャートから考えるブレイクとCDセールスの相関性

 ここ数年は年間チャートを見るたびに、「日本人はもうアイドルとギターロックしか聴いていないのでは?」とすら思います。いや、アイドルは音楽ジャンルではないのですが。

BTS『Lights / Boy With Luv』(通常盤)

 このチャート連載で私が2019年に取りあげたアーティストを以下に並べてみました。3位までの中から、編集部と相談して選んでいます。1位以外を取りあげる場合は、何らかの特異さを見いだしたときです。

2019年01月21日付:Aimer『I beg you/花びらたちのマーチ/Sailing』(1位/参照
2019年02月18日付:IZ*ONE『好きと言わせたい』(2位/参照
2019年03月18日付:関ジャニ∞『crystal』(1位/参照
2019年04月15日付:King & Prince『君を待ってる』(1位/参照
2019年05月13日付:日向坂46『キュン』(1位/参照
2019年06月10日付:乃木坂46『Sing Out!』(1位/参照
2019年07月08日付:IZ*ONE『Buenos Aires』(1位/参照
2019年08月05日付:SKE48『FRUSTRATION』(1位/参照
2019年09月02日付:Hey! Say! JUMP『ファンファーレ!』(1位/参照
2019年09月30日付:AKB48『サステナブル』(1位/参照
2019年10月28日付:EMPiRE『RiGHT NOW』(3位/参照
2019年11月25日付:Kis-My-Ft2『Edge of Days』(1位/参照
2019年12月23日付:三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE『冬空 / White Wings』(2位/参照

 ジャニーズ、坂道、48、LDH、K-POP。傾向を一行足らずでまとめられてしまいました。忙しい方はここで読むのをやめてしまうでしょうが、もう少し続けてみます。

 このチャート連載は、オリコン週間シングルランキングを参照しています。シングルに関しては合算シングルランキングもあり、そちらはCD推定売上枚数、ダウンロード数、ストリーミング再生数を集計しているのですが、CDのポイントが大きく、CDのみの週間シングルランキングと大きくは異なりません。

 しかし、2019年において誰もが体感したのはサブスク、つまりサブスクリプションサービスの影響力の拡大でしょう。特に、米津玄師、あいみょん、Official髭男dismのサブスクでの強さは圧倒的なものがありました。Official髭男dismが今年の『第70回NHK紅白歌合戦』に初出場するのも当然のことだと感じられます。そもそも、米津玄師とあいみょんが初出場した2018年の段階から、『紅白』はサブスクの動向に敏感です。

 一方で、サブスクでの大ヒットとCDセールスが大きく乖離しているというのも2019年の特徴です。以下、オリコンの2019年12月30日付までのデータを参照します。

 たとえばあいみょんの「マリーゴールド」は推定累計売上枚数が31,136枚、Official髭男dismの「Pretender」は推定累計売上枚数が32,122枚。この2曲は、Apple Musicにおいて2019年に再生された楽曲の1位と2位ですが、そのCDのセールスは3枚万程度というのが2019年の状況なのです。アーティストの大ブレイクとCDセールスの相関性が薄れているとも言えるでしょう。

 なお、3位はKing Gnuの「白日」ですが、これは配信限定シングルで、まだCDではリリースされていません。そして、King Gnuも「白日」で『紅白』に初出場します。Official髭男dismが『紅白』で歌うのは、もちろん「Pretender」。サブスクでの大ヒット曲なのです。

 CDのチャートに目を戻せば、BTSの『Lights / Boy With Luv』(7月3日発売)が767,025枚も売れたことには驚かされました。日韓関係などの影響でプロモーションも限られていたであろうなかで1位も獲得しています。

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