矢野顕子+TIN PAN『さとがえるコンサート』が見せた、フィジカルな生演奏の凄味

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 矢野顕子が、細野晴臣、林立夫、鈴木茂からなるTIN PANを迎えて行った演奏を収録したライヴ盤、と書くと日本のロック~ポップスの大御所が顔を揃えた回顧的な作品だと思われるかもしれない。しかし、それは完全な間違いだ。矢野顕子とTIN PANによる『さとがえるコンサート』は、4人のプレイヤーとしての実力が遺憾なく発揮された、非デジタルな生演奏の凄味を満喫させるアルバムだ。

 『さとがえるコンサート』とは、矢野顕子が毎年ニューヨークから「さとがえり」して開催される恒例のライヴ。そして2014年の『さとがえるコンサート』に迎えられたのは、細野晴臣、林立夫、鈴木茂からなるTIN PANだった。はっぴいえんど解散後、細野晴臣と鈴木茂が、林立夫、松任谷正隆とともに1973年に結成したのがキャラメル・ママ。1974年にはティン・パン・アレーと改名した。そして2000年には細野晴臣、林立夫、鈴木茂によるTIN PANとして復活することになる。

 矢野顕子のデビュー・アルバム『JAPANESE GIRL』がリリースされたのは1976年のことだが、キャラメル・ママとの出会いは1973年にまでさかのぼる。そして、TIN PANは矢野顕子の2002年のアルバム『reverb』にも参加している。

 両者の出会いから約40年を経た2014年12月、『さとがえるコンサート』は福岡、名古屋、大阪、東京で開催された。このライヴ盤CDのミックスエンジニアは、はっぴいえんどの1971年のアルバム『風街ろまん』や矢野顕子の『JAPANESE GIRL』も手掛けた名匠、吉野金次が担当している。

 矢野顕子と細野晴臣というと、YMOとの関わりを思い浮かべる人も多いだろう。矢野顕子の1980年のアルバム『ごはんができたよ』にはYMOの細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏が全面的に参加し、同年にはYMOのワールドツアーに矢野顕子が参加するなど縁は深い。しかし、そうしたテクノポップとは真逆の生演奏であることが、この『さとがえるコンサート』の重要なポイントだ。

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