『THE FIRST SLAM DUNK』復活上映に歓喜の声 リバイバルされるべき名作アニメは?

リバイバル上映に期待な名作アニメ

 アニメ映画のリバイバル上映が盛り上がっている。2月28日にBlu-ray&DVDの発売を控える『THE FIRST SLAM DUNK』が、1月23日に1日限定で“復活上映”されることになってチケットは早くも完売状態。2001年公開の今敏監督による『千年女優』も1月19日から期間限定でリバイバル上映される予定で、2023年に行われた『パーフェクトブルー』4Kリマスター版のリバイバル上映同様に満席が続出しそうだ。新しい作品もあれば懐かしい作品もあるリバイバル上映の何が観客を誘うのか。これからリバイバル上映してほしい作品は何か。

 劇場で公開され、その後にBlu-ray&DVDで発売されたり、ネット配信されたりするのが今のアニメ映画のウィンドウ戦略だ。『THE FIRST SLAM DUNK』は配信からテレビ放送へと続きそうな作品にもかかわらず、チケットが完売続出となったのはなぜか。それは、劇場ならではの大きなスクリーンで、立体的に配置されたスピーカーから聞こえてくる臨場感たっぷりの音響を全身に浴びながら観たい作品だからだ。

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 家庭ではどれだけモニターを大きくしても60インチを超えることはなかなかない。床が震えるような爆音も出せない。劇場ならどちらも軽々とクリアする。そして、大勢の観客が同じ時間、同じ作品に触れるという音楽のライブにも似たイベント感を味わいたいということも観客を映画館へと向かわせている。

 そこに作品性が加わる。バスケットボールの試合を見せられているような感覚になれる展開に、誰もがこれは劇場で観なければいけない作品だと感じた結果が、『THE FIRST SLAM DUNK』の復活上映の完売続出へとつながったのだろう。

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 大勢で楽しむことによって味わえるライブ感に浸れるリバイバル上映なら、観客は何度でも足を運ぶ。そこには、声を出したりペンライトを振ったりできる「応援上映」のようなものも含まれている。

 2023年5月20日に公開された『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』は、ムビチケ前売り券の使用期限が過ぎた今も、超ロングランという形で声出しOKの応援上映が続いていて、リピーターを誘っている。終映したとしても、『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』(2021年)ともども復活上映への要望が続くだろう。

 その流れに乗るなら、TVアニメ『ラブライブ!』の放送10周年を記念して2024年2月と3月にイベントが開かれることに合わせ、映画『ラブライブ!The School Idol Movie』(2015年)を応援可能な形でリバイバル上映してくれたら、観に行きたいと思うラブライバーも大勢いるだろう。

【アーカイブ】『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』本予告(2017年)

 同じことは『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』(2018年)にも当てはまる。2018年の公開時には、登場する音楽ユニット「ワルキューレ」のメンバーが順に登壇する舞台挨拶付きの応援上映が開かれた。続編の『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』(2021年)と合わせての応援上映開催を期待したいところだが、こうした“音楽もの”については別に、音響面に配慮したリバイバル上映も期待したくなる。

 この年末年始に新宿ピカデリーで行われた『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』のライブ音響上映は、毎回大勢の観客で賑わった。『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』(1984年)のライブ音響上映回もあって、40年も前の作品であるにも関わらず、大きなスクリーンと迫力のサウンドで楽しみたいという人が大勢足を運んだ。

 公開時に観ていない若い人もいた。当時の劇場設備では無理だった迫力のサウンドで、リン・ミンメイの歌や戦闘シーンの爆音を体感したい古手のファンもいた。こうした、世代を超えてファンを呼び込む可能性が、アニメ映画史に残るような作品のリバイバル上映にはある。今敏監督の『千年女優』はその好例だ。

今 敏監督作品 リバイバル上映企画 第2弾『千年女優』予告編【2024年1月19日より期間限定】

 2010年に亡くなった後、今監督の作品は世界中でさらに高い評価を受けるようになった。残した4本のアニメ映画『パーフェクトブルー』(1998年)、『千年女優』、『東京ゴッドファーザーズ』(2003年)、『パプリカ』(2006年)は何度もリバイバル上映されているが、公開時と比べて上映設備がどんどんと高品質化しているだけに、新しい発見を求めて何度でも観に行ってしまう。

 1月19日からリバイバル上映が始まる『千年女優』は特に、主人公の藤原千代子が様々な映画の中をくるくると変化しながら進んでいく展開を、平沢進による独特の旋律を持った音楽が彩って観客を魅了する。この平沢サウンドを優れた音響設備で楽しめる。エンドロールに重なる「ロタティオン[LOTUS-2]」を大音響で体感できる。劇場に行くしかないだろう。

 2012年の初公開から12年が経っても、パッケージ化されていない永野護監督の『花の詩女 ゴティックメード』のように、復活上映に通い続けるしかない作品もある。折良く2月10日から東所沢のところざわサクラタウンで開催となる「DESIGNS永野護デザイン展」に合わせ、『花の詩女 ゴティックメード』も上映される。ゴティックメードのカイゼリンが起動する際の駆動音を大音響で体感する絶好の機会だ。

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