いきものがかり、リバイバイルヒットで25周年に吹く追い風 2つの代表曲が“今のポップソング”たる理由

2025年、いきものがかりが再びJ-POPのど真ん中で輝きを放とうとしているーー。じつに12年ぶり、そして2人体制初となる全国ホールツアー(2024年2月〜5月)、5月25日・26日に神奈川・ぴあアリーナMMで行われた追加公演。7月〜8月には全国8カ所で“原点”である弾き語りフリーライブを行い、11月2日には結成25周年を記念した『いきものがかり 路上ライブ at 武道館』を日本武道館で開催するなど、ライブ中心の活動を繰り広げてきた2024年のいきものがかり。各会場に集まった幅広い年齢層のオーディエンスの前で吉岡聖恵(Vo)、水野良樹(Gt/Pf)は、これまで作り上げてきた楽曲に磨きをかけ、“2人のいきものがかり”としての表現を追求してきた。特に11月の武道館公演は、今のいきものがかりの豊かさ、楽しさを存分に味わえる、本当に素晴らしいステージだった。
ライブ活動を充実させる中、2000年代に発表したヒット曲にも再び注目が集まっている。
まずは「コイスルオトメ」。デビューイヤーの2006年10月に3rdシングル曲としてリリースされたこの曲は、タイトル通り、恋愛中の女の子を主人公にした超ピュアなラブソング。インディーズ時代から存在している、いきものがかりにとって一つのターニングポイントになった楽曲だ。その大きな理由は「水野が女性目線で書いた歌詞を、吉岡が演じるように歌う」というスタイルのきっかけになったこと。この曲で女性リスナーが増えたことで、いきものがかりのポップスは大きく前に進むことになったというわけだ。
今年1月15日に「THE FIRST TAKE」で披露された「コイスルオトメ」も大きな話題を集めた。1番はピアノと歌。間奏パートで本間昭光(Key)をはじめとするバンドメンバーのサウンドが加わり(水野はピアノの椅子に座ってエレキギターを演奏)、熱量がグッと上がっていく。楽曲が進むにつれて感情の濃度を高めていく吉岡のボーカルも絶品だ。
さらに『路上ライブ at 武道館』での「コイスルオトメ」のライブ映像も公開中。こちらは水野のピアノ、吉岡の歌による“二人の弾き語り”バージョンだ。ピュアな恋心を映し出す歌がゆっくりと広がり、観客が無数のペンライトで彩るシーンは、この日のライブの中でも特に印象に残っている。自分のエゴや技術を押し出すのではなく、楽曲に込められた感情や風景を最大限に表現する吉岡の歌のスタンスは、言うまでもなく、いきものがかりの大きな魅力だ。