『光る君へ』町田啓太、黒木華ら登場でさらに華やかに 柄本佑の一瞬で変わる表情にも注目

『光る君へ』町田啓太ら登場でさらに華やかに

  『光る君へ』(NHK総合)第3回「謎の男」。まひろ(吉高由里子)は自分のせいで放免に捕らえられた藤原道長(柄本佑)を心配していた。道長の正体を知らず、また父・藤原為時(岸谷五朗)から謹慎を強いられているため、まひろは案じることしかできない。けれど、その晩、放免たちに追われていた男(毎熊克哉)が現れると、道長の無事を伝える。

 第3回では、一族の繁栄のため、ライバル視する者たちの動向をあらゆる手を使ってうかがい知ろうとしたり、微笑をたたえながらも相手の出方を見ようとしたりする貴族たちの世界が垣間見えた。貴族たちの佇まいや面持ち、声色は一見、ゆったりと上品で穏やかなものにも映る。だが、誰も腹の底を見せようとはしない。

 道長の家族もそうだ。政権を掌握することを望む父・兼家(段田安則)は、道兼(玉置玲央)に指示を出し、道兼は女官を使って帝の食事に毒を仕込む。毒を盛られた円融天皇(坂東巳之助)は急激に体が弱っていった。兼家は安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)をも操り、円融天皇に譲位を決意させようとする。段田安則の演技は、兼家を絶対悪には映さず、あくまで一族の繁栄のために立ち回る一人の人間に見せる。しかしこの兼家は、いつ、誰に、どのように話せば、その人物を操れるかを深く把握しており、それが恐ろしく映る。兼家は道兼が、父の歓心を買うためなら帝の食事に毒を仕込めることを知っている。兼家から「一族の命運は、お前に懸かっておる。頼んだぞ、道兼」と言われた道兼は表情を明るくしていたが、兼家はこのように伝えれば、道兼が自身のために立ち回り、天皇の側近である藤原実資(秋山竜次)がいずれ一族の味方になるよう動くはずだと分かっているのだ。

 兼家と円融天皇の対話には凄まじい緊張感があった。円融天皇は自身が体調を崩した背景に兼家が関わっていると察しがついている。兼家の見舞いの言葉とそれに答える円融天皇の言葉は、字面だけは労りの言葉に見えるが、その声色も顔つきもお互いへの疑心に満ちている。円融天皇は兼家を信頼していない。兼家も円融天皇が自身を警戒していることなど十も承知だ。しかし、自分の血を引く懐仁(石塚陸翔)を東宮にしたいという点では、2人の利害が一致している。

「懐仁が東宮となるのか?」
「それがお上の願いであり、この国の願いであると思っております」

 2人の声はともに重く響いた。懐仁が東宮になるという願いを確かに叶えるよう念押しするような重みだった。兼家も円融天皇もこの時ばかりは本心を曝け出したに違いない。

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