『風、薫る』“シマケン”佐野晶哉による感動のアドリブ演技 看護の思いが誰かの“風媒花”に

NHK連続テレビ小説『風、薫る』第25週のタイトルは「風媒花」。花粉を風に飛ばして受粉させる花を指し、恵風派出看護養成所の立ち上げとそこに通うツヤ(東野絢香)、セツ(村上穂乃佳)たちがそれに当たるのだろう。
一方で、第125話は島田(佐野晶哉)を看護するりん(見上愛)とのシーンで15分間のほとんどが構成されている。腹痛とげり、全身の倦怠感と口渇、食欲不振。危ない状態と判断した直美(上坂樹里)としのぶ(木越明)は帝都医大病院に往診の手配をする。やってきたのは藤田(坂口涼太郎)。続けて虎太郎(小林虎之介)も訪れ、食欲増進に効く漢方薬を持って来た。

藤田と虎太郎を見送ってからの6分30秒以降は、全てりんと島田の2人芝居。懸命に励ますりんに、島田は「なんで……来て……ほしかった……」と実家のある浜松へと一緒に来てほしいと誘った話を持ち出す。当時は看護の仕事や家族のこともあり、りんは島田の思いを受け入れることができず、それが実質の別れとなってしまっていた。
島田はりんの手を握り返し、「離したくなかった……!」と力を振り絞る。知っている人の看護は大変だという直美の言葉もあったが、いつの間にか敬語での看護婦と患者から、かつてのりんと島田の関係性へ。島田は実家の借金の件についてりんには黙っており、いつも言葉が足りない島田にりんは本音をぶちまけた。もうあの頃には戻れない。しかし、2人の感情のぶつけ合いが、りんの「意地、張り切ってよ。張り切って、生きてよ!」という強い言葉での鼓舞となり、島田が翌朝に無事一命を取り留める結果となったとも考えられる。

『あさイチ』「プレミアムトーク」には見上愛が満を持しての登場。VTR出演した佐野晶哉は、りんの手を握り返すシーンは監督と相談した上で本番で急に手を握ったという。それは受けての見上も知らなかった事実。今までの2人の思い出が蘇ってきたという佐野は、「ヒロインに最後どういう表情をさせるか」は大事だと思っていたようだ。手を握り返すアドリブがあったからこそ、2人の芝居にスイッチが入ったとも言えるのではないだろうか。

物語はいよいよ最終週「道標」へ。「本を書いてみるのはどうですか?」とりんに提案する島田の姿や「いろんな人に助けてもらってきたから返したい」というりんの印象的なセリフもある。
『あさイチ』のラストで、『風、薫る』を観て、看護師に復職したという視聴者からのメッセージが紹介された。「嬉しいですね。誰かの人生に影響を与えてるんですね」と見上。『風、薫る』自体が“風媒花”になっていることを感じさせた。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK





















