『光る君へ』町田啓太、黒木華ら登場でさらに華やかに 柄本佑の一瞬で変わる表情にも注目

『光る君へ』町田啓太ら登場でさらに華やかに

 兼家の人を操る能力にもゾッとするが、道長の言動にもどことなくおっかなさを覚える。道長は人違いで獄に入れられるも、百舌彦(本多力)がすぐに知らせに走ったおかげで、父・兼家(段田安則)の家司・平惟仲(佐古井隆之)によって助け出された。兼家は道長の行いを叱るのだが、当の本人は父が憤るのをのらりくらりとかわす。兼家から「わしにとっても、一族にとっても、今がどういう時かお前も分かっておろう」と言われた時、道長はのんびりとした口調で「ん〜……分かっておらぬやもしれませぬ」と答えていた。だが、姉・詮子(吉田羊)に対して道長はこう助けを求めていた。

「父上は姉上のご機嫌を損ねたくないとお思いです。きっと姉上の仰せになることはお聞きくださるはず」

 「何だ、分かっているじゃないの。父上のお立場。さっきはとぼけておいて」と詮子は呆れていたが、分かっていながらとぼける様子にはある種の巧妙さがうかがえる。道長が兼家のように人を操る場面はない。けれど、いずれ道長は腹の探り合いで成り立つ貴族の世を上手く渡っていくのかもしれない。藤原公任(町田啓太)や藤原斉信(金田哲)、藤原行成(渡辺大知)らと過ごしていた時や、道隆(井浦新)ら家族と時間を過ごしていた時には、穏やかでのんびりしたお坊ちゃんに見える道長だが、彼らの言葉に耳を傾ける時に道長はふと冷静な面持ちを見せる。貴族の世を冷ややかに見るようなまなざしにも見えるが、貴族の世を捨て去ろうと思うほど冷淡でもないところに底知れなさを覚えた。次兄・道兼と言葉を交わした後に、すっと表情を変えたことも強く印象に残っている。

 その点、まひろは自身が感じ捉えたものが正直に顔に表れる人物だ。左大臣家の屋敷に招かれたまひろは勉強会で頭角を表しながらも、倫子(黒木華)たちとの身分差に圧倒されて顔を引きつらせる。為時が兼家のために自分を間者にしたと知った時、そのことに怒りを覚えながらも、無官の父の立場を理解して彼女は必死にこらえていた。沸き立つ怒りとそれをこらえるさまは、顔がすぐに映し出されずとも、「倫子様のお気に入りになれるよう努めます」という物言いから感じ取ることができた。

 自分の気持ちに素直なまひろとどこかはかり知れない部分がある道長。2人は町辻で再会を果たした。短い逢瀬を繰り返す中でお互いに強く惹かれ合っているまひろと道長は、次にどんな言葉を交わすのだろうか。

■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK

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