ロザリーナ×TeddyLoidが紡ぐ、『からくりサーカス』の壮大な物語 OP曲とアニメの親和性を紐解く

ロザリーナが紡ぐ、『からくりサーカス』の物語

 デビュー前から「au CLIMBING CHALLENGE」のCMソングやTVアニメ『妖怪アパートの幽雅な日常』の第1期OP&第2期EDテーマ「Good Night Mare」「音色」を担当し、2018年4月には小袋成彬率いるTokyo Recordingsをアレンジに迎えた『タラレバ流星群』でメジャーデビュー。昨年末には『うしおととら』などで知られる藤田和日郎によるマンガ作品を原作にしたTVアニメ『からくりサーカス』の第1クールEDテーマを担当して話題となったシンガーソングライター、ロザリーナ。彼女の最新シングル『Over me』がリリースされた。

ロザリーナ 『Over me』Music Video(アニメ ver.)

 表題曲の「Over me」は、『からくりサーカス』の主要キャラである才賀勝、加藤鳴海、人形遣いの女性・しろがねの3人の出会いを起点に、何世代にもわたって繰り広げられる壮大な愛/狂気/戦いを描く第3クール(最終クール)のOPテーマ。第1クールの「マリオネット」に続き、『からくりサーカス』に登場するキャラクターの感情を描きながら、同時にそれを多くの人々が共有できる普遍的なものに変え、“彼女の楽曲とアニメの作品世界との相性のよさ”を感じさせる楽曲になっている。ここではその魅力を紐解いてみたい。

 そもそも前シングル曲「マリオネット」は、TeddyLoidをサウンドプロデュースに迎え、自身が作詞作曲した楽曲にボーカルチョップを含むクラブミュージックの要素を取り入れて『からくりサーカス』のヒロイン“しろがね(エレオノール)”の気持ちを表現した楽曲だった。タイトルの「マリオネット」は、しろがねが操る人形・懸糸傀儡(マリオネット)を表現したもので、後半に加えられたボーカルチョップにも、懸糸傀儡の雰囲気が反映されていた。

 ロザリーナの場合、こうして外部クリエイターとの作業の中で楽曲の魅力をトータルで生み出すような雰囲気があり、それをハスキーでありながらもまろやかさを持つ独特の歌声で表現することで、言葉のひとつひとつが印象的に耳に残る雰囲気を楽曲に加えている。そうした魅力はタイアップ曲以外にも顕著。たとえばシングル『マリオネット』の収録曲「Stereo」では、彼女の発案により“2人の関係性”を描く歌詞に連動して音の位相を左右に振り分け、楽曲とアレンジが手を取り合った総合的な表現を生み出していたことも印象的だった。

ロザリーナ 『マリオネット』Music Video(アニメVer.)

 とはいえ、彼女の楽曲、特にアニメタイアップ曲で最も印象的なのは、作中の登場人物の感情を描きながらも、その言葉を可能な限り普遍的なものにすることで、まったく別のものにも解釈可能な雰囲気を生み出していること。たとえば、「マリオネット」はしろがねの曲でありながら、世のしがらみにしばられることについての歌にもなっていて、だからこそ様々な人々が“自分ごと”として感情移入できるような魅力が生まれていた。そして今回の「Over me」は、そうしたすべての要素をより進化させ、最終クールへと突入した『からくりサーカス』の物語と、誰しもが感じる普遍的な感情とをひとつに繋ぐような楽曲になっている。

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