フレンズが明かす、ハイクオリティなJ-POPが生まれる源泉 「最初の5秒に魔法をかけたい」

フレンズが鳴らす“J-POP”はどこから生まれる?

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「“キャッチーなもの”がたぶん共通なんです」(おかもとえみ)

――今日は“おかもとえみの歌唱力どうなってるんだ問題”について話したいと思って来たんです。声自体が魅力的なのはもちろん、歌のメリハリ、地声とファルセットのバランス、リズムの取り方など絶妙で最初聴いたときに驚きました。その歌、どこで鍛えたんですか?

おかもと:私は小学生の頃、SPEEDに憧れてダンスもできるボーカリストになりたくて。でも中学1年でダンス部に入ろうと思ったら先輩が怖かったので、ダンスを諦めて軽音楽部に入りました。それからずっとベースボーカルです。歌を習ったことはないし、うまくなりたいなとも特に思わず、ただ好きな曲を歌ってたんですね。そしたらいろんな声が出せるようになって、いろんな歌い方もできるようになりました。だから私の歌は亜流というか独学なんですよね。

――島袋寛子さんと今井絵理子さんの歌い方マネしました?

おかもと:めっちゃマネしました。友達とSPEEDのマネをする時は多香子ちゃんだったんですけど。

――SPEEDが好きだったのは一部わかるんですけど、おかもとさんの歌声はもっと柔らかいですよね。

おかもと:それはたぶんフィッシュマンズとか小沢健二さんも好きだったからですね。家でギターやピアノの弾き語りをするとき、よく歌ってました。

――メンバーの皆さんはおかもとさんの歌を最初に聴いたとき、どう思いましたか?

ひろせ・長島・三浦・SEKIGUCHI:ビックリしました。

長島:いらやしい話、「見っけちゃった」と思いましたもん(笑)。

三浦:俺は「ビビビ」のレコーディングのとき、ラストサビで転調してからのボーカルに感動して泣きそうになっちゃって。楽しいんだけど哀愁のあるコード感と、えみそんの声のエモさが相まって超いいのでオススメです。

ひろせ:その転調の部分もそうだけど、キーって上げたらだいたい明るい雰囲気になると思うんですよ。けど、えみそんはエモくなるというか感情が前に出る。そこが彼女の一番の武器だと思ってて。えみそんの声の張るちょうどいいラインを攻めたいなと思っていつもメロを作ってますね。

おかもと:自分で作る曲だと私の歌いやすいメロディに行っちゃうんですけど、ひろせの作るメロは自分では絶対作らない流れとか音域とかも入れてきてくれて、歌うのが楽しいですね。毎回ワクワクします。

――一方ひろせさんのボーカルについて、おかもとさんから解説してもらうといかがでしょう。

おかもと:ひろせの歌は芸人さんの歌みたいというか、とんねるずが歌ってるような感じに近いんですよ。工藤静香さんと石橋貴明さんがやったユニットのLittle Kissの「A.S.A.P.」も、芸人さんがネタじゃなくて歌で魅せるよさが出てると思うんですけど、それに通じるものがひろせにはあるなって。MCで笑わせてるひろせが、歌い出すと普通にうまくて、私の書いた詞の哀愁感も表現してくれる。実はひろせこそ今のバンドシーンにいないタイプの歌だなと思います。

ひろせ:仲良くさせて頂いているONIGAWARAの斉藤(伸也)さんに「みんなカッコつけてうまく歌いたくなるのに、お前はマジでフツーだよな。それ超いいよ」って言われたんです。僕自身は全然意識してなかったけど、一般の人がカラオケでマネしたくなるいい感じの歌だって褒めてもらえたのはうれしかったですね。

――ひろせさんとおかもとさんが質の高いポップな曲を生み出す源泉に迫りたいです。自分を形作った音楽体験やアーティストはなんですか?

ひろせ:僕は、テレビや街中で流れてるJ-POPが自分を作ったと思ってます。特に好きだったのはビーイング系ですね。なんで俺はJ-POPがこんなに好きなのか調べていったら、好きな曲はだいたい織田哲郎さんが作ってるっていう結論にたどり着いたんです。オダテツ最強。

おかもと:私はSPEED、野猿、ポケットビスケッツあたりが歌やメロの部分の原点なんですけど、ベーシストっていう面ではファンクにもハマりました。J-POPの歌の感じとSly & The Family Stoneのリズム感、それが今にすごく活きてるかな。ボーカリストとしてはDo As Infinityの伴都美子さんが大好きで、ああいうふうに歌いたいなと思ってました。

――ラップ以外のパートでもけっこう韻を踏んでいて、軽快さを感じさせる一助にもなっています。10歳の頃にはヒップホップが流行っていた世代ですよね?

おかもと:はい。mihimaru GTとかORANGE RANGEとか、もう歌謡曲の中にラップが組み込まれてる世代で、そういうのは聴いてました。

――お2人ともフレンズでは確信的にキャッチーな曲を作ってるんでしょうか?

ひろせ:えみそんのことを“天才女”(てんさいじょ)と呼んでるんですけど、もうパッと作れるんですよ。

おかもと:そう。ノリで作っちゃう。ビビビ、ビョーンって。

ひろせ:反対に僕は「曲作りのプロセスとは」みたいな本を読むぐらい、ヒット曲はどうやって作られてるんだろうって分析するのが好きなタイプで。だからキャッチーさっていうのはずっと追求してることでですね。で、僕1人だと頭が固くなってしまうのを、えみそんの「そんなんどーでもよくない?」って助言で「そうだ、どうでもよかったわ」って気付かされる、というのを繰り返したバランス感が今のフレンズなんだなと思います。

――なるほど。作曲家としての脳みその作りは真反対な2人かもしれませんが、2人の作る曲にクオリティの差があったり毛色の違いがあったりはしないのが不思議ですね。

おかもと:私たち同じ1990年生まれで、聴いてきた音楽とかバックボーンが似てるから、うちらの思う“キャッチーなもの”がたぶん共通なんですよね。私は直感で作っちゃうけど、ひろせはちゃんと考えてそれをやる。

ひろせ:えみそんとカラオケに行くと盛り上がる曲も同じだし、知らない曲だとしても全部いいなと思いますもん。泰葉さんの「フライディ・チャイナタウン」を教えてもらって超いい曲だなと思ったし。

おかもと:泰葉さんが大好きで、よさを広めたいんですよね。「ポール・ポーリー・ポーラ」って曲があるんですけど、なんの活用形なんだろうって……。

長島・三浦・SEKIGUCHI:それ知りたい!(笑)

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