小松未可子、“ポップスシンガー”としての自然体な姿 『Personal Terminal』東京公演を見て

小松未可子が見せた“自然体な姿”

 小松未可子が9月16日、東京・TSUTAYA O-EASTにて『小松未可子TOUR 2018 "Personal Terminal"』を開催した。

 小松は、7月11日にアルバム『Personal Terminal』をリリース。2017年5月に発表したアルバム『Blooming Maps』より引き続き、畑 亜貴、田代智一、黒須克彦、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)からなるQ-MHzがプロデュースを担当。前作アルバムよりさらに進化し、ジャズやモータウンなどを新機軸に取り入れると同時に、その内容もより"パーソナル"な領域に踏み入れた作品となっている。また、以前に増して彼女の歌声も洗練され、この日のステージでも、小松の"ポップスシンガー"としての成長と真価が存分に発揮された。

小松未可子

 ツアーファイナル公演が控えているためセットリストの詳細は控えるが、今回のライブは意外にも『Blooming Maps』の収録曲で幕を開けた。この曲は、心機一転を経た自分自身に背中を押される様子を歌っており、同アルバムのリリースツアーでも本編終盤に歌唱されていたものだ。そんな過去のライブとも繋がるコンテクストを感じ、改めて「小松未可子がステージに帰ってきた」ことが強く印象付けられた。

 音抜けのいい楽曲を立て続けに披露した後は、落ち着いたクラブジャズテイストのナンバーへ。アッパーチューンを立て続けに披露してきただけに、このタイミングで演奏の熱量を落とし、繊細な音の粒感を奏でるのは至難かと思われる。しかし、ステージのメンバーの表情からは、穏やかなセッションを楽しむ様子が伺えた。

 このブロックでは恋愛の切なさを歌う楽曲が披露された。しかし、サウンドの輪郭や、歌声にファルセットと地声を用いる比率など、それぞれの方向性は大きく異なっている。また、ジャズワルツ的なアプローチの「Maybe the next waltz」では、小松の良さである透き通ったロングトーンが、3拍子の変則的なトラックの上で響きわたる。楽曲間の振れ幅が大きいため、本来ならば歌い分けがとても難しいはずだが、小松の歌声からはブレは感じられず、むしろ一本芯を通したようなまっすぐさが感じられた。

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