朝ドラが描いてきた“母親”像 『おむすび』は“結”橋本環奈の成熟をどう描く?

『おむすび』朝ドラが描いてきた“母親”像

 年末年始の放送休止期間を挟み、後半戦に突入したNHK連続テレビ小説『おむすび』。1月6日から放送された第14週では、結(橋本環奈)と翔也(佐野勇斗)が結婚を決意し、仕事やお金のことに向き合った。

 結婚資金を貯めるため、節約に努める2人の姿に親近感を覚えた人も多いのではないか。これまでも本作は、人生で多くの人がぶつかる壁を、結が悩みながらも自分の好きなことを貫く“ギャル魂”で1つずつ乗り越えていく姿を通し、観る人に元気を届けようとしてきた。

 続く第15週の予告映像では、結が赤ちゃんを抱いている姿が。2024年末に放送された『プロフェッショナル 仕事の流儀 橋本環奈スペシャル』(NHK総合)を観ていた人はすでに分かっていたと思うが、最初は高校生だった結がついに母となる。同番組では、橋本が初の母親役に戸惑いながらも、結らしい母親像を打ち出そうとする姿が映し出されていた。

 女性の人生において「当然あるもの」ではなくなってきているが、朝ドラでは一部の例を除いて、ほとんどのヒロインが結婚の後に妊娠・出産を経験している。それは大体、仕事がようやく楽しくなり始めた頃だったり、何か大きな一歩を踏み出すタイミングだったりで、「育児とやりたいことの両立」は朝ドラに共通する1つのテーマと言えるだろう。だが、その描き方は実にバラエティ豊かだ。

 印象的だったのは、2019年度前期放送の『なつぞら』だろうか。広瀬すず演じるなつは、アニメ製作会社「東洋動画」の原画担当初の女性アニメーターとして活躍していた頃に妊娠が判明。直前に同僚の女性が妊娠を機に会社から契約社員になることを迫られ、退職したこともあり、不安に揺れる。そんな彼女が同僚を巻き込み、会社から出産後も正社員として働き続ける権利を勝ち取るシーンは爽快だった。

 一方、2020年度前期放送の『エール』では、二階堂ふみ演じる音が音楽学校の記念講演で主演に選ばれるも、妊娠をきっかけに降板せざるを得ない状況に。そんな音に、夫の裕一(窪田正孝)がかけた「君がもう一度、もう一度夢に向き合える日がちゃんと来るまで、僕がその夢、預かって大事に育てるから!」という台詞が印象的だ。「なぜ女ばかり……」とやるせない気持ちになることもあるが、裕一のように夢を諦めさせるのではなく、考え方を変えてくれる相手がいたら少しでも救われるのではないだろうか。

 出産後も夫や周りのサポートを受け、変わらず仕事を続けるヒロインもいる。2022年度後期放送の『舞いあがれ!』で福原遥が演じた舞は妊娠した当時、東大阪の町工場の技術を生かした商品開発を行う会社の経営者として忙しく働いていたが、夫の貴司(赤楚衛二)は子育てに積極的。「2人で親になったんやから」と子供の夜泣きに対応する姿に視聴者から感心の声が上がった。しかし、歌人の貴司は私生活が幸せすぎるが故にスランプに陥ってしまう。家庭を持った男性、ことクリエイターの苦悩も描かれたのが本作の特徴だ。

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