EMPiRE、最新シングルが3位に WACKらしいブランドイメージの形成が功を奏す
参考:2019年10月28日付週間シングルランキング(2019年10月14日~10月20日)
2019年10月28日付のオリコン週間シングルランキングで3位を獲得したEMPiREの『RiGHT NOW』は、CDに収録されている楽曲は2曲のみ。「普通そんなもんだろ」という声も聞こえてきそうですが、いや、アイドルの場合はそうはいきません。同じCDでも何種類も盤種があり、盤種ごとに異なるカップリング曲が収録されている……ということも多々あるのです。それゆえに、CDは1種類のみ、他はカセットテープという潔さの同作が、25,000枚以上売れていることに感心しました。
EMPiREはWACKのアイドルグループ。WACKには、他にBiSH、BiS、GANG PARADE、WAgg、CARRY LOOSEが所属しています。EMPiREは、2017年にWACKとエイベックス・エンタテインメントの共同プロジェクトとして誕生したグループ。事務所はWACK、レコード会社はエイベックスという座組は、2015年に生まれたBiSHと同じで、EMPiREは当初からかなりの勢いを持っていました。
しかし、EMPiREは覆面姿ながら2017年8月に登場したものの、単独で正式にCDをリリースしたのは2019年7月のこと。つまりこの夏、この間のことなのです。
それまではどうしていたのか? 2017年のオムニバス『WACK & SCRAMBLES WORKS』に楽曲が収録されたほかは、音源のフリーダウンロード、SoundCloudでの配信、YouTubeでのMV公開などが行われてきました。そして、EMPiREの活動の最大の特徴は、カセットテープの存在です。
2018年4月の1stアルバム『THE EMPiRE STRiKES START!!』は、CDが存在していませんでした。発売されたのは、カセットテープ、そしてカセットテープとDVDのセット。スマプラミュージックという、楽曲をスマートフォンで聴けるサービスに対応しているとはいえ、かなり特殊な形態です。こうしたカセットテープをベースにした形態は、2018年9月にリリースされたミニアルバム『EMPiRE originals』、2019年2月の1stシングル『ピアス』にも継承されました。
カセットテープは、現在アメリカでもイギリスでも販売数が増えています。私の行動範囲でも、HMV record shop渋谷のようなレコードショップ(文字通りアナログレコードの販売店です)では、多くのカセットテープが売られています。こうしたフィジカルアイテムへのフェティシズムは、WACKらしいとも感じます。