DAOKO、キズナアイ……中田ヤスタカプロデュース楽曲に広がる新たな道 近年の作品から考察
2018年の音楽シーン。音楽家、中田ヤスタカの動きを振り返ると多くの発見がある。2018年2月7日、満を持してリリースした初のソロアルバム『Digital Native』で試みた、数々の壁を壊していくような挑戦のあった年だった。
『第69回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)での活躍が記憶に新しい時代の寵児・米津玄師をフィーチャリングに迎えた「NANIMONO(feat.米津玄師)」による、感情を高ぶらせるEDMライクな楽曲が解き放った先進性。世界的ポップアイコン・Charli XCXときゃりーぱみゅぱみゅによる「Crazy Crazy(feat. Charli XCX & Kyary Pamyu Pamyu)」での英日ガールパワー共演という突破力。中田ヤスタカがクリエイトする音楽は、EDMという音楽交差点を突き抜けた“その先の世界”をイメージさせてくれる。
サウンド面で言えば、Perfume「FUSION」にも見られるような、ミディアムテンポなBPMによる裏で拍を取るビートを起用していることに着目したい。この傾向はMAMIKO(chelmico)をラップに迎えた「Wire Frame Baby (feat.MAMIKO[chelmico])」、きゃりーぱみゅぱみゅ「キズナミ」にも顕著だ。EDMというジャンルの言葉がなかった頃からエレクトロポップを追求してきた中田ヤスタカに起こったビートのパラダイムシフトなのかもしれない。
そう、中田ヤスタカが通った後に道は生まれてきた。
作り手にもスポットを当てた音楽文化、DJプレイのライブ化、アイドルをアーティスティックにプロデュースする手腕、ワールドワイドに同時代性あるサウンドで海外との壁を壊すサウンドの強度。かといってコアでマニアックな存在ではなく、誤解を恐れず言えば、全てを飲み込みキュート化する“TOKYOセンス”が中田ヤスタカの真骨頂だ。
ファッショナブルに時代を闊歩するDAOKOと共演
そんな中田ヤスタカによるサウンドは、ファッションやアート、アニメーション、ゲーム、コミックとの親和性が高い。昨今も中田ヤスタカがプロデュースしてきた“KAWAiiミュージック”による新規コラボレーションが広がっている。例えば『第69回NHK紅白歌合戦』に出場したDAOKOとの共演作である「ぼくらのネットワーク」(DAOKO×中田ヤスタカ)。90’sライクなイントロダクションから加速し、思わずハンズアップしたくなるデフォルメされたドロップ展開には驚かされた。また、本作は任天堂/Cygamesによるアクションロールプレイングゲームアプリ『ドラガリアロスト™』の挿入歌として制作され話題になった。