『光る君へ』紫式部は「罪な女」 吉高由里子、大河ドラマ主演としての覚悟を語る

『光る君へ』吉高由里子インタビュー

 1月7日よりスタートしたNHK大河ドラマ『光る君へ』。第2回より、いよいよ主人公・紫式部/まひろを演じる吉高由里子が本格登場する。NHK連続テレビ小説『花子とアン』をはじめ、数々の作品で主演を務めてきた吉高は、大河ドラマの主演として1年をどう駆け抜けるのか。制作統括の内田ゆきチーフ・プロデューサーも同席の上、放送前にここまでの撮影の手応え、偉人・紫式部を演じる上での心構えを聞いた。(編集部)

「文章を書くことで自分と会話できていたのかな」

――主人公の紫式部/まひろは、演じる吉高さんにとってどういった人物ですか?

吉高由里子(以下、吉高):まひろは、笑えるぐらい頑固な女性です。彼女が懸命に生きて、最後に残った大切なものを探す物語なのかなと感じているので、最後まで観届けていただけたらと思っています。

――まひろが『源氏物語』を書き上げられた、そのエネルギーの源はどういったところにあると考えていますか?

吉高:文章を書くことで自分と会話できていたのかなとも思うんですよね。書いている時に、自分の心がやっと見える、自分の進む方向を決められるというか。そうでないと、あんなに書けないよなと思ったりもします。あとは、藤原道長(柄本佑)に紙をもらっていたかもしれないんですよね。

内田ゆき(以下、内田):当時は紙が非常に高価なものでした。まひろは後に道長の求めで、その長女の中宮・彰子(見上愛)に仕える宮中の女房となることもあり、道長が紙を与えてバックアップしていったのではないかと言われています。

吉高:読んでほしいという気持ちのほかに、恩返しの思いがあったかもしれないですよね。

――平安時代の文学者を演じる上で苦労したところはありますか?

吉高:文学者としてはこれからそういったシーンが増えていくんだと思うんですけど、私は左利きなので、右で文字を書く筆のシーンになると緊張して手が震えますし、撮影する前に30分ぐらい時間をいただいて、練習してから本番に入っています。文字を扱う、文字が主役のドラマでもあるので、そこは丁寧に練習をして撮影をしています。

――紫式部は教科書にも載っているような歴史上の人物ですが、ここまでの撮影を通じて当初抱いていたイメージから変化してきた部分があれば教えてください。

吉高:紫式部はこれだけ世界中の人に知られているのに、誰も彼女の素顔を知らない、摩訶不思議な存在だなと思います。当時の女性の記録は日記ぐらいしか残っていないみたいで、唯一残っている男性の記録から想像するしかないんです。『源氏物語』にも描かれているような人の噂話だったり、色恋だったり、じっくりと周りのことを見ている人だったのかなとも思います。紫式部を演じると発表されてから、「光源氏って誰なの?」とよく聞かれるんですけど、「いや、違うの。『源氏物語』を書いた女性の物語なんだよ」という、そこはみなさんに太文字でお伝えできたらと思います。

――平安時代の衣装に身を包んでの撮影はいかがですか?

吉高:着物は毎日着るたびに、自分に馴染んでいく革靴のようなところがあって、これから着物を育てていく日々が楽しみですね。大変なのは重いことです。かつらも後ろから髪の毛を引っ張られているような感覚で首と肩がこります。ロケ先でコンビニに寄ったら店員さんもびっくりする感じですね(笑)。

――平安時代はこれまでほとんど大河ドラマで描かれてこなかった時代です。この作品の「ここを観ると楽しい」というようなポイントはありますか?

吉高:男性陣の着物も綺麗なんですよ。画面が優しいですね。淡くて繊細で、その色とその色を組み合わせるんだという着物の色使いだったり。五感に敏感な時代で、目に見えるもの、聞こえること、匂い、触れる過程とか、人の心が揺さぶられる要素が風景のなかにいっぱいあるんだなって。それが和歌になって繋がっていく、今だったら見落としてしまいそうな小さな幸せが、作品として残っていたりするんです。

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