欅坂46 平手友梨奈は主人公であり続けるーー新曲「黒い羊」の一人称“僕”から感じたこと
欅坂46(以下、欅坂)が、2月27日に8thシングル『黒い羊』をリリース。早くも表題曲が『未来の鍵を握る学校 SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM/以下、『SCHOOL OF LOCK!』)で初解禁された。2018年はメンバーの卒業や二期生の加入など大きな変化があっただけに、欅坂第二章を飾る前向きな曲になるかと思いきや、グループの本質とも言える、心情を深くえぐりぶち撒けるかのような感傷的な楽曲に。〈全部僕のせいだ〉という衝撃的なフレーズからもわかるように、進化ではなく内面へとより深化している印象を受けた。
1月14日オフィシャルサイトに、階段に白いペンキがかかったジャケットという意味深なティザーが掲げられ、半年振りの8thシングルのリリースが告知される。その直後にラジオ番組に出演した菅井友香や小池美波は「胸が締め付けられる曲」という共通の感想を口にし、齋藤冬優花はブログに「今回も作品、そして主人公をみんなで大切に育てていきたいです」と綴っていた。それから間もなく、タイトル「黒い羊」が発表され、その言葉の意味について菅井がブログで「除け者や厄介者の意味を持つ言葉です」と解説。今回もまた人間関係や社会の中での自分に対する葛藤を訴えるような実に欅坂らしい曲となった。
そんな「黒い羊」は、街の雑踏から始まり、ピアノの旋律が流れると、平手の低い歌声が響く。この瞬間、今回もやはり“主人公”は平手友梨奈だと感じ、安堵すると同時に、あまりにもストレートな歌詞が胸に突き刺さる。それは、平手が今置かれている状況を彷彿とさせ、彼女の心の叫びのように聞こえるからだ。以前から秋元康はラジオや紙面で、欅坂の曲を作詞する上で、メンバーが今何を考えているのか、それに対してアドバイスを贈るようなメッセージ性を意識していると語っている。今回の歌詞も例外ではないはずだ。
これまで欅坂を背負い続けてきた平手は、昨年休業したことで、一度グループを路頭に迷わせたのも事実。それだけに平手に〈全部僕のせいだ〉という言葉を歌わせるのは、あまりにも重い。そして、それを言わせた周りのメンバーもまた追い込まれているように感じる。さらに〈止まってた針はまた動き出すんだろ〉という歌詞からは、今泉佑唯がソロ曲「日が昇るまで」で〈時間よ 進め…〉と歌っていたことを思い出し、卒業したメンバーにも当てはまる曲と解釈できる。