『ダンジョン飯』と『孤独のグルメ』に共通点? 極限状態だから味わえる“食の楽しさ”
1月期より放送が始まったTVアニメ『ダンジョン飯』。ダンジョンに潜む魔物を調理して味わう……というあらすじだけみれば、一見恐ろしいアニメなのだが、その調理シーンは魅力的で、なぜだか目が離せなくなる。なぜ、スライムや人食い植物を食べるエグい描写にこれほど惹かれてしまうのか。この記事では、ダンジョン飯が持つ魅力を歴代のグルメ作品や名作RPGをもとに探っていこう。
RPGを追体験? 「極限状態」で楽しむ罪悪感のない食事
魔物を調理して味わう、ことがメインテーマである本作。同じような描写に惹かれた経験を自分の中で思い返してみると、ある作品群の存在に気付く。それが、『モンスターハンター』や『ゼルダの伝説』といった外敵由来の食材が手に入るRPG作品だ。
これらのRPGには、冒険者自らが「倒したモンスターや道端のキノコから食材を入手して食す」システムが採用されている。
モンスターハンターの一作品だけを例に考えても、「くず肉」「苔チーズ」「幻獣バター」などのクセが強い食材が多数登場。
マズそうな食材が見るからに旨そうなチャーハンや肉まん(のようなもの)に変わっていく様からは、『ダンジョン飯』との類似性がうかがえる。
筆者はRPGの料理に心惹かれる理由を「食べることで強くなれる」から、つまりは「太るのを気にすることなく食べられる」からだと考えているが、それは本作も同様。
カロリーや油分を気にせず大盛り料理をひたすら食べたい……という現代人の欲求に、『ダンジョン飯』は全力で応えているのである。ダンジョンの中で彼らが魔物を食べる主な理由は、「腹を膨らませて戦いに挑む」ため。
良好な状態で戦うために食べる彼らを観ていると、日ごろ塩分や糖質をチェックしながら買い物をしている筆者も、食べ物に関する多くの悩みから解放された気分になった。加えて、食べられない食材を使用した料理アニメが珍しい点も、本作が人気を博した理由だろう。
実際に食べられる食材を使った飯テロ作品というと、『孤独のグルメ』(テレビ東京系)や『きのう何食べた?』(テレビ東京系)、アニメ『美味しんぼ』や『クッキングパパ』など、思いつくものは数多い。
しかし、食べられない食材を使った作品、と言われて何かを思いつく人は少数派なのではないだろうか。
「ダンジョンの中」という極限状態だからこそ成り立つ、普通なら食べない食材を活用したグルメ作品。ダンジョン飯は、RPGにおける食事の魅力を押し出すことで生まれた「罪悪感を忘れて楽しめる」珍しい存在の料理アニメなのだろう。