横山健が語る、Hi-STANDARDの新たなロマン「ハイスタじゃないと得られないものを体験したい」

横山健が語るハイスタのロマン

 Hi-STANDARDが16年ぶりとなるシングル『ANOTHER STARTING LINE』を10月5日、一切の事前告知なしでリリースした。その店着日となる4日にはSNSを通じたファンによる拡散が一気に広まり、多くのメディアでも取り上げられ大きな反響を呼んだ。そして12月7日には、カバーシングル『Vintage & New, Gift Shits』をリリース。2011年の『AIR JAM 2011』開催からの活動再開以降、新しいHi-STANDARDになるためにスタジオに集まっていた3人。その中で横山健は新しい音源を出したいという気持ちがメンバーの誰よりも強かったと話す。今回行ったHi-STANDARD・横山健へのインタビューでは、16年ぶりの新作リリースまでの経緯と、その中で横山が考えてきたHi-STANDARDという存在について大いに語ってもらった。(編集部)

「新曲を作ることに、ものすごい熱量があった」

ーーこうしてハイスタで取材を受ける時、気持ちや言葉って変わりますか。

横山:うーん……やっぱり多少変わるかも。何か言う時に「これは俺の話だけど」とか「これは俺の気持ちだけど」っていう注釈が付くかな。

ーー昔からハイスタは3人の合議制で進んでいったバンドですよね。全員が1/3の役割を担って、どんなことでも3人で詰めていくし、誰かが強引に決めることも、一人のアイデアがそのまま採用されることもなかった。そこは今も同じですか。

横山:うん。やっぱり合議制に戻る。それじゃ物事が進まないことが沢山あるから、「これ、もう決めてよ!」って役割分担するんだけど。それでもなかなか決まらなくて、最終的には合議制になっていくのかな。そこはハイスタの面倒くさい部分でもあるけど、もちろん良さでもあって。俺も1/3の役割を楽しんでるのね。Ken Bandだと自分でぐいぐい引っ張らないと進むものも進んでいかない。でもハイスタだと進めようと思っても合議じゃないと進められない。そこを今ははっきり区別して楽しんでるかな。

一一当然、新曲を出すにも時間がかかりますよね。2012年の頃から「動き出したからには新曲を作りたい」と話してはいたけど。

横山:うん。2013年もちょぼちょぼスタジオ入ってたんだけど。曲作りも少しずつするけど、そこでは時間を共有することのほうが大事で。言葉を替えると、本当くだらないお遊びのためにお金を払ってスタジオを借りることが多かった。特別「新譜を出すために集まってるんだ」っていう意識もそんなになかったと思う。なんとなく、こう「新しいHi-STANDARDになるために集まる必要があるね」って。次にアクションを起こしたいんだったら、やっぱり定期的に会ってバンドらしい動きをしてないと。だから最低月イチとかでも時間を共有できる場を設けて、新しいバンドになっていこうって。

一一「新しいバンド」という言葉なんですか。「前の状態に」ではなくて?

横山:前の状態には戻りたくても戻れないもん。それはもう、それぞれがプライオリティを持ってやってることがあるし、そのうえで集まるわけだから。90年代のハイスタには戻りたくても戻れない。つまり「Ken Bandを辞めてまでHi-STANDARDやりたいですか?」って言われたら、俺、そんなことはまったくなくて。歳も取ってしまったし感性も変わってるし、なにせ11年間もブランクが開いてるから、昔に戻ったところで……っていう感じはするかな。

一一では、新しいHi-STANDARDというのは、どういうイメージ?

横山:うーん……なんかね、『ネバーエンディング・ストーリー』に出てくるあの生き物。ファルコンみたいな。ああいうイメージ(笑)。

一一………はははは。全然わかんねぇ!

横山:ははは! 俺も『ネバーエンディング・ストーリー』見てないんだけど、今パッと出てきたのがそのイメージだった(笑)。真面目に話をすると、普通の人って、自分の大事なことややるべきことがあって、そこに生活も人生もだいたい収まると思うんだけど。その上にあるもの、っていうイメージかな。だからファルコン。動きもちょっとスローで。

一一誰かの夢を乗せてるところも同じですね(笑)。今のハイスタは、Ken BandやNamba69、ツネさん(恒岡章)の活動を尊重し合ったうえでやっていると。

横山:そう。でもハイスタじゃないと得られないものもやっぱりあって、それを体験しにいきたい。そのためにもHi-STANDARDではどういった活動をして、どういった楽曲を作って、どういった在り方をするのがベストなのか。それを探るのに2011年の再始動から5年かかっちゃったのかな。

一一そのぶん、いい曲ができましたね。

横山:曲に関してはね、俺もっとできると思うんだけど。でもこれが今の精一杯だと思う。あと、4曲だけじゃ表現しきれないバンドなんだっていうのは強く思った。やっぱり10何曲、アルバム単位で聴いてもらわないと。もちろん曲作りとかレコーディングを振り返るとよくやったなって思うけど、でも、内容としては全然、自分では物足りない。「まだまだ、こんなもんじゃないズラよ!」って思ってる(笑)。

一一つまり、ハイスタで表現することに今はハングリーになれている。

横山:うん。だって新曲を作ることに、ものすごい熱量があったから。たぶんね、2011年のAIR JAMに出た時、俺はほんとに「これが日本のためなんだ」って思ってたし「俺のためにはひとつもならない」とも思ってた(笑)。他人に言われるまでもなく、10何年前の曲ばっかり演奏して、ただの懐メロバンドじゃねぇかと思ってたし。そこで「じゃあ何が必要だ? ……新曲だ!」って思ったの。新曲があれば格好がつくし、格好つけるには新曲しかないと思った。だから……そう、ハイスタとして新しい音源を出したいっていう気持ちは誰よりも強かったかも。

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