『VIVANT』第2シーズンはなぜ物足りなく感じる? 期待したい“結果”ではなく“過程”の妙

また乃木が何かを調べようと思ったら、すぐさま協力者であるハッカーの“ブルーウォーカー”こと太田(花岡すみれ)か、あるいは別班の司令・櫻井(キムラ緑子)がいる地下深くの司令部にあるAIハヤトが結果を導き出してしまう。物語としてのスピード感はたしかに高まるが、何から何まで判断を委ねたり(裏切っている可能性が数値で導き出され、それを基にして作戦行動が進められたり)するとなれば、その過程で本来生まれていたはずのドラマや複雑性は失われてしまうものだ。

いわば乃木をはじめとした別班ら諜報員の活躍ぶりという“過程”を異様なまでの熱気と仰々しいスケール感で描くことよりも、誰が裏切っているのかという“結果”ばかりに特化した、ある意味で“ドーパミン的刺激”を求める作劇が第2シーズン全体を取り巻いていると言わざるを得ない。第1シーズンのように氾濫する膨大な情報のなかで乃木と一緒に呑み込まれていくことよりも、「こいつが裏切り者だったのか」「よかった、やっぱり味方だった」といったところに作品がもたらす快楽の源泉を見出す。こうした部分が、正解ばかりを追求する現代人の傾向と、それに付随するAI技術へのアンチテーゼであれば興味深いのだが。
それはそうと、第2シーズンの開始時点からネット上で否定的な意見が目立っていた部分といえば、“ブルーウォーカー”のキャスト変更(同様にジャミーンのキャストも変更になっている)であろう。だが続編作品で同一キャラクターのキャストが変更になること自体は決して珍しいことではなく、それに伴って役柄のイメージが変わってしまうこともよくあること。第1シーズンから3年近くの月日が流れたとはいえ、物語上の時間設定は第1シーズンの直後でまだ2023年のまま。地続きであるということが、視聴者側の違和感を引き起こす一因になっていても不思議ではない。
また、作品全体を取り巻いている限りなく右傾的な空気を危惧する声もいくらか見受けられたが(昨今の社会情勢から考えれば、そのような意見も致しかたない)、そもそも国家の諜報員を主人公にしたスパイ劇なのだからどうしても右傾的にはなるだろうし、主人公をヒロイックに捉えるのも至極当然である。重視すべきは、そうした政治思想的な部分から解き放たれたエンタメドラマとして完成されているかということかもしれない。

先述のようにストーリーの短絡感は否めず、撮影機材の映り込みなども含めて大作ゆえの詰めの甘さがところどころに目立つ。大きなスペクタクルになり得たベキの葬儀シーンが引きの画一本で終わってしまったのは勿体なく思うが、一方でタイでのチョッキーの邸宅爆破シーンと新庄の銃撃シーンはなかなかの見応えがあり、やはり必要なのは第1シーズンの第1話のように、作品が持つリソースをフルに活かした“派手さ”に他ならない。第2シーズンもまだ序盤であるならば、単なるドーパミン的刺激ではなく真に刺激的な作品へシフトしていける余地は充分に残っているはずだ。
■放送情報
日曜劇場『VIVANT』第2シーズン
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、山中崇、Barslkhagva Batbold、Tsaschikher Khatanzorig、富栄ドラム、林原めぐみ(声の出演)、内野謙太、花岡すみれ、本間さえ、二宮和也、井上順、林遣都、内村遥、井上肇、市川猿弥、市川笑三郎、平山祐介、珠城りょう、西山潤、宮下今日子、Tanapak Jongjaiphar、濱田岳、坂東彌十郎、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李
原作・演出・プロデュース:福澤克雄
プロデューサー:飯田和孝
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/VIVANT_tbs/
公式X(旧Twitter):@TBS_VIVANT
公式Instagram:tbs_vivant
公式TikTok:vivant_tbs



















