『VIVANT』は正解のない問いへの答えを探す あらためて問われる“野崎”阿部寛の真意とは?
何が正義で何が悪か。『VIVANT』(TBS系)第15話は、正解のない問いに対する答えを探す放送回だった。
別班員の身柄と引換えにアジアの超大国の諜報組織「シンシー(Xinxi)」に下った野崎(阿部寛)。野崎の意図を探るため、乃木(堺雅人)は東条(濱田岳)を捕らえて尋問する。東条は野崎に命じられて偽装工作を行っていた。
出だしからショッキングなシーンで始まった第15話の濱田岳には「ご愁傷様です」という言葉以外に出てこない。乃木に粛清される可能性もあったと思うので、東条が命びろいしてほっとした。シンシーに寝返った野崎の考えを知るには、東条を問いただすのが手っ取り早い。東条の自白から、乃木たちの推理が正しいことが裏付けられた。利用価値の高い東条は、引き続き別班の監視下でハッカーとして手腕を発揮することになった。
公安対別班。目的を共有する組織が対立する陰に、国外の勢力があるという構図。正直言ってドラマだから観ていられるが、これが現実だったらかなり怖い状況である。危機感を抱く反面、むやみに対立をあおるスタンスにはファクトベースで対応する必要があると感じた。
東条は野崎に脅され監視されていた。野崎の頭には小心者で技術力のある東条が裏切る可能性があったかもしれない。バルカで行われたベキ(役所広司)たちの葬儀は、各国の情報機関がスパイ衛星で監視。同じ頃、乃木はバルカ警察のチンギス(バルサラハガバ・バトボルド)を介して、野崎から謝罪とメモを受け取る。
「天網恢恢疎にして漏らさず」
第1シーズンに続く乃木と野崎の伝言シリーズは中国の思想家・老子の言葉だった。「天は全てを見ていて、悪事を犯せば必ず天罰を受ける」という意味で、万物を支配する存在を示唆するが、ここでは「見る/見られる」という関係が物語上重要である。
野崎の「謝罪」は何に対する謝罪なのか? また、野崎は何を伝えようとしたのか? 相手の発する言葉を信じられるかは、誰が言うかが影響する。第1シーズンの立役者だったチンギスと腹心の部下だったドラム(富栄ドラム)は野崎にとって信頼に足る2人といえる。野崎は乃木を高く買っており、「世界最高の警察官」チンギスに託した言葉は、このタイミングで伝えなければならないものだったと考えられる。
ドラマが進むにつれて、野崎のたくらみは明らかになっていく。ハン(宮下今日子)に対して余裕を見せながらも警戒を怠らない空気感や、質問をのらりくらりとかわし、本心を見せない挙動は相手から情報を引き出すための方便といえる。
別班としては、別班員の命を危険にさらした野崎を看過するわけにいかない。それまでの情報を総合すると、公安部長の佐野(坂東彌十郎)に事情聴取する必要があった。佐野が明かした真相はこれまでの展開を覆すインパクトがあった。
何が正義で何が悪か。国のために超法規的な活動を行うことは「πのような永久に割り切れない世界」に身を置くことなのか。「天は全てを見ている」という言葉は相互監視を意味するのみならず、客観的な真実が存在することを示唆する。一部で予想されていたように、野崎にとっては部下のリュウたちを巻き込んだ4年前の出来事が発端だった。
乃木や野崎がやっていることは命がけのミッションであり、一歩間違えれば自身が拘束されて厳しい追及を受ける立場だ。第2シーズンに入ってから、国家的な任務に従事する個人のあり方に言及する機会が増えている。黒須(松坂桃李)や東条のように苦しむ姿は見たくないが、仮にそうなったときに自分ならどんな選択をするか。『VIVANT』3年ぶりの続編は未知の深淵に手を伸ばそうとしている。
■放送情報
日曜劇場『VIVANT』第2シーズン
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、山中崇、Barslkhagva Batbold、Tsaschikher Khatanzorig、富栄ドラム、林原めぐみ(声の出演)、内野謙太、花岡すみれ、本間さえ、二宮和也、井上順、林遣都、内村遥、井上肇、市川猿弥、市川笑三郎、平山祐介、珠城りょう、西山潤、宮下今日子、Tanapak Jongjaiphar、濱田岳、坂東彌十郎、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李
原作・演出・プロデュース:福澤克雄
プロデューサー:飯田和孝
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/VIVANT_tbs/
公式X(旧Twitter):@TBS_VIVANT
公式Instagram:tbs_vivant
公式TikTok:vivant_tbs


























