『対岸の家事』に『めおと日和』も 2025年春ドラマ、高評価作の共通点は“家事”の描き方

2025年春ドラマ、良作の共通点は“家事”

社会から一歩引いたところにある幸せを描いた『しあわせは食べて寝て待て』

『しあわせは食べて寝て待て』写真提供=NHK

 「誰かのための家事」ばかりが家事ではなく「自分のための家事」を疎かにしないことの重要性を教えてくれるのが『しあわせは食べて寝て待て』だ。水凪トリの同名コミック(秋田書店)を原作に、朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK総合)の桑原亮子、ねじめ彩木が脚本を手掛けている。

 膠原病という「一生つきあわなくてはならない」病気にかかった主人公・さとこ(桜井ユキ)が、 “薬膳”、つまり「旬の食材を取り入れた食事で体調を整える」ことを知り、実践していく話だ。時にお財布と相談しながら、身体が喜ぶ食材を購入し、料理すること。その効能を実感しながら食べること。時にその幸せを周囲の人々と共有すること。それらはすべて日常を楽しむことに繋がり、人生の肯定へと繋がっていく。

『しあわせは食べて寝て待て』写真提供=NHK

 『対岸の家事』では「家事」を仕事として捉え「お仕事ドラマ」として描くことで家事を通して社会全体を見つめるが、『しあわせは食べて寝て待て』の場合は「生産性・向上心あってこそ認められる場所」である社会から一歩引いたところにある幸せを描いているのが面白い。

 今の時代、家事と無関係でいられる人はほとんどいないと言っても過言ではないだろう。「家事」は時代の変化を映し、変わらぬ「大切な人を思いやる気持ち」を示し、健やかに自分らしく生きる術を教えてくれる。自身の「家事」を見直すことは、自分の人生や、大切な人との日常と、ちゃんと向き合うことに繋がるのである。

『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』の画像

火曜ドラマ『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』

朱野帰子による小説『対岸の家事』を原作としたヒューマンドラマ。専業主婦の主人公・詩穂が、生き方も考え方も正反対な「対岸にいる人たち」とぶつかり合いながら、自分の人生を見つめ直していく模様を描く。

■放送情報
火曜ドラマ『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:多部未華子、江口のりこ、ディーン・フジオカ、一ノ瀬ワタル、島袋寛子、田辺桃子、松本怜生、川西賢志郎、永井花奈、寿昌磨、吉玉帆花、五十嵐美桜、中井友望、萩原護、西野凪沙
原作:朱野帰子『対岸の家事』(講談社文庫)
脚本:青塚美穂、大塚祐希、開真理
プロデューサー:倉貫健二郎、阿部愛沙美
演出:竹村謙太郎、坂上卓哉、林雅貴
編成:吉藤芽衣
製作:TBSスパークル、TBS
©TBS
©朱野帰子/講談社
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/taigannokaji_tbs/
公式X(旧Twitter):@taigan_tbs
公式 Instagram:taigan_tbs
公式TikTok:@taigan_tbs

『波うららかに、めおと日和』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演者:芳根京子、本田響矢、山本舞香、小関裕太、小宮璃央、咲妃みゆ、小川彩(乃木坂46)、戸塚純貴、森カンナ、高橋努、紺野まひる、生瀬勝久、和久井映見ほか
原作:西香はち『波うららかに、めおと日和』(講談社『コミックDAYS』連載)
脚本:泉澤陽子
音楽:植田能平
主題歌:BE:FIRST「夢中」
プロデュース:宋ハナ
演出:平野眞
制作協力:FILM
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/meotobiyori/
公式X(旧Twitter):https://x.com/meotobiyori
公式Instagram:https://www.instagram.com/meotobiyori/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@meotobiyori

ドラマ10『しあわせは食べて寝て待て』
NHK総合にて、毎週火曜22:00~放送
出演:桜井ユキ、宮沢氷魚、加賀まりこ、福士誠治、田畑智子、中山雄斗、奥山葵、北乃きい、西山潤、土居志央梨、中山ひなの、朝加真由美
原作:水凪トリ『しあわせは食べて寝て待て』
脚本:桑原亮子、ねじめ彩木
音楽:中島ノブユキ
演出:中野亮平、田中健二、内田貴史
制作統括:小松昌代(NHK エンタープライズ)、渡邊悟(NHK)
写真提供=NHK

 

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