アレサ・フランクリンはソウルとポップス繋ぐ架け橋だったーー高橋芳朗が音楽家としての功績を解説

 ”クイーン・オブ・ソウル”と称されるアメリカの女性ソウルシンガー、アレサ・フランクリンが8月16日、ミシガン州デトロイトの自宅で亡くなった。76歳だった。

アレサ・フランクリン『ベリー・ベスト・オブ・アレサ・フランクリン VOL.1』(ワーナーミュージック・ジャパン)

 アレサ・フランクリンは、テネシー州メンフィス生まれのデトロイト育ち。牧師の父を持ち、幼少期からゴスペルを歌っていた。1961年にデビューしてからは「Respect」や「(You Make Me Feel Like)A Natural Woman」など、数多くのヒット曲を世に送り出し、グラミー賞を18回受賞、1987年には女性として初めてロックの殿堂入りを果たした。

 現代音楽史に燦然たる功績を残してきた彼女の音楽には、どんな魅力があったのか。ブラックミュージックに詳しい音楽ジャーナリストの高橋芳朗氏に聞いた。

「アレサ・フランクリンのバックバンドのバンドマスターを務めていたドラマーのバーナード・パーディは、『彼女が歌えば、どんな曲でもオリジナルになる』といった趣旨のことを話していました。彼女のヒット曲には、オーティス・レディングの「Respect」をはじめ、ディオンヌ・ワーウィックの「I Say a Little Prayer」、サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」、スティーヴィー・ワンダーの「Until You Come Back to Me」など、数多くのカバー曲がありましたが、どれも彼女自身のオリジナル曲であるかのように歌いこなしています。2014年には、アルバム『Aretha Franklin Sings The Great Diva Classics』でアデルの「Rolling In The Deep」をカバーしていましたが、まだアデルの熱唱の記憶が残るあれだけの大ヒット曲もあっさり自分のものにしていて驚きました。

 すさまじい歌の力によって、原曲の意味をも変えてしまうようなところもありました。例えば「Respect」は、もともとは夫が妻に対して「もっと自分に敬意を払ってくれ」と愚痴るような歌だったのを、彼女が歌うことで黒人女性が自由を要求する力強い楽曲になりました。その結果、「Respect」は当時のウーマンリブ運動の盛り上がりと共鳴してフェミストたちのアンセムソングになっています。これは、彼女の歌声のパワーをわかりやすく象徴する出来事だと思います」

 一方、”クイーン・オブ・ソウル”や“レディ・ソウル”といったイメージが先行することで、音楽家としての功績が見過ごされがちだったのではないかと、高橋氏は続ける。

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