この岡田将生に“恐怖”すら感じる 『虎に翼』とは対極な『御上先生』でのヒール役

『御上先生』岡田将生演じるヒール役に恐怖

 2024年のエンターテインメントシーンの顔といえば、そのひとりとして多くの方が岡田将生の名を挙げるのではないだろうか。映画にドラマにと、さまざまなジャンルの作品で主要な役どころを担い、シーンの盛り上がりに貢献してきた。

 そんな彼の演技者としての力は、この2025年もさっそく活きている。そう、放送がはじまるなり大きな反響を呼んでいる日曜劇場『御上先生』(TBS系)での妙演でだ。次代を担う若手俳優陣が勢揃いしているドラマだが、やはり現在の岡田に対する注目度の高さに関していえば、相当なものがあるのではないだろうか。

 本作は、文部科学省のエリート官僚・御上孝(松坂桃李)がとある高校3年生のクラスの担任となり、日本の教育現場を侵す腐敗した権力に立ち向かっていくさまを描く作品だ。第1話から御上と生徒らのやり取りが手に汗を握るスリリングなもので、その骨太な展開に対し、「さすが日曜劇場!」「これぞ日曜劇場!」と唸ったものである。おそらくこれから御上と生徒たちは、“権力”という大いなる力に対して共闘していくことになる。さぞ胸が熱くなる展開が待っていることだろう。

 そんな作品で岡田が演じるのは、文科省の官僚である槙野恭介。御上とは同期であり、官僚というこの狭き門をくぐってしのぎを削り合ってきたのだという。御上が“官僚派遣制度”によって私立高校へと出向を命じられたのは、左遷だともいえるものだ。しかもこれに関与しているのが同期の槙野。御上は頭脳明晰でつねに冷静沈着な男だが、胸に熱い何かを秘めている。いっぽうの槙野はというと、彼もまたクールな男だ。が、その腹の内がまったく見えない。表情は絶えず冷ややかで、発する声にも人間的な温もりが感じられない。嫌なヤツというよりも、正直なところ怖い。これをすべて体現しているのが岡田将生なのである。

 2024年の彼はエンタメシーンの顔だったと先述したが、映画『ラストマイル』の大ヒットに準主役ポジションで貢献し、国民的ドラマである「朝ドラ」こと連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合)でヒロインの相手役を務めていたのだから、ここで多くを語らずとも納得してもらえることだろう。後者で演じていた星航一は、少しクセのある、けれどもどこまでも心の清らかな人物だった。岡田の演技もチャーミング。ドラマの放送が終了してしばらく時間が経ったが、いまだに“ロス状態”だという人は少なくないのではないかと思う。

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