キュウソネコカミの“ライブ用耳栓”が話題に 『あさイチ』特集から考える音楽の上手な楽しみ方

ライブ用耳栓から考える音楽の楽しみ方

 有働由美子アナウンサーと井ノ原快彦(V6)が司会を務める情報番組『あさイチ』(NHK総合)。2月26日放送回では、ゲストに荻野目洋子と浅利陽介を迎え、「私の耳 遠くなってる?」の模様をオンエアした。

 3月3日が“耳の日”ということで、今回の特集は“耳の老化”について。聴力の低下が、認知症のリスクを上げることや、聞き間違いが耳の老化のサインであることなどが明かされ、その理由について説明された。そんな中、耳が遠くなる原因は“抜け毛”であることが語られる。音を聞くためには欠かせないという、耳の奥にある蝸牛に生えている毛。音が耳に入ってくるとその毛が揺れ、毛の下についている神経細胞が刺激されて、脳に音の信号が送られることにより、“聞こえた”と認識される。毛は加齢とともに抜けていくものだが、長時間大きな音を聞き続けることでも抜けてしまうのだとか。さらに、一度抜けると二度と生えてこない。つまり、一度悪くなってしまった耳は、元に戻らないのだ。

 また、蝸牛の入り口付近に高音担当、奥の方に行くほど低音担当の毛が生えており、音は常に一方方向から入ってくるため、高音の毛が最も音にさらされる。そのため、早めに抜けていってしまい、高い音から聴こえにくくなってしまうという。

 では、毛が抜けてしまう騒音とは、どの程度のものなのだろうか。要注意な音は、80デシベル以上とのこと。具体的には、ゲームセンターの店内で82デシベル、パチンコの店内で90デシベル程度だという。また、音の大きさだけでなく、聞き続ける時間も関係しているのだとか。たとえば、95デシベルの音を6時間連続して聞くと危険だが、同じ6時間でも85デシベルだったら大きな問題はないとされている。

 そんな中で、日常的に音楽を楽しめるイヤホン・ヘッドホンは、ついつい音量を上げてしまうため、難聴になる危険性が高いと、警鐘を鳴らす。そして耳を守るために、イヤホン・ヘッドホンを着用する際の理想は、ボリューム60パーセント以下、1日に聞く時間の目安60分だと解説した。また仕事やライブなどで耳を酷使した場合は、最低2日、48時間耳を休ませる必要があるという。

 続けて、耳を簡単に守れる耳栓についての話題になり、キュウソネコカミのグッズ“ライブ用耳栓”が紹介された。ライブ用耳栓とは、音色をあまり変えずに音量だけ小さくする耳栓のことを指す。なぜ、ライブで耳栓を推奨しているのかを尋ねられた、キュウソネコカミのヤマサキセイヤは「もともと僕が、耳栓をしてライブしてたんですよ」と言い、耳鳴りで夜眠りにくかったというエピソードを語る。ヨコタシンノスケは「お客さん、逃げ場がないんですよね」「スピーカーの前でも1時間半、2時間ずっといないといけないから」とコメント。また耳栓をつけた観客に向かってライブをすることについてヤマサキは、「むしろ(耳栓を)つけているの見えたら、君、うまい楽しみ方してるね! 長いこと楽しめるよ!(って思う)」とプラスの心境を明かした。

 キュウソネコカミのほかにも、SPYAIRやHi-STANDARD、打首獄門同好会などもライブ用耳栓をグッズとして販売。また耳栓のほかにも、最大85デシベルまでしか音量が上がらないキッズ用のヘッドホンやイヤーマフなど、耳を守るための商品は様々なメーカーから発売されている。いつまでも音を楽しみたいからこそ、耳栓をはじめ耳を守るためのグッズは必要不可欠。だが、ライブなどでは周囲の目が気になり、耳栓をつけにくいと感じてしまう人も少なくないはずだ。そこでキュウソネコカミなどのようにバンドのグッズとして発売することで、観客も気兼ねなく耳栓をはめてライブを楽しむことができる。観客の耳を大切にすることによって、バンド自身も長く愛され続けるのではないだろうか。観客にとってもバンドにとっても、ライブ用耳栓はプラスに働くように思う。もしかしたら今後、フェスやアーティストのグッズとして、“ライブ用耳栓”がスタンダードになっていき、耳栓をしながらライブを楽しむことが当たり前になる日も近いかもしれない。二度と元には戻らない聴力だからこそ、私たち一人ひとりがしっかりと自分たちの耳について考え、耳に優しい環境や雰囲気を作っていきたいものだ。

(文=宮澤紀)

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