『VIVANT』で唯一の“裏切らない男”? 疑心暗鬼の物語で際立つチンギスの頼もしさ

『VIVANT』チンギスの圧倒的頼もしさ

 誰が敵で誰が味方なのか判然としない日曜劇場『VIVANT』(TBS系)では、毎週のように衝撃の展開と“裏切り”が連続している。

 第12話では新たに登場した別班の正体が丸菱商事の専務・長野(小日向文世)であることが明らかになり、続く第13話でこれまで乃木(堺雅人)と共闘していた野崎(阿部寛)の裏切りが発覚。衝撃のラストが待ち受けることが当たり前のようになってきた本作において、第15話では野崎が中国の諜報機関「Xinxi(シンシー)」への潜入任務を言い渡されていることが、警視庁公安部の部長・佐野(坂東彌十郎)の口から明かされる。またもや敵と味方が逆転する目まぐるしい事態となった。

 もはや誰を信じればいいのか視聴者も混乱しているなか、数少ない信用できる登場人物といえるのがバルカ警察のチンギス(バルサラハガバ・バトボルド)ではないだろうか。チンギスは第1シーズンでも圧倒的な存在感を放ったキャラクターで、再登場を楽しみにしている視聴者も多く、本作でも重要な役割が任されていると予想される。

 第2シーズンでは、乃木がベキ(役所広司)の葬儀が行われる日にバルカを訪れるタイミングでようやく対面が実現。チンギスは乃木が来ることを予感していたのか、会った直後に野崎に代わって謝罪の言葉を伝えた。なんと野崎はベキを日本へと連行する前日に、チンギスと言葉を交わしていたのだ。そこで受け取ったメモには「天網恢恢疎にして漏らさず」という古代中国のことわざが記されており、暗に逃れることのできない監視の目があることを示していた。シンシーに監視されている野崎が乃木に対して情報を伝えるため、チンギスにメッセージを託し、乃木はシンシーに捕らえられるリスクを取ってでも彼に会いに行った。その事実は、チンギスが2人から大きな信頼を置かれていることの証左でもある。

 ただ、彼らの最初の出会いは散々なものだった。爆発事件の犯人と決めつけられ、バルカ警察から追われることになった乃木。爆発の現場で公安の野崎に助けられたあと、運ばれた病院で医師の薫(二階堂ふみ)と出会う。その後、ドラム(富栄ドラム)も含めた4人を執拗に追い回していたのがチンギスだった。

 鬼のような形相で仲間を率いて、凄まじい執念で乃木や野崎を幾度も追い詰める姿は、本作の大きなハイライトでもある。日本大使館前での攻防や、バルカとモンゴルの国境での一触即発の一幕など、見応えのあるシーンにはいつもチンギスの姿があった。チンギスを演じるのはモンゴル出身の俳優であるバルサラハガバ・バトボルド。敵役ながら強烈なキャラクターで視聴者にインパクトを残した彼の迫真の芝居も、チンギスの魅力を最大限に引き出していた。砂漠を越えてモンゴル国境へとたどり着いた乃木たちを待ち受けていたチンギスが、奇声を上げながら宙に銃を乱射する姿を観たときの絶望感。野崎が「死神か」と呟くのも仕方がない所業だった。

 敵に回すと憎らしいほど優秀な警察官であるチンギスだが、味方につくとこれほど頼もしい存在はいない。謎の組織「テント」の正体を暴くために、日本警察とバルカ警察が協力して合同作戦を行うことになった際は、野崎の言動に振り回されつつも、その行動力と頭の回転の速さで捜査に貢献。さらに、物語の終盤でノコル(二宮和也)を裏切ったゴビ(馬場徹)が外務大臣のワニズ(河内大和)と結託して、フローライトの採掘主導権を独占しようとしたタイミングで野崎とともに現れ、悪どい計画を阻止する活躍を見せる。ベキが経営する孤児院の出身だったチンギスが、最後に日本へと連行されるベキに感謝の意を示す場面は、彼の人間性を端的に表すワンシーンだった。

 第2シーズンに入ってからは誰が敵で誰が味方なのか、どこか疑いの目で登場人物たちを見つめていた。物語の主要人物たちでさえ完全には信頼しきれずにいたが、ようやく明確に味方だと思えるチンギスの再登場は、観ている人の安心材料となったのではないだろうか。

 乃木と別れる際に「また会おう」と約束を交わしたチンギス。その言葉を信じて、乃木や野崎がピンチに陥った場面で、再び視聴者の前に現れる姿を楽しみにしたい。

■放送情報
日曜劇場『VIVANT』第2シーズン
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、山中崇、Barslkhagva Batbold、Tsaschikher Khatanzorig、富栄ドラム、林原めぐみ(声の出演)、内野謙太、花岡すみれ、本間さえ、二宮和也、井上順、林遣都、内村遥、井上肇、市川猿弥、市川笑三郎、平山祐介、珠城りょう、西山潤、宮下今日子、Tanapak Jongjaiphar、濱田岳、坂東彌十郎、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李
原作・演出・プロデュース:福澤克雄
プロデューサー:飯田和孝
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/VIVANT_tbs/
公式X(旧Twitter):@TBS_VIVANT
公式Instagram:tbs_vivant
公式TikTok:vivant_tbs

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