『虎に翼』堺正章の娘・堺小春は“朝鮮”を写す鏡に 伊藤沙莉と9年来の友人であるキャリア
香淑は朝鮮に帰国後、汐見圭(平埜生成)と出会ったのち、日本に渡り結婚。日本に渡った後は、偏見に晒されることを避けるために“崔香淑”という名を捨てて、“汐見香子”と名乗っている。日本統治下では“チェ・ヒャンスク”という呼び名を使うことができず、戦後も愛する人と平穏に暮らすために本当の名前を捨てる選択をしている。昭和初期の日本と朝鮮の関係性が、崔香淑という人物の名前や生活の変化から、リアルに感じることができるのだ。
とはいえ香淑は、汐見や多岐川(滝藤賢一)、娘の薫など、香淑自身の大切な人たちを守り、守られながら暮らすことができている。汐見との結婚で実家から勘当をされていたり、女子部時代の友人と会うことを避けたりと生きづらさはあるものの、大切な人と暮らす幸せを胸に生きているといえるだろう。
しかし、当時の日本で生きる朝鮮人や朝鮮人とともに生きていた日本人は、香淑や汐見のような人ばかりではなかったはずだ。偏見に苦しんだ者や、引き離されてしまった者もいたかもしれない。『虎に翼』で現在描かれているのは、1952年(昭和27年)。朝鮮戦争真っ只中の年代だ。朝鮮人が放火事件の容疑者として裁かれる裁判を通して、当時の日本人が朝鮮人にどんな印象を持っていたのかが、描かれるだろう。
これまで、第16週、第17週と新潟地家裁三条支部の良きサポート役として、新潟編の空気作りに一役買っていた小野。第18週のメインキャラクターとして、香淑とは別の形で当時の日本と朝鮮の関係に翻弄される人物として、堺がどんな感情を表現するのか期待したい。