ストレイテナーが実現した“曲の良さを届ける”ライブ 新木場スタジオコーストワンマンを見て

ストレイテナー新木場ワンマンを見て

 バンドがバンドの曲をカバーして、これほど“普遍的ないい曲”として再認識されるということは、かなり珍しい。対象になるバンドのメッセージ性やある時代のアイコンとして捉えられたカバーなら、そこに曲の良さはあまり感じられないし、これまでそうしたトリビュートはいくつも聴いてきた記憶がある。良くも悪しくも企画でしかなかったりする。しかし、今回のアプローチがもたらした結論は、ストレイテナーの楽曲はいい、というシンプルなものだ。これは音楽としてとても幸せなことだと思う。

 アンコールにはback numberがまるで彼らのオリジナルのごとく完全に自分たちのものにした「シーグラス」、そしてMy Hair is Badが歌詞も変えて、今の自分たちのものにした「REMINDER」という魅力ある2曲が披露された。ものすごく当たり前のことだが、「ああ、オリジナルは意外とストロークが激しかったよね」と、躍動する「シーグラス」を楽しみ、逆に「オリジナルはそう、これぐらいBPMは遅いよね」と、堂々と笑顔で鳴らされる「REMINDER」に深くうなづいてしまった。自身の楽曲を今、どう解釈し、アレンジし、演奏するのか。単にいびつで複雑な曲がほとんどないセットリストだったからというだけではなく、この日の演奏は過去最強に「曲の良さをいかにまっすぐ届けるか?」それを実現していた。

 しかしそこは簡単にまっすぐにする人=ストレイテナー、ではない。来年はレア曲を披露するツアーも企画しているとのこと。来年の結成20年目に起こすアクションに期待したい。

■石角友香
フリーの音楽ライター、編集者。ぴあ関西版・音楽担当を経てフリーに。現在は「Skream!」「PMC」「EMTG music」「ナタリー」などで執筆。音楽以外にも著名人のテーマ切りインタビューの編集や取材も行う。

ストレイテナー オフィシャルサイト

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