乃木坂46、原点回帰の全曲披露 7thバスラで示した“育てながら勝つ”グループの最新形

乃木坂46“全曲披露”7thバスラレポ

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 乃木坂46全体のライブでは、明確に選抜とアンダーのブロックを区切ったり、VTRで特別な演出を付け加えることで、よりアンダーのパフォーマンスにスポットを当てる箇所が用意されているのも特徴的だ。2018年以外のバースデーライブでは、その性質上、どうしてもアンダーブロックを作りづらい側面はあったが、今回は“2年ぶりの全曲披露”ということで、アンダーアルバム『僕だけの君~Under Super Best~』もその対象に。能條愛未や川後陽菜といったアンダーを支えた1期生が卒業したこともあり、VTRでは北野日奈子や鈴木絢音、寺田蘭世といった、選抜も経験しながら現在のアンダーを支える2期生の存在に焦点が当てられ、メンバーによるバンド・乃木團にも伊藤純奈の新加入(もう1人は3期生の久保史緒里)が発表された。今回のアンダーパフォーマンスでは、齋藤飛鳥や衛藤美彩、星野みなみなど、当時のアンダーメンバーを加えるというバースデーライブお馴染みの編成を挟んだり、3期生の力も借りつつ、昨年末に終了した『アンダーライブ全国ツアー2018 ~関東シリーズ~』(参考:乃木坂46は新たなフェーズへの一歩を踏み出す アンダーメンバーが示した過去の葛藤を乗り越える姿)の熱を持続させながら、同ライブの座長であった北野をはじめとした2期生が現在のアンダーを支える存在であることを改めて主張してみせた。

 “アンダー”は“選抜”とコインの裏表の関係性である以上、毎作ごとにメンバーが変わるため、そこにい続けるというのは決してポジティブな意味だけにはならない。だが、当時アンダーだった齋藤飛鳥が現在はグループのエース格になっているように、乃木坂46が持つ現在のパフォーマンス力は、間違いなくアンダーという存在があってこそ培われたものだ。急成長を続ける3期生、加入直後の4期生など、後輩の存在は次第に大きくなってくるだろうが、その事実だけはこれまでもこれからも決して変わることがないことを、この日のパフォーマンスが証明してくれた。

「今の2人は、乃木坂46という場所の意味も、センターというポジションの意味もわかるようになった」(「逃げ水」披露前VTRより)

 とはいえ、今回のライブを振り返ったとき、長くグループを見ている立場として何が一番印象に残ったか、と聞かれれば、真っ先に“3期生の成長”を挙げたい。これまでもグループ全体のライブで活躍こそしてきたものの、バースデーライブにおいては2017年に3期単独のパフォーマンス、2018年はそもそも全曲披露ではなかったことを踏まえれば、3期生にとっては今回が実質初めての全曲披露ライブ。だからこそ、「涙がまだ悲しみだった頃」の伊藤理々杏、「君は僕と会わない方がよかったのかな」「ダンケシェーン」の久保、「ここにいる理由」「嫉妬の権利」の岩本蓮加、「孤独な青空」の梅澤美波など、各楽曲では卒業した・欠席していた先輩の穴を補って余りあるパフォーマンスを見せていた。加えて、『お見立て会』で話していた“夢”を叶えた「渋谷ブルース」や「環状六号線」「行くあてのない僕たち」に参加した向井葉月、「口約束」「人生を考えたくなる」で若月佑美に変わって”女子校カルテット”に加入した佐藤楓、「2度目のキスから」で“真夏さんリスペクト軍団”に加入した吉田彩乃クリスティーなど、ユニット曲でも大車輪の活躍を見せた。彼女たちが乃木坂46というグループを背負うに足る存在であることを、この日のライブでより強く、多くのファンに知らしめたことだろう。

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 ハイライトとしては、2年前は緊張から嗚咽でMCもままならなかった大園桃子が、Day3のオープニングで「京セラ、行くぞー!」と笑顔で叫び「三番目の風」へとつなげていく場面は感慨深いものがあったし、「逃げ水」での大園と与田祐希、「空扉」での梅澤美波のように、選抜曲でセンターに立つ姿も堂々としたものだった。パフォーマンス後に彼女が「今はファンの方の顔を見て、コミュニケーションをしながら笑顔で歌える」と言っていたように、選抜・アンダー・ユニット曲など、様々な状況で“何をすべきか”を瞬時に察して、その役割を全うできる総合力の高さが、今の3期生が持つ最大の武器なのかもしれない。

 若手メンバーの話をするのであれば、『お見立て会』以来、グループ全体のライブとしては初めてファンの前でパフォーマンスを披露した4期生の話も欠かすことはできない。Day1では生駒のソロ曲だった「水玉模様」でステージに初めて登場し、中盤では「サイコキネシスの可能性」を、Day2では深川麻衣がセンターを務めていた「ハルジオンが咲く頃」、Day3では橋本奈々未のソロ曲「ないものねだり」、中元日芽香のソロ曲「自分のこと」、Day4では深川のソロ曲「強がる蕾」を歌うなど、卒業したメンバーへ敬意を払いながら、VTRではその姿を映したり、これまでの足跡も組み込むという“今の乃木坂46”にしかできない演出は見事だった。

 特に「ハルジオンが咲く頃に」は、2017年のバースデーライブで3期生が歌っていた楽曲であることから、この曲は深川が残した慈愛の気持ちとともに“継承”のシンボルになるのだと、思うと胸が熱くなった(参考:乃木坂46、5年目のバースデーライブで開いた“第2章”の扉)。ハルジオンの花言葉である“追憶の愛”は、3年経った今もなお、後輩たちに受け継がれている。

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