BEYOOOOONDS、それぞれの個性が輝く初ワンマンライブ 寸劇を駆使したステージの魅力も

BEYOOOOONDS、初ワンマンライブレポ

 BEYOOOOONDSが12月2日、Zepp DiverCity Tokyoにて初ワンマンライブを行った。今年の8月にメジャーデビューし、11月には1stアルバム『BEYOOOOOND1St』を発売したばかりのハロー!プロジェクト期待の新星だ(BEYOOOOONDSは令和を映す鏡となるか 1stアルバムを構成する3つの要素とともに解説)。この日はそのアルバムに収録されている曲を中心に、持ち前の”演劇”を所々に挟み込むことで、いわゆる普通の音楽ライブとはひと味違った、彼女たちならではの公演を見せた。

 ライブ前の囲み取材でも「先輩方はまだ遠い存在なんですけど、私たちは先輩方がやってきたパフォーマンスとはちょっとずれたパフォーマンスをしているので、“負けたくない”というよりは“こんな表現の仕方もあるんだ”って思ってもらえる存在になれたら」(高瀬くるみ)、「演技が楽曲に入っていることが多いので、そこを極めていきたいです。すごい先輩方がたくさんいらっしゃるんですけど、“勢いは一番”っていうぐらいに頑張っていきたい」(一岡伶奈)と、自分たちの独特の表現スタイルにどこか自信を持っているようだった。ライブの序盤はその”演劇”成分多めで展開していく。「すべてはここから始まった……」と前田こころが唐突に話し始め、以下のように続けた。

「すべてはこの曲から始まった。こんな始まりは誰も予想していなかった。寸劇スタートなんて開いた口が塞がらなかった。だけど、嫌いじゃなかった。思い切って髪も切ってみた。この物語は大きな川となり、激流を生んだ。今、万感の思いを込めてこの曲を歌おう。今、万感の思いを込めて――」

 そして披露したのが、グループ結成のきっかけになった楽曲「眼鏡の男の子」。清野桃々姫が原曲の通りに前口上を始めると、最初は穏やかなやり取りも徐々に動きが生まれ、一気にイントロへ雪崩れ込む。それまでの雰囲気が一変、大音量とともに会場のボルテージが急上昇。その曲からスピンオフ的に誕生したという「恋のおスウィング」と「文化祭実行委員長の恋」の2曲は歌の合間にも寸劇が挟まる。それによりステージには、他のライブではあまり感じられないようなエネルギッシュな躍動感が生まれていた。その後、男子役の前田に思いを寄せるヒロイン役・山﨑夢羽の妄想(前田がひとりで人形と踊るパフォーマンス)が繰り広げられると、会場からは笑いが起きた。

 ところで、こうして演劇が曲中や曲間に挟まることでライブ全体がひとつの物語になっているかのような印象を与えるが、だからと言ってそこまでガチガチにストーリーで固めているわけではない。ミュージカルというよりは音楽ライブ寄り。あくまで楽曲の披露の場であって、観客へ向けてしっかりと”音楽”を届けているのが舞台から伝わる。つまり、楽曲の世界を膨らませるために台詞があるようなバランスだ。いわば、寸劇を駆使してライブの可能性を拡張するライブと言えるだろう。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる