笠間淳×本渡楓×市ノ瀬加那、『最強タンク』で築いた信頼関係 今後のキャリアへの意識も
1月6日より放送がスタートした最強タンクの迷宮攻略〜体力9999のレアスキル持ちタンク、勇者パーティーを追放される〜』は、木嶋隆太の小説を原作に如月命がコミカライズして人気となった冒険ファンタジーのTVアニメ化作品だ。勇者パーティーの盾役となるタンクとして迷宮に挑んでいたルードだったが、歴代最高の外皮【9999】を持ちながら勇者の横暴でパーティーを追い出されてしまう。妹・マニシアの病気を治すために、迷宮にある秘宝を見つけなくてはらならないルードは、旅の途中で助けたルナという少女によって未知なるスキルが判明し、改めて迷宮に向かおうとする。パーティー仲間だった公爵令嬢のニンも合流して始まる冒険の行方は? アニメの見どころや演じる役への思いを、ルード役の笠間淳、ニン役の本渡楓、ルナ役の市ノ瀬加那が語った。
笠間「自然と感情移入ができてしまう」
ーー原作やアニメの台本を読んだときの印象を聞かせください。
笠間淳(以下、笠間):すごく斬新で面白い作品だなと思いました。いわゆる“追放もの”で、迷宮に行ってモンスターを倒しつつ秘宝を目指すとか、あとは強敵と出会ってといった作品なのですが、本当の意味での迷宮攻略は実は違うところにあるんだということを原作や台本を読んで感じました。他の作品とは一線を画した視点があり、そこにキャラクターの魅力やストーリーの新しさがあるように思います。
本渡楓(以下、本渡):「体力9999のレアスキル持ちタンク」というところから、「9999」も体力があるということは、ルードはもうこれ以上ないくらいの人なのだと思いました。そんな最強な人が、どういう動機で迷宮を攻略していこうとしているんだろう?というのがタイトルからから感じた第一印象です。読み始めると、もう序盤でいろいろなドラマが起こるんです。最強であるルードの迷宮攻略の動機と、パッと見た外見とのギャップが大きくて、ルードにそんな一面があったのかと思いました。笠間さんがそんな時のルードの声を当てているのを後ろから見ると、全然違って見えるんです。そうしたギャップが愛らしい作品です。
市ノ瀬加那(以下、市ノ瀬):タンクにフォーカスを当てるっていうのが、新鮮な感じがしました。私はあまりタンクという言葉自体に馴染みがなかったのですが、作品の中でルードがタンクなりの葛藤を抱いたり、タンクとしての役割を果たそうとしているのを見て、パーティーの中でタンクはそんなことを思いながら戦っていたのかという新たな気づきがありました。それに、ルード自身が魅力的なキャラクターなんです。女の子がどうしてルードの周りに寄ってくるんだろうって考えたときに、すごく安心感があるキャラクターだからなんだなと思いました。自然とルードの近くに寄って行きたくなるんです。
ーーTVアニメの展開やキャラクターで注目してほしいところはどこでしょう?
笠間:パーティーのみんなで迷宮を攻略していく過程を含めた冒険の様子はもちろんですが、バトルもとても白熱したものになっているので注目していただきたいです。何よりもこの作品で良いなと思うのは、キャラクターひとりひとりの人間性や悩みにしっかりとフォーカスしているところです。主人公に関していろいろ描かれるのは当然ですが、ニンも冒険へ出る動機や想いを持っていたり、ルナもルードと出会って徐々に変わっていき、その変わった自分とまた向き合っていく姿が描かれています。各キャラクターのバックボーンが細かく用意されているので、自然と感情移入ができてしまうのではないかなと思います。
本渡:このお話には、あまりポジティブには受け止められないキャラクターも出てくるんです。ただ、そういうキャラクターにもすごく人間味を感じます。少しずるかったり、情けなかったり。でも、そのような要素はどこかしら自分にも当てはまるなと、自分自身を振り返るきっかけにもなり、人間ドラマとしても観ていける作品です。
市ノ瀬:今ここにいていいのかな、相手はどう思っているんだろうなど、自分の置かれている状況に悩みつつ、話し合ってみないとわからないよねといったシーンもあり、優しさって連鎖していくんだなとすごく感じました。真摯にその人と向き合っていくと、その人も誰かに優しさを返していったりとか、または自分に戻ってきたりする描写があって、そういったやり取りがいいな、温かいなって思います。人と人との何気ない日常の会話にもすごく温かみがある作品です。
ーールード、ニン、ルナの役を演じていく中で、それぞれのキャラクターに感じた魅力を教えてください。
笠間:ルードの魅力のひとつで、僕自身も出していかなければいけないと思う点として、タンクという冒険者パーティーの中では花ではない、縁の下の力持ちだというところがありますね。他のいろいろなジョブの人たちを自分の中に入れて飾る器といったところでしょうか。そんなタンクのルードが、ストーリーの中で主軸となって、どのように物語の世界に自分を置いていくのかといったところをかなり考えました。アフレコの時、そこの部分で音響監督からディレクションを受けることが多かったんです。芝居をする中で、もっと明るくていいとか、もっと前向きでいいとかって。そういう意味で、皆さんが抱いている縁の下の力持ちとしてあまり主張せず、一番カッコいいところにもいないといったイメージではなく、タンクだからこそ他の登場人物と関わっていけるんだよねといった魅力を、ルードを通して見せていければと思っています。
ーータンクだからこそ描ける物語があるということですね。
笠間:もしこれが、剣を持ってヒャッハー!ってやるだけの勇者だったら、この作品のようないいストーリーにはなっていかないよと、そんなことを見せていきたいですね。あと、キャラクターがみんな魅力的なんです。ニンは長女ではなく三女なんですよね。長女だったらたぶん冒険には参加させてもらえなかったと思うんですよ。自分のやりたいことをやりつつ、公爵家としての使命も背負い聖女としての地位も背負っている中で、ニンが抱く葛藤のあり方というのも見どころです。ルナに関しては、ほぼ真っ白の純粋な感じ、何ものにも染まっていないところから、仲間たちといっしょに築き上げていこうとするところがすごく素敵だと思います。